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後世への最大遺物 / 第一回・宗派の教師は入れるな

それで妙な癖があった人とみえまして、教会というものをたいそう嫌ったのです。それで「おれは別にこの金を使うことについて条件はつけないけれども、おれの建ったところの孤児院のなかに、デノミネーションすなわち宗派の教師は誰でも入れてはならぬ」という稀代な条件をつけて死んでしまった。それゆえに、今でもメソジストの教師でも、監督教会の教師でも、組合教会の教師でも、この孤児院にははいることはお気の毒でございますけれどもできませぬ(大笑)。そのほかは誰でもそこにはいることができる。それでこの孤児院の組織のことは長いことでございますから、今ここにお話し申しませぬけれども、前に述べた二百万ドルをもって買い集めましたところの山です。

書き下し

それで妙な癖があった人とみえまして、教会というものをたいそう嫌ったのです。それで「おれは別にこの金を使うことについて条件はつけないけれども、おれの建ったところの孤児院のなかに、デノミネーションすなわち宗派の教師は誰でも入れてはならぬ」という稀代な条件をつけて死んでしまった。それゆえに、今でもメソジストの教師でも、監督教会の教師でも、組合教会の教師でも、この孤児院にはいることはお気の毒でございますけれどもできませぬ。そのほかは誰でもそこにはいることができる。それでこの孤児院の組織のことは長いことでございますから、今ここにお話し申しませぬけれども、前に述べた二百万ドルをもって買い集めましたところの山です。

現代語訳

ところが妙な癖のある人だったとみえて、教会というものをひどく嫌っていました。それで、この金の使い道に条件はつけないが、自分が建てた孤児院の中に、宗派の教師は誰一人入れてはならない、という珍しい条件をつけて死んだのです。そのため今でも、メソジストの教師も、監督教会の教師も、組合教会の教師も、この孤児院に入ることはお気の毒ですができません。それ以外は誰でも入れます。この孤児院の仕組みについては長くなりますから今はお話ししませんが、先に述べた二百万ドルで買い集めたのが、あの山です。

解説

遺す人の癖がそのまま遺物に刻まれる、という実例です。ジラードは教会を嫌い、宗派の教師を入れるなという条件を付けた。内村はこれを珍しい条件と呼ぶだけで、非難も擁護もしません。伝道者でありながら、宗派を排除した遺贈を淡々と紹介できるところに、この人の幅があります。同時にこれは警告でもあって、遺物には自分の偏りも一緒に遺ってしまう。金を遺すときに条件を付けるなら、その条件が百年後にどう働くかまで考えよという含みが読み取れます。

この章句が説くこと

遺贈条件宗派偏り仕組み

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