管子 / 輕重丁
「物之始,吾已見之矣。物之終,吾已見之矣。物之賈,吾已見之矣。」管子曰:「長城之陽,魯也。長城之隂齊也。三敗殺君二重臣定社稷者,吾此皆以孤突之地封者也。故山地者山也,水地者澤也,薪芻之所生者斥也。」公曰:「託食之主及吾地亦有道乎?」管子對曰:「守其三原。」公曰:「何謂三原?」管子對曰:「君守布則籍於麻,十倍其賈,布五十倍其賈,此數也。君以織籍籍於系,未為系,籍系撫織,再十倍其賈。如此,則云五榖之籍。是故籍於布則撫之系,籍於榖則撫之山,籍於六畜則撫之術。籍於物之終始,而善御以言。」公曰:「善。」
新字:「物之始,吾已見之矣。物之終,吾已見之矣。物之賈,吾已見之矣。」管子曰:「長城之陽,魯也。長城之陰斉也。三敗殺君二重臣定社稷者,吾此皆以孤突之地封者也。故山地者山也,水地者沢也,薪芻之所生者斥也。」公曰:「託食之主及吾地亦有道乎?」管子対曰:「守其三原。」公曰:「何謂三原?」管子対曰:「君守布則籍於麻,十倍其賈,布五十倍其賈,此数也。君以織籍籍於系,未為系,籍系撫織,再十倍其賈。如此,則云五榖之籍。是故籍於布則撫之系,籍於榖則撫之山,籍於六畜則撫之術。籍於物之終始,而善御以言。」公曰:「善。」
書き下し
「物の始め、吾れ已に之を見たり。物の終わり、吾れ已に之を見たり。物の賈、吾れ已に之を見たり」と。管子曰く、「長城の陽は、魯なり。長城の隂は齊なり。三たび敗れ君を殺し二たび臣を重んじて社稷を定むる者は、吾れ此れ皆な孤突の地を以て封ずる者なり。故に山地なる者は山なり、水地なる者は澤なり、薪芻の生ずる所の者は斥なり」と。公曰く、「託食の主にして吾が地に及ぶも亦た道有りや」と。管子對えて曰く、「其の三原を守れ」と。公曰く、「何をか三原と謂う」と。管子對えて曰く、「君布を守らば則ち麻に籍り、其の賈を十倍し、布は其の賈を五十倍す、此れ數なり。君織を以て籍り系に籍らば、未だ系を為らざるに、系に籍りて織を撫すれば、再び其の賈を十倍す。此くの若くんば、則ち五榖の籍を云う。是の故に布に籍らば則ち之を系に撫し、榖に籍らば則ち之を山に撫し、六畜に籍らば則ち之を術に撫す。物の終始に籍りて、善く御するに言を以てす」と。公曰く、「善し」と。
現代語訳
物の始めを、私はもう見た。物の終わりも、私はもう見た。物の値も、私はもう見た。管子が言った。長城の南は魯であり、長城の北は斉である。三度敗れて君を殺し、二度臣を重く用いて社稷を定めた者たちには、私はみな孤立した突き出た土地を与えて封じてきました。だから山がちな土地は山であり、水の多い土地は沢であり、薪や飼葉の生えるところは塩気の地です。桓公が言った。託されて食う主として、私の土地についても道はあるか。管子が答えた。三つの源を押さえなさい。桓公が言った。三つの源とは何か。管子が答えた。君が布を押さえるなら麻にかける。その値は十倍になり、布の値は五十倍になる。これが数え方です。君が織物にかけようとして糸にかけるなら、まだ糸になっていないうちに糸にかけて織物を押さえれば、値はさらに十倍になる。こうすれば五穀への割り当ても同じように言えます。だから布にかけるなら糸を押さえ、穀物にかけるなら山を押さえ、六畜にかけるなら道を押さえる。物の始めと終わりにかけて、言葉によってうまく操るのです。桓公は、よい、と言った。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』輕重丁管子曰く、「國を以て一たび籍らば、臣右に布萬兩を守らん、而して右の麻の籍は其の賈を四十倍し、術布は其の賈を五十倍す。公重布を以て諸侯の賈を決すれば、此くの如くにして二十齊の故有り。是の故に賈に輕軼して榖を制し畜を制する者は、則ち物は四時の輔に軼す。善く國を為むる者は、其の國の財を守る。之を湯するに髙下を以てし、之に注ぐに徐疾を以てすれば、一は以て百と為すべし。未だ嘗て民に籍り求めずして、用を使うこと河海の若く、終われば則ち始め有り。此れ物を守りて天下を御すと謂うなり」と。
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『管子』山權數桓公曰く、「善し。吾れ三權の數を行わんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「梁山の陽の綪絤、夜石の幣は、天下に有る無し」と。管子曰く、「以て國榖を守るに歳ごとに一分を守り、以て五年を行えば、國榖の重は、異日に什倍せん」と。管子曰く、「請う幣を立てん。國の銅は、二年の粟を以て之を顧い、黔落を立て、力重は天下と調う。彼れ重ければ則ち射られ、輕ければ則ち泄る、故に天下と調う。泄るる者は權を失うなり、射らるる者は筴を失うなり。天の權に備えざれば下相い求め、準に備うれば下隂かに相い比す。此れ刑罰の起こる所にして、亂の本なり。故に平らかなれば則ち平らかならず、民富めば則ち貧しきに如かず、委積すれば則ち虚し。此れ三權の失なるのみ」と。
