管子 / 輕重丁
桓公曰:「糶賤,寡人恐五榖之歸於諸侯。寡人欲為百姓萬民藏之,為此有道乎?」管子曰:「今者夷吾過市,有新成囷京者二家。君請式璧而聘之。」桓公曰:「諾。」行令半嵗,萬民聞之,舎其作業,而為囷京以藏菽粟五榖者過半。桓公問管子曰:「此其何故也?」管子曰:「成囷京者二家,君式璧而聘之,名顯於國中,國中莫不聞。是民上則無功顯名於百姓也,功立而名成,下則實其囷京,上以給上為君,一舉而名實俱在也。民何為也?」
新字:桓公曰:「糶賤,寡人恐五榖之帰於諸侯。寡人欲為百姓万民蔵之,為此有道乎?」管子曰:「今者夷吾過市,有新成囷京者二家。君請式璧而聘之。」桓公曰:「諾。」行令半歳,万民聞之,舎其作業,而為囷京以蔵菽粟五榖者過半。桓公問管子曰:「此其何故也?」管子曰:「成囷京者二家,君式璧而聘之,名顕於国中,国中莫不聞。是民上則無功顕名於百姓也,功立而名成,下則実其囷京,上以給上為君,一舉而名実倶在也。民何為也?」
書き下し
桓公曰く、「糶賤し、寡人五榖の諸侯に歸せんことを恐る。寡人百姓萬民の為に之を藏せんと欲す、此を為すに道有りや」と。管子曰く、「今者夷吾市を過ぎしに、新たに囷京を成す者二家有り。君請う璧を式して之を聘せよ」と。桓公曰く、「諾」と。令を行うこと半歳、萬民之を聞き、其の作業を舎きて、囷京を為りて以て菽粟五榖を藏する者半ばを過ぐ。桓公管子に問いて曰く、「此れ其れ何の故ぞや」と。管子曰く、「囷京を成す者二家、君璧を式して之を聘す、名國中に顯れ、國中聞かざる莫し。是れ民は上には則ち功無くして名を百姓に顯し、功立ちて名成り、下には則ち其の囷京を實たし、上には以て上に給して君の為にす、一舉にして名實俱に在るなり。民何為れぞ然らざらんや」と。
現代語訳
桓公が言った。穀物の売値が安く、五穀が諸侯のところへ流れていくのが心配だ。私は民のためにそれを蓄えておきたい。これに道はあるか。管子が言った。さきほど私が市を通ったとき、新しく倉を建てた家が二軒ありました。君は璧を捧げてその家を訪ねなさい。桓公は、よし、と言った。令を行って半年、民はそれを聞いて、自分の仕事を措いてまで倉を建て、豆や粟や五穀を蓄える者が半ばを超えた。桓公が管子に問うた。これはなぜか。管子が言った。倉を建てた二軒を、君が璧を捧げて訪ねた。その名は国じゅうに知れ渡り、聞かない者はいません。民にとっては、上に対しては功がなくても民のあいだで名が知れ、功が立って名が成り、下に対しては自分の倉が満ち、上には差し出して君のためになる。一つの動きで名と実の両方が手に入るのです。民がどうしてそうしないでいられましょう。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』輕重乙桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て師を發し屯を置き農に籍らんとし、十鍾の家は行かず、百鍾の家は行かず、千鍾の家は行かずとせよ。行く者は百の一、千の十に能わずして、囷窌の數は皆な上に見わる。君囷窌の數を案じ、之に令して曰く、『國貧しくして用足らず、請う平價を以て之を子より取らん』と、皆な囷窌に案じて挹損する能わず。君幣の輕重を直して以て其の數を決し、劵契の責無からしむれば、則ち積み藏する囷窌の粟は皆な君に歸せん。故に九州に敵無く、竟上に患い無し」と。令して曰く、「師を罷めて農に歸れ、之を用うる所無し」と。管子曰く、「天下に兵有らば、則ち積藏の粟は以て其の糧に備うるに足る。天下に兵無くんば、則ち以て貧甿に賜う。此くの若くんば、則ち菹菜鹹鹵斥澤山間の㙗の壤も草を發せざる無し。此れを之れ號令に籍ると謂う」と。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「吾れ正商賈の利を殺して、農夫の事を益さんと欲す、此を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「粟重ければ萬物輕く、粟輕ければ萬物重し、兩つの者は衡して立たず。