後世への最大遺物 / 第一回・金を溜める力は天才である
それで後世への最大遺物のなかで、まず第一に大切のものは何であるかというに、私は金だというて、その金の必要を述べた。しかしながら何人も金を溜める力を持っておらない。私はこれはやはり一つの Genius(天才)ではないかと思います。私は残念ながらこの天才を持っておらぬ。ある人が申しまするに金を溜める天才を持っている人の耳はたいそう膨れて下の方に垂れているそうですが、私は鏡に向って見ましたが、私の耳はたいそう縮んでおりますから、その天才は私にはないとみえます(大笑)。私の今まで教えました生徒のなかに、非常にこの天才を持っているものがある。ある奴は北海道に一文無しで追い払われたところが、今は私に十倍もする富を持っている。
書き下し
それで後世への最大遺物のなかで、まず第一に大切のものは何であるかというに、私は金だというて、その金の必要を述べた。しかしながら何人も金を溜める力を持っておらない。私はこれはやはり一つの Genius ではないかと思います。私は残念ながらこの天才を持っておらぬ。ある人が申しまするに、金を溜める天才を持っている人の耳は、たいそう膨れて下の方に垂れているそうですが、私は鏡に向って見ましたが、私の耳はたいそう縮んでおりますから、その天才は私にはないとみえます。私の今まで教えました生徒のなかに、非常にこの天才を持っているものがある。ある奴は北海道に一文無しで追い払われたところが、今は私に十倍もする富を持っている。
現代語訳
さて後世への最大遺物のうち、まず第一に大切なものは何かというと、私は金だと言って、その必要を述べました。しかし誰もが金を溜める力を持っているわけではありません。私はこれもやはり一つの天分ではないかと思います。私は残念ながらこの天分を持っていません。ある人が言うには、金を溜める天分のある人の耳は、大きく膨らんで下に垂れているそうですが、私は鏡を見てみたところ、私の耳はひどく縮んでいますから、その天分は私にはないとみえます。私がこれまで教えた生徒の中に、この天分を非常に持っている者がいます。ある者は北海道へ一文なしで追いやられたのに、今は私の十倍もの富を持っています。
解説

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
-
論語・雍也篇冉求曰く、「子の道を説ばざるに非ず、力足らざるなり。」子曰く、「力足らざる者は、中道にして廃す。今女は画れり。」
-
『墨子』尚同下天子、其の知力を以て未だ獨り天下を治むるに足らずと為す。是を以て其の次を選擇し、立てて三公と為す。三公も又た其の知力を以て未だ獨り天子を左右するに足らずと為す。是を以て國を分かちて諸侯を建つ。諸侯も又た其の知力を以て未だ獨り其の四境の内を治むるに足らずと為す。是を以て其の次を選擇し、立てて卿の宰と為す。卿の宰も又た其の知力を以て未だ獨り其の君を左右するに足らずと為す。是を以て其の次を選擇し、立てて鄉長家君と為す。是の故に古者、天子の三公・諸侯・卿の宰・鄉長家君を立つるは、特に富貴游佚にして之を擇ぶに非ざるなり。將に亂を治め刑政するを助けしめんとするなり。故に古者、國を建て都を設け、乃ち后王君公を立て、奉ずるに卿士師長を以てするは、此れ説を用いんと欲するに非ず。唯だ辯じて天民を治むるを助けしむるなり。
-
『韓非子』觀行第二十四故に有余を以て不足を補ひ、長を以て短を続ぐ、之を明主と謂ふ。天下に信数三有り。一に曰く、智も立つること能はざる所有り。二に曰く、力も挙ぐること能はざる所有り。三に曰く、彊も勝つこと能はざる所有り。
-
『呻吟語』外篇・天地・天地も亦た之を如何ともする無し先天立命の處は、是れ萬物自ら具ふる的なり。天地は只だ是れ個の生息培養なり。只だ草木の原と個の生理無きが如きは、天地好生なるも亦た之を如何ともする無し。
-
『呻吟語』外篇・治道・匹夫に奪ふ可からざるの志有り匹夫に奪ふ可からざるの志有り。天子と雖も亦た奈何ともする可き無し。天子は但だ能く人を死せしむるのみ。死を視ること飴の如き者有らば、天子の權窮まる。然り而して竟に之を死せしむるは、是れ天子自ら過ちを取るなり。容れて之を遂げしめ、以て盛德を成すに若かず。是を以て聖人は群情を體し、敢へて人の志を奪ひて、以て天下の心を傷り、以て己の惡を成さず。
-
『墨子』魯問魯の南鄙の人に吳慮なる者有り。冬は陶し夏は耕して、自ら舜に比す。子墨子、聞きて之に見ゆ。吳慮、子墨子に謂う、「義のみ、義のみ。焉んぞ之を言うを用いんや」と。子墨子曰く、「子の所謂る義なる者は、亦た力有りて以て人を勞し、財有りて以て人に分かつか」と。吳慮曰く、「有り」と。子墨子曰く、「翟、嘗て之を計れり。翟、耕して天下の人に食わしめんことを慮る。盛んにして、然る後に一農の耕に當たる。諸を天下に分かたば、人ごとに一升の粟をも得る能わず。藉りて以て一升の粟を得と為すも、其の天下の饑を飽かしむる能わざるは、既に睹る可し。