管子 / 輕重丁
凡稱貸之家,出泉參千萬,出粟參數千萬鍾,受子息民參萬家。四子已報。管子曰:「不棄我君之有萌,中一國而五君之正也。然欲國之無貧,兵之無弱,安可得哉!」桓公曰:「為此有道乎?」管子曰:「惟反之以號令為可。請以令賀獻者,皆以鐻枝蘭鼓,則必坐長什倍其本矣。君之棧臺之職,亦坐長什倍。
新字:凡称貸之家,出泉参千万,出粟参数千万鍾,受子息民参万家。四子已報。管子曰:「不棄我君之有萌,中一国而五君之正也。然欲国之無貧,兵之無弱,安可得哉!」桓公曰:「為此有道乎?」管子曰:「惟反之以号令為可。請以令賀献者,皆以鐻枝蘭鼓,則必坐長什倍其本矣。君之棧台之職,亦坐長什倍。
書き下し
凡そ稱貸の家、泉を出だすこと參千萬、粟を出だすこと參數千萬鍾、子息を受くる民は參萬家なり。四子已に報ず。管子曰く、「我が君の萌有るを棄てず、一國に中りて五君の正なり。然らば國の貧しき無く、兵の弱き無きを欲するも、安んぞ得べけんや」と。桓公曰く、「此を為すに道有りや」と。管子曰く、「惟だ之に反するに號令を以てするのみ可なり。請う令を以て賀獻する者をして、皆な鐻枝蘭鼓を以てせしめば、則ち必ず坐ながらに長じて其の本に什倍せん。君の棧臺の職も、亦た坐ながらに長じて什倍せん。
現代語訳
金を貸す家が出した銭はおよそ三千万、出した粟はおよそ数千万鍾、利息を負っている民はおよそ三万家であった。四人の報告が終わった。管子が言った。我が君に民があることを捨ててはいませんが、これでは一つの国のなかに君が五人いて取り立てているのと同じです。それで国が貧しくならず兵が弱くならないことを望んでも、どうして叶いましょう。桓公が言った。これに道はあるか。管子が言った。ただ号令によってひっくり返すことだけができます。令を出して、献上する者にみな鐻枝蘭鼓という楽器を用いさせなさい。そうすればその値は座ったままもとの十倍になります。君の桟台の蔵にある分も、座ったまま十倍になります。
解説
集計が出ます。貸し出された銭は三千万、粟は数千万鍾、利息を負う民は三万家。管子の言葉が重くて、これでは一つの国に君が五人いるのと同じだ、と。国が貧しくならず兵が弱くならないでいられるわけがない。手当ての第一手は、献上の品を特定の楽器に定めること。倉の在庫が十倍に跳ね上がります。
この章句が説くこと
泉を出だすこと参千万粟を出だすこと参数千万鍾子息を受くる民は参万家なり一国に中りて五君の正なり賀献する者をして皆な鐻枝蘭鼓を以てせしむ金貸し集計
関連する章句
-
『管子』輕重丁請う令を以て稱貸の家を召し、君因りて之に酌むに酒を以てし、太宰觴を行らしめん。桓公衣を舉げて問いて曰く、『寡人務め多く、衡をして吾が國に籍らしむ。子の吾が貧萌に假貸して、以て其の上を終うる有らしむるを聞く。今寡人に鐻枝蘭鼓有り、其の賈は純萬泉に中たるなり、願わくは以て吾が貧萌の為に其の子息の數を決し、劵契の責無からしめん』と。稱貸の家皆な首を齊しくして稽顙して曰く、『君の萌を憂うること此に至る、請う再拜して以て堂下に獻ぜん』と。桓公曰く、『不可なり。子吾が萌をして春に以て耜を倳つる有り、夏に以て芸を決する有らしむ。寡人の徳とすること子に寵する所無し、此くの若くして受けずんば、寡人心に得ず』と。
-
『管子』輕重丁桓公曰く、「寡人務め多し、衡をして吾が國の富商蓄賈稱貸の家に籍らしめ、以て吾が貧萌を利し、農夫をして其の本事を失わざらしめん。此に反するに道有りや」と。管子對えて曰く、「惟だ之に反するに號令を以てするのみ可なるのみ」と。桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う賔胥無をして馳せて南せしめ、隰朋をして馳せて北せしめ、戚をして馳せて東せしめ、鮑叔をして馳せて西せしめん。四子の行定まらば、夷吾請う號令せん、四子に謂いて曰く、『子皆な我が君の為に四方の稱貸の間を視、其の息を受くるの氓幾何千家なるかを、以て吾に報ぜよ』と」と。