故に正商賈の利を殺して、農夫の事を益さんとせば、則ち請う粟の價を重くして金三百とせん。是くの若くんば則ち田野大いに辟け、農夫は其の事に勸まん」と。桓公曰く、「之を重くするに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う令を以て大夫と城藏せしめ、卿諸侯をして千鍾を藏せしめ、令大夫をして五百鍾を藏せしめ、列大夫をして百鍾を藏せしめ、富商蓄賈をして五十鍾を藏せしめん。内は以て國の委と為すべく、外は以て農夫の事を益すべし」と。桓公曰く、「善し」と。卿諸侯・令大夫に下令して城藏せしむ。農夫其の五榖を辟きて其の賈を三倍す。則ち正商は其の事を失いて、農夫は百倍の利有り。
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『管子』輕重丁桓公曰く、「大夫多く其の財を并せて出ださず、五榖を腐朽せしめて散ぜず」と。管子對えて曰く、「請う令を以て城陽の大夫を召して之を請わん」と。桓公曰く、「何ぞや」と。管子對えて曰く、「城陽の大夫は嬖寵に絺を被せ、鵝鶩は餘粖を含み、鍾鼓の聲を齊え、笙箎を吹く、同姓は入らず、伯叔父母・逺近の兄弟は皆な寒くして衣を得ず、饑えて食を得ず。子寡人に忠を盡くさんと欲す、能わんや。故に子復た寡人に見ゆる毋かれ、と」と。其の位を滅し、其の門を杜ぎて出でず。功臣の家皆な爭いて其の積藏を發き、其の資財を出だし、以て其の逺近の兄弟に予う。以て未だ足らずと為し、又た國中の貧病孤獨老いて自ら食らう能わざるの萌を收め、皆な與りて得しむ。故に桓公仁を推し義を立て、功臣の家は兄弟相い戚しみ、骨肉相い親しみ、國に饑民無し。此れを之れ繆數と謂う。
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『管子』輕重丁桓公曰く、「寡人務め多し、衡をして吾が國の富商蓄賈稱貸の家に籍らしめ、以て吾が貧萌を利し、農夫をして其の本事を失わざらしめん。此に反するに道有りや」と。管子對えて曰く、「惟だ之に反するに號令を以てするのみ可なるのみ」と。桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う賔胥無をして馳せて南せしめ、隰朋をして馳せて北せしめ、戚をして馳せて東せしめ、鮑叔をして馳せて西せしめん。四子の行定まらば、夷吾請う號令せん、四子に謂いて曰く、『子皆な我が君の為に四方の稱貸の間を視、其の息を受くるの氓幾何千家なるかを、以て吾に報ぜよ』と」と。
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『管子』輕重丁凡そ稱貸の家、泉を出だすこと參千萬、粟を出だすこと參數千萬鍾、子息を受くる民は參萬家なり。四子已に報ず。管子曰く、「我が君の萌有るを棄てず、一國に中りて五君の正なり。然らば國の貧しき無く、兵の弱き無きを欲するも、安んぞ得べけんや」と。桓公曰く、「此を為すに道有りや」と。管子曰く、「惟だ之に反するに號令を以てするのみ可なり。請う令を以て賀獻する者をして、皆な鐻枝蘭鼓を以てせしめば、則ち必ず坐ながらに長じて其の本に什倍せん。君の棧臺の職も、亦た坐ながらに長じて什倍せん。
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『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「輕重の數は惡くにか終わる」と。管子對えて曰く、「四時の更ごも舉がるが若く、終わる所無し。國に患憂有れば、五榖を輕重して以て用を調え、餘りを積み羨を臧して以て賞に備う。天下賔服し、海内を有てば、以て誠信仁義の士を富ます。故に民は辭讓を髙くして、竒怪を為す者無し。彼の輕重なる者は、諸侯服せざれば以て出でて戰い、諸侯賔服すれば以て仁義を行う」と。