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後世への最大遺物 / 第一回・クロムウェルは後世に国を遺した

そのオリバー・クロムウェルという人の事業は、彼が政権を握ったのはわずか五年でありましたけれども、彼の事業は彼の死とともにまったく終ってしまったように見えますけれども、ソウではない。クロムウェルの事業は今日のイギリスを作りつつあるのです。しかのみならず英国がクロムウェルの理想に達するにはまだズッと未来にあることだろうと思います。彼は後世に英国というものを遺した。合衆国というものを遺した。アングロサクソン民族がオーストラリアを従え、南アメリカに権力を得て、南北アメリカを支配するようになったのも彼の遺蹟といわなければなりませぬ。

新字:そのオリバー・クロムウェルという人の事業は、彼が政権を握ったのはわずか五年でありましたけれども、彼の事業は彼の死とともにまったく終ってしまったように見えますけれども、ソウではない。クロムウェルの事業は今日のイギリスを作りつつあるのです。しかのみならず英国がクロムウェルの理想に達するにはまだズッと未来にあることだろうと思います。彼は後世に英国というものを遺した。合衆国というものを遺した。アングロサクソン民族がオーストラリアを従え、南アメリカに権力を得て、南北アメリカを支配するようになったのも彼の遺跡といわなければなりませぬ。

書き下し

そのオリバー・クロムウェルという人の事業は、彼が政権を握ったのはわずか五年でありましたけれども、彼の事業は彼の死とともにまったく終ってしまったように見えますけれども、そうではない。クロムウェルの事業は今日のイギリスを作りつつあるのです。しかのみならず、英国がクロムウェルの理想に達するには、まだずっと未来にあることだろうと思います。彼は後世に英国というものを遺した。合衆国というものを遺した。アングロサクソン民族がオーストラリアを従え、南アメリカに権力を得て、南北アメリカを支配するようになったのも、彼の遺蹟といわなければなりませぬ。

現代語訳

そのオリバー・クロムウェルという人の事業は、彼が政権を握ったのはわずか五年でしたが、その事業は彼の死とともにすっかり終わってしまったように見えて、そうではありません。クロムウェルの事業は今日のイギリスを作りつつあるのです。それどころか、イギリスがクロムウェルの理想に達するのは、まだずっと先のことだろうと思います。彼は後世にイギリスというものを遺した。合衆国というものを遺した。アングロサクソン民族がオーストラリアを従え、南アメリカに力を得て、南北アメリカを支配するようになったのも、彼の遺したあとと言わねばなりません。

解説

わずか五年の政権が、二百年後の世界を作っているという見方です。内村がここで言いたいのは、事業の成果は本人の在任中には測れない、ということでしょう。死とともに終わったように見えて終わっていない。しかも理想に達するのはまだ先だと言う。遺物の評価には数百年の単位が要る、という時間感覚が示されています。なお、アングロサクソンの支配を功績として語るのは十九世紀の帝国の時代の見方で、今日そのまま肯えるものではありません。事業が長く働くという論点の例として置かれています。
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この章句が説くこと

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