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後世への最大遺物 / 第一回・溜める力と使う力

「今におれが貧乏になったら、君はおれを助けろ」というておきました。実に金儲けは、やはりほかの職業と同じように、ある人たちの天職である。誰にも金を儲けることができるかということについては、私は疑います。それで金儲けのことについては少しも考えを与えてはならぬところの人が金を儲けようといたしますると、その人は非常に穢なく見えます。そればかりではない、金は後世への最大遺物の一つでございますけれども、遺しようが悪いとずいぶん害をなす。それゆえに金を溜める力を持った人ばかりでなく、金を使う力を持った人が出てこなければならない。かの有名なるグールドのように彼は生きているあいだに二千万ドル溜めた。そのために彼の親友四人までを自殺せしめ、アチラの会社を引き倒し、コチラの会社を引き倒して二千万ドル溜めた。

書き下し

「今におれが貧乏になったら、君はおれを助けろ」というておきました。実に金儲けは、やはりほかの職業と同じように、ある人たちの天職である。誰にも金を儲けることができるかということについては、私は疑います。それで金儲けのことについては少しも考えを与えてはならぬところの人が、金を儲けようといたしますると、その人は非常に穢なく見えます。そればかりではない、金は後世への最大遺物の一つでございますけれども、遺しようが悪いと、ずいぶん害をなす。それゆえに金を溜める力を持った人ばかりでなく、金を使う力を持った人が出てこなければならない。かの有名なるグールドのように、彼は生きているあいだに二千万ドル溜めた。そのために彼の親友四人までを自殺せしめ、あちらの会社を引き倒し、こちらの会社を引き倒して二千万ドル溜めた。

現代語訳

今に私が貧乏になったら、君は私を助けろ、と言っておきました。まったく金儲けも、他の職業と同じように、ある人たちの天職です。誰でも金を儲けられるかといえば、私は疑います。金儲けについては少しも考えを向けてはならない人が金を儲けようとすると、その人はひどく汚らしく見えます。それだけでなく、金は後世への最大遺物の一つですが、遺し方が悪いとずいぶん害をなす。ですから金を溜める力を持った人だけでなく、金を使う力を持った人が出てこなければなりません。有名なグールドは、生きている間に二千万ドル溜めました。そのために親友を四人まで自殺させ、あちらの会社を倒し、こちらの会社を倒して二千万ドル溜めたのです。

解説

溜める力と使う力は別の能力だ、という区別がここで立ちます。金儲けは天職であり、向かない人が手を出すと汚く見えるとまで言う。そして悪い例としてジェイ・グールドを挙げます。鉄道と金融で巨富を築いた投機家で、友人を破滅させ会社を倒して二千万ドルを積んだ。前に出たジラードやピーボディーと同じく金を集めた人ですが、集め方と使い方が違えば、遺物ではなく害になる。金は道具にすぎず、扱う人の質がそのまま結果になるという、この節の結論が形を取り始めます。

この章句が説くこと

天職蓄財使途区別

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