管子 / 輕重甲
桓公曰:「弓弩多匡䡔者,而重藉於民,奉繕工而使弓弩多匡䡔者,其故何也?」管子對曰:「鵝鶩之舎近,鵾雞鵠䳈之通逺。鵠鵾之所在,君請式璧而聘之。」桓公曰:「諾。」行事期年,而上無闕者,前無趨人。三月解弓弩無匡䡔者。召管子而問曰:「此何故也?」管子對曰:「鵠鵾之所在,君式璧而聘之。菹澤之民聞之,越平而射逺,非十鈞之弩不能中鵾雞鵠䳈。彼十鈞之弩,不得棐擏不能自正。故三月解而弓弩無匡䡔者。此何故也?以其家習其所也。」
新字:桓公曰:「弓弩多匡䡔者,而重藉於民,奉繕工而使弓弩多匡䡔者,其故何也?」管子対曰:「鵝鶩之舎近,鵾雞鵠䳈之通遠。鵠鵾之所在,君請式璧而聘之。」桓公曰:「諾。」行事期年,而上無闕者,前無趨人。三月解弓弩無匡䡔者。召管子而問曰:「此何故也?」管子対曰:「鵠鵾之所在,君式璧而聘之。菹沢之民聞之,越平而射遠,非十鈞之弩不能中鵾雞鵠䳈。彼十鈞之弩,不得棐擏不能自正。故三月解而弓弩無匡䡔者。此何故也?以其家習其所也。」
書き下し
桓公曰く、「弓弩に匡䡔多き者ありて、重く民に籍りて、繕工を奉じて弓弩をして匡䡔多からしむる者は、其の故は何ぞや」と。管子對えて曰く、「鵝鶩の舎は近く、鵾雞鵠䳈の通は逺し。鵠鵾の在る所、君請う璧を式して之を聘せよ」と。桓公曰く、「諾」と。事を行うこと期年にして、上に闕くる者無く、前に人を趨らす無し。三月にして弓弩を解くに匡䡔無き者なり。管子を召して問いて曰く、「此れ何の故ぞや」と。管子對えて曰く、「鵠鵾の在る所、君璧を式して之を聘す。菹澤の民之を聞き、平を越えて逺きを射る、十鈞の弩に非ざれば鵾雞鵠䳈に中つる能わず。彼の十鈞の弩は、棐擏を得ざれば自ら正す能わず。故に三月にして解くに弓弩に匡䡔無き者なり。此れ何の故ぞや。其の家其の所に習えるを以てなり」と。
現代語訳
桓公が言った。弓や弩に歪んだものが多く、民から重く取り立てて修理の職人を養っているのに、弓や弩の歪みが多いのはなぜか。管子が答えた。鵞鳥や家鴨のねぐらは近く、大鶴や白鳥の通うところは遠い。白鳥や大鶴のいるところへ、君は璧を添えてそれを求めなさい。桓公は、よし、と言った。それを行って一年、上には欠けるものがなくなり、人を走らせる必要もなくなった。三か月後に弓や弩を検めると、歪んだものがなかった。管子を呼んで問うた。これはなぜか。管子が答えた。白鳥や大鶴のいるところへ、君が璧を添えて求めた。沢の民がそれを聞き、平地を越えて遠くを射ようとする。十鈞の強さの弩でなければ大鶴や白鳥には当たらない。その十鈞の弩は、矯め木を使わなければ自分では真っすぐにならない。だから三か月後に検めても歪んだものがなかったのです。これはなぜか。家ごとに、その扱いに習熟したからです。
解説
この章句が説くこと
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『管子』戒桓公明日廩に弋す、管仲・隰朋朝す。公二子を望み、弓を弛め釬を脫して之を迎えて曰く、「今夫の鴻鵠は、春に北し秋に南し、而して其の時を失わず。夫れ唯だ羽翼有りて以て其の意を天下に通ずるか。今孤の天下に意を得ざるは、皆な二子の憂いに非ざるか」と。桓公再び言うも、二子對えず。桓公曰く、「孤既に言えり、二子何ぞ對えざるか」と。管仲對えて曰く、「今夫れ人は勞を患う、而して上使うこと時ならず。人は飢えを患う、而して上重く斂む。人は死を患う、而して上刑を急にす。此くの如くして又た色有るに近づきて德有るに遠ざかれば、鴻鵠の翼有り、大水を濟るに舟楫有るが如しと雖も、其れ將に君を若何せんとする」と。