-
『管子』輕重乙桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て師を發し屯を置き農に籍らんとし、十鍾の家は行かず、百鍾の家は行かず、千鍾の家は行かずとせよ。行く者は百の一、千の十に能わずして、囷窌の數は皆な上に見わる。君囷窌の數を案じ、之に令して曰く、『國貧しくして用足らず、請う平價を以て之を子より取らん』と、皆な囷窌に案じて挹損する能わず。君幣の輕重を直して以て其の數を決し、劵契の責無からしむれば、則ち積み藏する囷窌の粟は皆な君に歸せん。故に九州に敵無く、竟上に患い無し」と。令して曰く、「師を罷めて農に歸れ、之を用うる所無し」と。管子曰く、「天下に兵有らば、則ち積藏の粟は以て其の糧に備うるに足る。天下に兵無くんば、則ち以て貧甿に賜う。此くの若くんば、則ち菹菜鹹鹵斥澤山間の㙗の壤も草を發せざる無し。此れを之れ號令に籍ると謂う」と。
-
『管子』輕重乙桓公曰く、「壤數は此に盡くるか」と。管子對えて曰く、「未だし。昔狄諸侯は、畆鍾の國なり、故に粟十鍾にして錙金なり。程諸侯は、山諸侯の國なり、故に粟五釜にして錙金なり。故に狄諸侯は十鍾にして㦸を倳つるを得ず、程諸侯は五釜にして㦸を倳つるを得たり。十倍にして足らず、或いは五分にして餘り有る者は、輕重髙下の數に通ずればなり。國に十歳の蓄え有るも、民の食足らざる者は、皆な其の事業を以て君の祿を望めばなり。君に山海の財有るも、民の用足らざる者は、皆な其の事業を以て上に交接すればなり。故に租籍は、君の宜しく得べき所なり。正籍は、君の彊いて求むる所なり。亡君は其の宜しく得べき所を廢して、其の彊いて求むる所を斂む、故に下は上を怨みて令行われず。民は、之を奪えば則ち怒り、之に予うれば則ち喜ぶ。民情固より然り。先王は其の然るを知る、故に予うるの所を見わして、奪うの理を見わさず。故に五榖粟米なる者は、民の司命なり。黄金刀布なる者は、民の通貨なり。先王善く其の通貨を制して、以て其の司命を御す、故に民力盡くすべきなり」と。
-
『管子』山權數桓公丁氏に命じて曰く、「寡人老いたり、子為る者は此の數を知らず。終に吾が質を受けよ」と。丁氏歸り、築室を革め、賦籍を藏す。還ること四年にして、孤竹を伐つ。丁氏の粟は三軍五月の食に中つと謂う。桓公貢の數を立つるに、文行は七年に中りて四千金に中たり、黑白の子は千金に當たる。凡そ貢の制は、二齊の壤筴に中たるなり。貢を用うれば、國危うければ寶を出だし、國安ければ流を行う」と。桓公曰く、「何をか流と謂う」と。管子對えて曰く、「物に豫有れば、則ち君は筴を失いて民は生を失う。故に善く天下を為むる者は、二豫の外に操る」と。桓公曰く、「何をか二豫の外と謂う」と。管子對えて曰く、「萬乗の國は、以て萬金の蓄飾無かるべからず。千乗の國は、以て千金の蓄飾無かるべからず。百乗の國は、以て百金の蓄飾無かるべからず。此を以て令と進退するは、此れを之れ時に乗ずと謂う」と。
-
『管子』輕重丁桓公曰く、「糶賤し、寡人五榖の諸侯に歸せんことを恐る。寡人百姓萬民の為に之を藏せんと欲す、此を為すに道有りや」と。管子曰く、「今者夷吾市を過ぎしに、新たに囷京を成す者二家有り。君請う璧を式して之を聘せよ」と。桓公曰く、「諾」と。令を行うこと半歳、萬民之を聞き、其の作業を舎きて、囷京を為りて以て菽粟五榖を藏する者半ばを過ぐ。桓公管子に問いて曰く、「此れ其れ何の故ぞや」と。管子曰く、「囷京を成す者二家、君璧を式して之を聘す、名國中に顯れ、國中聞かざる莫し。是れ民は上には則ち功無くして名を百姓に顯し、功立ちて名成り、下には則ち其の囷京を實たし、上には以て上に給して君の為にす、一舉にして名實俱に在るなり。民何為れぞ然らざらんや」と。