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国語 / 斉語

「令夫士,群萃而州處,閒燕則父與父言義,子與子言孝,其事君者言敬,其幼者言弟。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教不肅而成,其子弟之學不勞而能。夫是,故士之子恆為士。 「令夫工,群萃而州處,審其四時,辨其功苦,權節其用,論比協材,旦暮從事,施於四方,以飭其子弟,相語以事,相示以巧,相陳以功。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教不肅而成,其子弟之學不勞而能。夫是,故工之子恆為工。 「令夫商,群萃而州處,察其四時,而監其鄉之資,以知其市之賈,負、任、擔、荷,服牛、軺馬,以周四方,以其所有,易其所無,市賤鬻貴,旦暮從事於此,以飭其子弟,相語以利,相示以賴,相陳以知賈。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教不肅而成,其子弟之學不勞而能。夫是,故商之子恆為商。

新字:「令夫士,群萃而州処,閒燕則父与父言義,子与子言孝,其事君者言敬,其幼者言弟。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教不粛而成,其子弟之学不労而能。夫是,故士之子恒為士。 「令夫工,群萃而州処,審其四時,弁其功苦,権節其用,論比協材,旦暮従事,施於四方,以飭其子弟,相語以事,相示以巧,相陳以功。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教不粛而成,其子弟之学不労而能。夫是,故工之子恒為工。 「令夫商,群萃而州処,察其四時,而監其郷之資,以知其市之賈,負、任、担、荷,服牛、軺馬,以周四方,以其所有,易其所無,市賤鬻貴,旦暮従事於此,以飭其子弟,相語以利,相示以頼,相陳以知賈。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教不粛而成,其子弟之学不労而能。夫是,故商之子恒為商。

書き下し

「夫の士をして、群萃(ぐんすい)して州処(しゅうしょ)せしむれば、閑燕なるときは則ち父は父と義を言い、子は子と孝を言い、其の君に事うる者は敬を言い、其の幼き者は弟(てい)を言う。少(わか)くして焉に習い、其の心焉に安んじ、異物を見て遷らず。是の故に其の父兄の教えは粛(きび)しからずして成り、其の子弟の学は労せずして能くす。夫れ是れ、故に士の子は恒に士と為る。 「夫の工をして、群萃して州処せしむれば、其の四時を審らかにし、其の功苦(こうこ)を弁じ、其の用を権節し、論比して材を協(あわ)せ、旦暮に事に従い、四方に施して、以て其の子弟を飭(いまし)め、相語るに事を以てし、相示すに巧を以てし、相陳ぶるに功を以てす。少くして焉に習い、其の心焉に安んじ、異物を見て遷らず。是の故に其の父兄の教えは粛しからずして成り、其の子弟の学は労せずして能くす。夫れ是れ、故に工の子は恒に工と為る。 「夫の商をして、群萃して州処せしむれば、其の四時を察して、其の郷の資を監(み)、以て其の市の賈(あたい)を知り、負い・任(にな)い・担い・荷いて、牛を服し馬を軺(ひ)き、以て四方を周り、其の有る所を以て、其の無き所に易え、賤きに市(か)いて貴きに鬻(ひさ)ぎ、旦暮に此に事に従い、以て其の子弟を飭め、相語るに利を以てし、相示すに頼(り)を以てし、相陳ぶるに賈を知るを以てす。少くして焉に習い、其の心焉に安んじ、異物を見て遷らず。是の故に其の父兄の教えは粛しからずして成り、其の子弟の学は労せずして能くす。夫れ是れ、故に商の子は恒に商と為る。

現代語訳

(管仲は続けた。)「士たちを集めて同じ区域にまとめて住まわせれば、ゆとりのある時には、父親どうしは義を語り、子どもどうしは孝を語り、君に仕える者は敬を語り、年少の者は年長者への従順を語ります。若いうちからこれに習い、心がそこに落ち着くので、よそのものを見ても心が移りません。だから父兄の教えは厳しくしなくても身につき、子弟の学びは苦労しなくてもものになります。こういうわけで、士の子はいつまでも士となるのです。 「工人たちを集めて同じ区域にまとめて住まわせれば、四季に応じた材料の時期をよく見きわめ、品物の出来の良し悪しを見分け、用途に合わせて加減し、材料を比べて組み合わせ、朝から晩まで仕事に励み、その品を四方に行き渡らせます。そうして子弟を戒め、互いに仕事のことを語り合い、腕前を見せ合い、成果を並べ合います。若いうちからこれに習い、心がそこに落ち着くので、よそのものを見ても心が移りません。だから父兄の教えは厳しくしなくても身につき、子弟の学びは苦労しなくてもものになります。こういうわけで、工人の子はいつまでも工人となるのです。 「商人たちを集めて同じ区域にまとめて住まわせれば、四季の移り変わりを見て、土地土地の産物を見定め、市場の値段を知ります。背に負い、肩に担ぎ、天秤で担い、牛に車を引かせ馬に軽車を引かせて四方を巡り、あるものを持っていって、ないものと取り換え、安く買って高く売り、朝から晩までこれに励みます。そうして子弟を戒め、互いに利益のことを語り合い、もうけを見せ合い、相場の知識を並べ合います。若いうちからこれに習い、心がそこに落ち着くので、よそのものを見ても心が移りません。だから父兄の教えは厳しくしなくても身につき、子弟の学びは苦労しなくてもものになります。こういうわけで、商人の子はいつまでも商人となるのです。

解説

管仲が桓公に説く覇術の章の三つ目の部分で、四民分業のうち士・工・商の三つを語る場面である。論理はどの身分でも同じ型をとる。同業の者を一か所にまとめて住まわせれば、日々の会話そのものが教育になる。士は義や孝を、工人は技を、商人は相場を語り合い、子どもは幼いうちからそれを聞いて育つので、ほかの道に心が移らない。「父兄の教えは粛しからずして成り、子弟の学は労せずして能くす」という繰り返しが、この構想の要である。教える側が力まなくても、環境が人を育てるという考え方である。この四民の区分と「士農工商」という並びは『管子』小匡篇にもほぼ同じ文で見え、のちの東アジアの身分観に長く影を落とした。身分の固定という面は今の感覚とは合わないが、何を日常的に語り合う場に身を置くかで人が形づくられるという観察は、職場の文化を考えるうえでも古びていない。

この章句が説くこと

国語斉語管仲四民教育

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