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『管子』輕重甲桓公曰く、「皮幹筋角の徴は甚だ重し。重く民に籍りて市の皮幹筋角を貴くするは、國を為むるの數に非ざるなり」と。管子對えて曰く、「請う令を以て杠を髙くし池を柴し、東西相い睹ず、南北相い見えざらしめん」と。桓公曰く、「諾」と。事を行うこと期年にして、皮幹筋角の徵は分を去り、民の藉も分を去る。桓公管子を召して問いて曰く、「此れ何の故ぞや」と。管子對えて曰く、「杠池平らかなるの時、夫妻簟を服して輕く百里に至る。今杠を髙くし池を柴し、東西南北相い睹ず。天酸然として雨ふれば、十人の力も上る能わず。廣澤にして雨に遇えば、十人の力も得て恃むべからず。夫れ牛馬の力を舎きては因る所無し、牛馬絶え罷れて相い繼ぎ其の所に死する者相い望む、皮幹筋角は徒だ人に予えて之を取る莫く、牛馬の賈は必ず坐ながらに長じて百倍す。天下之を聞きて、必ず其の牛馬を離して齊に歸すること流るるが若し。故に杠を髙くし池を柴するは、天下の牛馬を致して、民の藉を損ずる所以なり。道に若し祕あり、云く、『物の生ずる所は、其の聚まる所に若かず』と」と。
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『管子』輕重丁桓公曰く、「四郊の民は貧しく、商賈の民は富む。寡人商賈の民を殺して、以て四郊の民を益さんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て瓁・洛の水を決し、之を杭・莊の間に通ぜん」と。桓公曰く、「諾」と。令を行うこと未だ一歳を能くせずして、郊の民は殷然として益ます富み、商賈の民は廓然として益ます貧し。桓公管子を召して問いて曰く、「此れ其の故は何ぞや」と。管子對えて曰く、「瓁・洛の水を決して之を杭・莊の間に通ずれば、則ち屠酤の汁は流水に肥え、則ち蟁虻・巨雄、翡燕・小鳥皆な之に歸し、昬飲に宜し。此れ水上の樂なり。賈人物を蓄えて、賣るを讎と為し、買うを取と為すも、市未だ央きず畢わらざるに、其の守列を委舎して、蟁虵巨雄に投ず。新たに冠する五尺は、彈を挾み丸を懷きて水上に游び、翡燕小鳥を彈ちて、暮に被る。故に賤く賣りて貴く買う。四郊の民は賣ること賤し、何為れぞ富まざらんや。商賈の人は何為れぞ貧しからざらんや」と。桓公曰く、「善し」と。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「皮幹筋角・竹箭・羽毛・齒革足らず、此を為すに道有りや」と。管子曰く、「惟だ曲衡の數のみ可なるのみ」と。桓公曰く、「事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て、諸侯の商賈の為に客舎を立て、一乗の者には食有り、三乗の者には芻菽有り、五乗の者には伍養有らしめば、天下の商賈の齊に歸すること流水の若し」と。
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『管子』輕重甲桓公北郭の民の貧しきを憂え、管子を召して問いて曰く、「北郭なる者は、盡く屨縷の甿なり、唐園を以て本利と為す、此を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う令を以て百鍾の家は、鞽を事とするを得ざらしめ、千鍾の家は、唐園を為すを得ざらしめ、市を去ること三百步の者は、葵菜を樹うるを得ざらしめん。此くの若くんば、則ち空聞相い給資する有りて、則ち北郭の甿は、其の手搔の功、唐園の利を讎る所有り。故に十倍の利有り」と。
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『管子』輕重甲桓公死事の後を賞せんと欲して、曰く、「吾が國なる者は、衢處の國、饋食の都、虎狼の棲む所なり。今戰う每に、死せるを輿し傷つけるを扶くること孤の如し、荼首の孫、㦸を倳つるの寶を仰ぐ、吾れ之に與うるに由無し、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「吾が國の豪家、封を遷し邑に食みて居る者は、君之を章らかにするに物を以てすれば則ち物重く、之を章らかにするに物を以てせざれば則ち物輕し。之を守るに物を以てすれば則ち物重く、之を守るに物を以てせざれば則ち物輕し。故に封を遷し邑に食む富商蓄賈、餘りを積み羨を藏し跱蓄する家、此れ吾が國の豪なり。