管子 / 山至數
桓公又問管子曰:「終身有天下而勿失,為之有道乎?」管子對曰:「請勿施於天下,獨施之於吾國。」桓公曰:「此若言何謂也?」管子對曰:「國之廣狹、壤之肥墝有數,終嵗食餘有數,彼守國者,守榖而已矣。」曰:「某縣之壤廣若干,某縣之壤狹若干,則必積委幣,於是縣州里受公錢。泰秋,國榖去參之一,君下令,謂郡縣屬大夫里邑皆籍粟入若干。榖重一也,以藏於上者,國榖參分,則二分在上矣。泰春,國榖倍重,數也。泰夏,賦榖以市櫎,民皆受上榖以治田土。泰秋,田榖之存予者若干,今上歛榖以幣,民曰無幣以榖則民之三有歸於上矣。重之相因,時之化舉,無不為國筴。
新字:桓公又問管子曰:「終身有天下而勿失,為之有道乎?」管子対曰:「請勿施於天下,独施之於吾国。」桓公曰:「此若言何謂也?」管子対曰:「国之広狭、壤之肥墝有数,終歳食余有数,彼守国者,守榖而已矣。」曰:「某県之壤広若干,某県之壤狭若干,則必積委幣,於是県州里受公銭。泰秋,国榖去参之一,君下令,謂郡県属大夫里邑皆籍粟入若干。榖重一也,以蔵於上者,国榖参分,則二分在上矣。泰春,国榖倍重,数也。泰夏,賦榖以市櫎,民皆受上榖以治田土。泰秋,田榖之存予者若干,今上歛榖以幣,民曰無幣以榖則民之三有帰於上矣。重之相因,時之化舉,無不為国筴。
書き下し
桓公又た管子に問いて曰く、「身を終うるまで天下を有ちて失う勿からんとするに、之を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う天下に施す勿かれ、獨り之を吾が國に施せ」と。桓公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「國の廣狹、壤の肥墝に數有り、歳を終うるまでの食の餘りに數有り、彼の國を守る者は、榖を守るのみ」と。曰く、「某の縣の壤の廣きこと若干、某の縣の壤の狹きこと若干、則ち必ず委幣を積み、是に於て縣州里は公錢を受く。泰秋、國榖は三分の一を去る、君令を下し、郡縣屬大夫里邑に謂いて皆な粟を籍りて入るること若干とす。榖の重は一なるも、以て上に藏する者、國榖三分すれば、則ち二分は上に在り。泰春、國榖の倍重するは、數なり。泰夏、榖を賦するに市の櫎を以てし、民は皆な上の榖を受けて以て田土を治む。泰秋、田榖の存予する者若干、今上榖を歛むるに幣を以てすれば、民は幣無しと曰いて榖を以てす、則ち民の三は上に歸する有り。重の相い因り、時の化舉するは、國筴と為さざる無し。
現代語訳
桓公がまた管子に問うた。生涯天下を保って失わずにいたい。その道はあるか。管子が答えた。天下に施すのはおやめなさい。ただ自分の国にだけ施しなさい。桓公が言った。その言葉はどういう意味か。管子が答えた。国の広さ狭さ、土地の肥え痩せには数があり、一年を通じた食べ残りにも数がある。国を守る者は、穀物を守るだけです。こう言った。どの県の土地はこれだけ広い、どの県の土地はこれだけ狭い。そのうえで必ず銭を積んでおき、県も州も里も公の銭を受け取ります。秋の盛りに国の穀物の値が三分の一下がる。君は令を下し、郡や県や大夫や里邑に、みなこれだけの粟を納めよと言う。穀物の値はもと一でも、上に納められる分は、国の穀物を三つに分ければ二つが上にある。春の盛りに国の穀物が倍の値になるのは、数のうえの当然です。夏の盛りに穀物を市の相場で貸し出せば、民はみな上の穀物を受け取って田を耕す。秋の盛りに田に残った穀物がこれだけあり、いま上が銭で穀物を集めれば、民は銭がないと言って穀物で納める。すると民の三は上に帰します。値の重なりが互いを呼び、季節の移り変わりが動き出す。すべてが国の手立てになるのです。
解説
この章句が説くこと
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『管子』山至數桓公管子に問いて曰く、「今海内を有ち、諸侯を縣くれば、則ち國勢は用いざるのみか」と。管子對えて曰く、「今諸侯を以て䇡と為し、公州之を飾る。以て四時に乗じ、捫牢の筴を行い、以て東西南北相い彼れとし、用いて平らかにして準ず。故に曰く、諸侯と為れば、則ち萬物を髙下して、以て諸侯に應ず。徧く天下を有てば、則ち幣を賦して以て萬物の朝夕を守り、調えて已に利あり。足る有れば則ち行い、滿たざれば則ち止まる有り。王者は鄉州もて時を以て之を察す、故に利は相い傾かず、縣は其の所に死し、君は大を守りて一を奉ず、之を國簿と謂う」と。