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『管子』山至數桓公又た管子に問いて曰く、「身を終うるまで天下を有ちて失う勿からんとするに、之を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う天下に施す勿かれ、獨り之を吾が國に施せ」と。桓公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「國の廣狹、壤の肥墝に數有り、歳を終うるまでの食の餘りに數有り、彼の國を守る者は、榖を守るのみ」と。曰く、「某の縣の壤の廣きこと若干、某の縣の壤の狹きこと若干、則ち必ず委幣を積み、是に於て縣州里は公錢を受く。泰秋、國榖は三分の一を去る、君令を下し、郡縣屬大夫里邑に謂いて皆な粟を籍りて入るること若干とす。榖の重は一なるも、以て上に藏する者、國榖三分すれば、則ち二分は上に在り。泰春、國榖の倍重するは、數なり。泰夏、榖を賦するに市の櫎を以てし、民は皆な上の榖を受けて以て田土を治む。泰秋、田榖の存予する者若干、今上榖を歛むるに幣を以てすれば、民は幣無しと曰いて榖を以てす、則ち民の三は上に歸する有り。重の相い因り、時の化舉するは、國筴と為さざる無し。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「壤數は此に盡くるか」と。管子對えて曰く、「未だし。昔狄諸侯は、畆鍾の國なり、故に粟十鍾にして錙金なり。程諸侯は、山諸侯の國なり、故に粟五釜にして錙金なり。故に狄諸侯は十鍾にして㦸を倳つるを得ず、程諸侯は五釜にして㦸を倳つるを得たり。十倍にして足らず、或いは五分にして餘り有る者は、輕重髙下の數に通ずればなり。國に十歳の蓄え有るも、民の食足らざる者は、皆な其の事業を以て君の祿を望めばなり。君に山海の財有るも、民の用足らざる者は、皆な其の事業を以て上に交接すればなり。故に租籍は、君の宜しく得べき所なり。正籍は、君の彊いて求むる所なり。亡君は其の宜しく得べき所を廢して、其の彊いて求むる所を斂む、故に下は上を怨みて令行われず。民は、之を奪えば則ち怒り、之に予うれば則ち喜ぶ。民情固より然り。先王は其の然るを知る、故に予うるの所を見わして、奪うの理を見わさず。故に五榖粟米なる者は、民の司命なり。黄金刀布なる者は、民の通貨なり。先王善く其の通貨を制して、以て其の司命を御す、故に民力盡くすべきなり」と。
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『管子』山權數桓公丁氏に命じて曰く、「寡人老いたり、子為る者は此の數を知らず。終に吾が質を受けよ」と。丁氏歸り、築室を革め、賦籍を藏す。還ること四年にして、孤竹を伐つ。丁氏の粟は三軍五月の食に中つと謂う。桓公貢の數を立つるに、文行は七年に中りて四千金に中たり、黑白の子は千金に當たる。凡そ貢の制は、二齊の壤筴に中たるなり。貢を用うれば、國危うければ寶を出だし、國安ければ流を行う」と。桓公曰く、「何をか流と謂う」と。管子對えて曰く、「物に豫有れば、則ち君は筴を失いて民は生を失う。故に善く天下を為むる者は、二豫の外に操る」と。桓公曰く、「何をか二豫の外と謂う」と。管子對えて曰く、「萬乗の國は、以て萬金の蓄飾無かるべからず。千乗の國は、以て千金の蓄飾無かるべからず。百乗の國は、以て百金の蓄飾無かるべからず。此を以て令と進退するは、此れを之れ時に乗ずと謂う」と。
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『管子』輕重丁公曰く、「然らば則ち無きは以て有りと為すべきか。貧しきは以て富めりと為すべきか」と。管子對えて曰く、「物の生ずるや未だ形有らずして、王霸は其の功を立つ。是の故に人を以て人を求むれば、則ち人重し。數を以て物を求むれば、則ち物重し」と。公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「國を舉げて一とすれば則ち貲無く、國を舉げて十とすれば則ち百有り。然らば則ち吾れ將に徐疾を以て之を御せんとす、左の右に授くるが若く、右の左に授くるが若し、是を以て外内踡まらず、身を終うるまで咎無し。王霸の人に求めずして、之を終始に求むるは、四時の髙下、令の徐疾のみ。源泉に竭くる有り、鬼神に歇む有り。物の終始を守れば、身竭きず、此れを源究と謂う」と。