管子 / 揆度
桓公問管子曰:「吾聞海内玉幣有七筴,可得而聞乎?」管子對曰:「隂山之礝碈,一筴也。燕之紫山白金,一筴也。發、朝鮮之文皮,一筴也。汝、漢水之右衢黄金,一筴也。江陽之珠,一筴也。秦明山之曽青,一筴也。禺氏邊山之玉,一筴也。此謂以寡為多,以狹為廣,天下之數盡於輕重矣。」
新字:桓公問管子曰:「吾聞海内玉幣有七筴,可得而聞乎?」管子対曰:「陰山之礝碈,一筴也。燕之紫山白金,一筴也。発、朝鮮之文皮,一筴也。汝、漢水之右衢黄金,一筴也。江陽之珠,一筴也。秦明山之曽青,一筴也。禺氏辺山之玉,一筴也。此謂以寡為多,以狭為広,天下之数尽於軽重矣。」
書き下し
桓公管子に問いて曰く、「吾れ海内の玉幣に七筴有りと聞く、得て聞くべきか」と。管子對えて曰く、「隂山の礝碈は、一筴なり。燕の紫山の白金は、一筴なり。發・朝鮮の文皮は、一筴なり。汝・漢水の右衢の黄金は、一筴なり。江陽の珠は、一筴なり。秦の明山の曽青は、一筴なり。禺氏・邊山の玉は、一筴なり。此れ寡を以て多と為し、狹を以て廣と為すと謂う、天下の數は輕重に盡くるなり」と。
現代語訳
桓公が管子に問うた。国じゅうの玉と貨幣に七つの手立てがあると聞いた。聞かせてもらえるか。管子が答えた。陰山の美石が一つの手立て。燕の紫山の白金が一つの手立て。発と朝鮮の模様のある皮が一つの手立て。汝水と漢水の右の岐れの黄金が一つの手立て。江陽の珠が一つの手立て。秦の明山の曽青が一つの手立て。禺氏と辺山の玉が一つの手立て。これを、少ないものを多いとし、狭いものを広いとするといいます。天下の数え方は、値の上げ下げに尽きるのです。
解説
産地を七つ挙げて、それぞれが一つの手立てになると言います。陰山の玉、燕の白金、朝鮮の模様のある皮、黄金、珠、鉱物、西方の玉。少ないものを多いことにし、狭いものを広いことにする道具です。稀少なものを国の側に集めれば、面積や人口の不足を埋められる。地数篇にも同じ産地が並んでいました。
この章句が説くこと
海内の玉幣に七筴有り発朝鮮の文皮は一筴なり此れ寡を以て多と為し狭を以て広と為すと謂う天下の数は軽重に尽くるなり稀少産地
関連する章句
-
『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「隂山の馬の駕を具うる者は千乗なり。馬の平賈は萬なり、金の平賈も萬なり。吾に伏金千斤有り、此を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「君請う正籍に與る者をして、皆な幣を以て金に還らしめば、吾れ四萬に至らん。此れ一にして四と為るなり。吾れ埴を埏ね鑪櫜を揺るがして黄金を立つるに非ざるなり、今黄金の重き一にして四と為る者は、數なり。珠は赤野の末光に起こり、黄金は汝・漢水の右衢に起こり、玉は禺氏の邊山に起こる。此れ周を度り去ること七千八百里、其の涂逺く、其の至ること阨し、故に先王は其の重きを度り用いて之に因り、珠玉を上幣と為し、黄金を中幣と為し、刀布を下幣と為す。先王中幣を髙下して、下上の用を利くす。
-
『管子』山至數桓公曰く、「幣乗馬の數を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「士は資を受くるに幣を以てし、大夫は邑を受くるに幣を以てし、人馬は食を受くるに幣を以てすれば、則ち一國の榖資は上に在り、幣貲は下に在り、國榖の什倍するは、數なり。萬物財物の什の二を去るは、筴なり。皮革・筋角・羽毛・竹箭・器械・財物、茍しくも國器君用に合する者は、皆な矩劵上に有り。君實に鄉州に藏せしめて曰く、『某月某日、茍しくも責を從うる者は、鄉に決し州に決す』と。故に曰く、庸に就くこと一日にして決す、と。國筴は榖より出づ、軌もて國を筴るは、貨幣乗馬なる者なり。今刀布は官府に藏し、巧幣萬物の輕重は皆な賈に在り。彼れ幣重ければ萬物輕く、幣輕ければ萬物重し。彼れ榖重ければ榖輕し。人君榖幣金の衡を操れば、天下定むべきなり。此れ天下を守るの數なり」と。