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『管子』山至數桓公曰く、「幣乗馬の數を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「士は資を受くるに幣を以てし、大夫は邑を受くるに幣を以てし、人馬は食を受くるに幣を以てすれば、則ち一國の榖資は上に在り、幣貲は下に在り、國榖の什倍するは、數なり。萬物財物の什の二を去るは、筴なり。皮革・筋角・羽毛・竹箭・器械・財物、茍しくも國器君用に合する者は、皆な矩劵上に有り。君實に鄉州に藏せしめて曰く、『某月某日、茍しくも責を從うる者は、鄉に決し州に決す』と。故に曰く、庸に就くこと一日にして決す、と。國筴は榖より出づ、軌もて國を筴るは、貨幣乗馬なる者なり。今刀布は官府に藏し、巧幣萬物の輕重は皆な賈に在り。彼れ幣重ければ萬物輕く、幣輕ければ萬物重し。彼れ榖重ければ榖輕し。人君榖幣金の衡を操れば、天下定むべきなり。此れ天下を守るの數なり」と。
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『管子』山至數桓公管子に問いて曰く、「昔者周人天下を有ち、諸侯賔服し、名教天下に通ず、而るに其の下に奪わる、何の數ぞや」と。管子對えて曰く、「君壤を分かちて貢入せしめ、市朝流を同じくす。黄金は、一筴なり。江陽の珠は、一筴なり。秦の明山の曾青は、一筴なり。此れ寡を以て多と為し、狹を以て廣と為すと謂う、軌出の屬なり」と。桓公曰く、「天下の數は軌出の屬に盡くるか」と。「今國榖重きこと什倍にして萬物輕し、大夫賈に謂う、之の子吾が為に榖を運びて財を斂めよと。榖の重は一なるも、今九は餘りと為る。榖重くして萬物輕し、此くの若くんば、則ち國財の九は大夫に在り。國歳ごとに一を反せば、財物の九なる者は、皆な倍重して出づ。財物下に在れば、幣の九は大夫に在り。然らば則ち幣と榖との羨は大夫に在るなり。天子客を以て行き、令は時を以て出づるも、熟榖の人亡び、諸侯受けて之を官し、朋を連ね與を聚め、萬物を髙下して、以て民用に合す。内は則ち大夫自ら還りて忠を盡くさず、外は則ち諸侯朋を連ね與を合す、熟榖の人は則ち去り亡ぶ、故に天子其の權を失うなり」と。桓公曰く、「善し」と。
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『管子』山至數桓公曰く、「何をか民に藏すと謂う」と。「請う棧臺の錢を散じて諸を城陽に散じ、鹿臺の布を散じて諸を濟隂に散ぜよ。君百姓に令を下して曰く、『民富めば、君は與に貧しきこと無し。民貧しければ、君は與に富むこと無し。故に賦に錢布無く、府に藏財無く、貲は民に藏す』と。歳豐かにして、五榖登り、五榖大いに輕く、榖の賈は上歳の分を去る。幣を以て之に據れば、榖を君と為し、幣を下と為す。國幣盡く下に在れば、幣輕く榖重し。上は上歳の二分を分かちて下に在らしめ、下歳の二分は上に在り、則ち二歳の者は四分上に在り。則ち國榖の一分は下に在り、榖は三倍重し。邦布の籍は、歳を終うるに十錢。人家食を受くるに、十畆にして十を加う、是れ一家にして十户なり。國榖の筴より出でて幣に藏する者なり。國幣の分を以て、復た百姓に布く。四もて減じて國榖の三は上に在り、一は下に在り。復筴なり。
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『管子』山至數君は大夫の委を用いて、以て流れ上に歸す。君は民を用いて、時を以て君に歸す。輕きを藏し、輕きを出だすに重きを以てするは、數なり。則ち彼れ安くんぞ自ら還りて獨り之を委する大夫有らんや。彼の諸侯の榖十にして、吾が國の榖をして二十ならしめば、則ち諸侯の榖は吾が國に歸せん。諸侯の榖二十にして、吾が國の榖十なれば、則ち吾が國の榖は諸侯に歸せん。故に善く天下を為むる者は、謹んで重の流れを守りて、天下も吾より洩らさず。彼の重の相い歸するは、水の下に就くが如し。吾が國の歳凶なるに非ざるも、幣を以て之を藏す、故に國榖は倍重し、故に諸侯の榖至るなり。是れ一分を藏して以て諸侯の一分を致すなり、利は天下に奪われず、大夫は以て富み侈るを得ず。重きを以て輕きを藏し、國に常に十有るは、國の筴なり。故に諸侯は服して正されずとも臣は櫎に從いて以て忠なり。此れ輕重を以て天下を御するの道なり、之を數應と謂う。
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『管子』地數桓公管子に問いて曰く、「吾れ本を富ませて五榖を豐かにせんと欲す、可なるか」と。管子對えて曰く、「不可なり。夫れ本富みて財物衆ければ、守る能わざれば則ち天下に税せらる。五榖興り豐かにして、錢を巨にして天下貴ければ、則ち天下に税せらる。然らば則ち吾が民は常に天下の虜と為らん。夫れ善く本を用うる者は、身を以て大海を濟るが若く、風の起こる所を觀て、天下髙ければ則ち髙くし、天下下れば則ち下る。天髙く我下れば、則ち財利は天下に税せらる」と。