管子 / 輕重丁
桓公曰:「寡人多務,令衡籍吾國之富商蓄賈稱貸家,以利吾貧萌,農夫不失其本事。反此有道乎?」管子對曰:「惟反之以號令為可耳。」桓公曰:「行事奈何?」管子對曰:「請使賔胥無馳而南,隰朋馳而北,戚馳而東,鮑叔馳而西。四子之行定,夷吾請號令,謂四子曰:『子皆為我君視四方稱貸之間,其受息之氓幾何千家,以報吾。』」
新字:桓公曰:「寡人多務,令衡籍吾国之富商蓄賈称貸家,以利吾貧萌,農夫不失其本事。反此有道乎?」管子対曰:「惟反之以号令為可耳。」桓公曰:「行事奈何?」管子対曰:「請使賔胥無馳而南,隰朋馳而北,戚馳而東,鮑叔馳而西。四子之行定,夷吾請号令,謂四子曰:『子皆為我君視四方称貸之間,其受息之氓幾何千家,以報吾。』」
書き下し
桓公曰く、「寡人務め多し、衡をして吾が國の富商蓄賈稱貸の家に籍らしめ、以て吾が貧萌を利し、農夫をして其の本事を失わざらしめん。此に反するに道有りや」と。管子對えて曰く、「惟だ之に反するに號令を以てするのみ可なるのみ」と。桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う賔胥無をして馳せて南せしめ、隰朋をして馳せて北せしめ、戚をして馳せて東せしめ、鮑叔をして馳せて西せしめん。四子の行定まらば、夷吾請う號令せん、四子に謂いて曰く、『子皆な我が君の為に四方の稱貸の間を視、其の息を受くるの氓幾何千家なるかを、以て吾に報ぜよ』と」と。
現代語訳
桓公が言った。私には務めが多い。値を扱う役に、我が国の富める商人や蓄えを持つ商人、金を貸す家から取り立てさせ、それで我が貧しい民を助け、農夫に生業を失わせないようにしたい。これをひっくり返す道はあるか。管子が答えた。ただ号令によってひっくり返すことだけが、できることです。桓公が言った。それをどう行うのか。管子が答えた。賓胥無を南へ、隰朋を北へ、寗戚を東へ、鮑叔を西へ走らせましょう。四人の行き先が決まったら、私が令を出します。四人にこう言う。あなたがたはみな我が君のために四方の金貸しの実情を見て、利息を負っている民が何千家あるかを私に報告せよ、と。
解説
貧しい民を助け、農夫に生業を失わせたくない。桓公の望みに、管子は号令しかない、と答えます。そのうえでまずやるのが調査でした。四人の重臣を東西南北へ走らせ、金貸しの実態と、利息を払っている家が何千あるかを報告させる。手を打つ前に数を掴む。この篇でいちばん実務的な始まり方です。
この章句が説くこと
吾が国の富商蓄賈称貸の家に籍らしめ以て吾が貧萌を利す惟だ之に反するに号令を以てするのみ可なるのみ賔胥無をして馳せて南せしめ隰朋をして馳せて北せしむ其の息を受くるの氓幾何千家なるかを以て吾に報ぜよ調査金貸し
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『管子』輕重丁凡そ稱貸の家、泉を出だすこと參千萬、粟を出だすこと參數千萬鍾、子息を受くる民は參萬家なり。四子已に報ず。管子曰く、「我が君の萌有るを棄てず、一國に中りて五君の正なり。然らば國の貧しき無く、兵の弱き無きを欲するも、安んぞ得べけんや」と。桓公曰く、「此を為すに道有りや」と。管子曰く、「惟だ之に反するに號令を以てするのみ可なり。請う令を以て賀獻する者をして、皆な鐻枝蘭鼓を以てせしめば、則ち必ず坐ながらに長じて其の本に什倍せん。君の棧臺の職も、亦た坐ながらに長じて什倍せん。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て師を發し屯を置き農に籍らんとし、十鍾の家は行かず、百鍾の家は行かず、千鍾の家は行かずとせよ。行く者は百の一、千の十に能わずして、囷窌の數は皆な上に見わる。君囷窌の數を案じ、之に令して曰く、『國貧しくして用足らず、請う平價を以て之を子より取らん』と、皆な囷窌に案じて挹損する能わず。君幣の輕重を直して以て其の數を決し、劵契の責無からしむれば、則ち積み藏する囷窌の粟は皆な君に歸せん。故に九州に敵無く、竟上に患い無し」と。令して曰く、「師を罷めて農に歸れ、之を用うる所無し」と。管子曰く、「天下に兵有らば、則ち積藏の粟は以て其の糧に備うるに足る。天下に兵無くんば、則ち以て貧甿に賜う。此くの若くんば、則ち菹菜鹹鹵斥澤山間の㙗の壤も草を發せざる無し。此れを之れ號令に籍ると謂う」と。
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