-
『管子』輕重甲桓公曰く、「四夷服せず、其の逆政の天下に游びて寡人を傷らんことを恐る。寡人の行い、此を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「呉越朝せざれば、珠象もて以て幣と為さんか。發・朝鮮朝せざれば、請う文皮の毤服もて以て幣と為さんか。禺氏朝せざれば、請う白璧を以て幣と為さんか。崐崘の虚朝せざれば、請う璆琳琅玕を以て幣と為さんか。故に夫れ握りて手に見えず、含みて口に見えずして、千金に辟する者は、珠なり、然る後に八千里の呉越は得て朝すべきなり。一豹の皮、金を容れて金なり、然る後に八千里の發・朝鮮は得て朝すべきなり。懷きて抱に見えず、挾みて掖に見えずして千金に辟する者は、白璧なり、然る後に八千里の禺氏は得て朝すべきなり。簪珥にして千金に辟する者は、璆琳琅玕なり、然る後に八千里の崐崘の虚は得て朝すべきなり。故に物に主無く、事に接する無く、逺近相い因る無ければ、則ち四夷は得て朝せざるなり」と。
-
『管子』輕重乙武王癸度に問いて曰く、「賀獻重からざれば、身は君に親しまれず。左右足らざれば、友は羣臣に善しとせられず。故に穡を收め户に籍りて左右の用に給せんと欲せず、之を為すに道有りや」と。癸度對えて曰く、「吾が國なる者は、衢處の國なり、逺秸の通ずる所、游客蓄商の道る所、財物の遵る所なり。故に茍しくも吾が國に入れば粟あり、吾が國の幣に因り、然る後に黄金を載せて出づ。故に君請う重きを重くして輕きを衡し、物を運らして相い因れば、則ち國筴成るべし。故に謹んで其の度を失う毋くんば、未だ民と與にせずして治むべし」と。武王曰く、「事を行うこと奈何」と。癸度曰く、「金は汝・漢の右衢に出で、珠は赤野の末光に出で、玉は禺氏の旁山に出づ。此れ皆な周を距つること七千八百餘里、其の涂逺く、其の至ること阨し、故に先王は用を其の重に度り、因りて珠玉を以て上幣と為し、黄金を以て中幣と為し、刀布を以て下幣と為す。故に先王は善く中幣を髙下して、下上の用を制して、天下足れり」と。
-
『管子』山權數桓公曰く、「善し。吾れ三權の數を行わんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「梁山の陽の綪絤、夜石の幣は、天下に有る無し」と。管子曰く、「以て國榖を守るに歳ごとに一分を守り、以て五年を行えば、國榖の重は、異日に什倍せん」と。管子曰く、「請う幣を立てん。國の銅は、二年の粟を以て之を顧い、黔落を立て、力重は天下と調う。彼れ重ければ則ち射られ、輕ければ則ち泄る、故に天下と調う。泄るる者は權を失うなり、射らるる者は筴を失うなり。天の權に備えざれば下相い求め、準に備うれば下隂かに相い比す。此れ刑罰の起こる所にして、亂の本なり。故に平らかなれば則ち平らかならず、民富めば則ち貧しきに如かず、委積すれば則ち虚し。此れ三權の失なるのみ」と。
-
『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「輕重の數は惡くにか終わる」と。管子對えて曰く、「四時の更ごも舉がるが若く、終わる所無し。國に患憂有れば、五榖を輕重して以て用を調え、餘りを積み羨を臧して以て賞に備う。天下賔服し、海内を有てば、以て誠信仁義の士を富ます。故に民は辭讓を髙くして、竒怪を為す者無し。彼の輕重なる者は、諸侯服せざれば以て出でて戰い、諸侯賔服すれば以て仁義を行う」と。