管子 / 山至數
桓公曰:「行幣乗馬之數奈何?」管子對曰:「士受資以幣,大夫受邑以幣,人馬受食以幣,則一國之榖資在上,幣貲在下,國榖什倍,數也。萬物財物去什二,筴也。皮革筋角羽毛竹箭器械財物,茍合于國器君用者,皆有矩劵於上。君實鄉州藏焉,曰:『某月某日,茍從責者,鄉決州決。』故曰:就庸一日而決。國筴出於榖䡄國之筴,貨幣乗馬者也。今刀布藏於官府,巧幣萬物輕重皆在賈之。彼幣重而萬物輕,幣輕而萬物重。彼榖重而榖輕。人君操榖幣金衡,而天下可定也。此守天下之數也。」
新字:桓公曰:「行幣乗馬之数奈何?」管子対曰:「士受資以幣,大夫受邑以幣,人馬受食以幣,則一国之榖資在上,幣貲在下,国榖什倍,数也。万物財物去什二,筴也。皮革筋角羽毛竹箭器械財物,茍合于国器君用者,皆有矩劵於上。君実鄉州蔵焉,曰:『某月某日,茍従責者,鄉決州決。』故曰:就庸一日而決。国筴出於榖䡄国之筴,貨幣乗馬者也。今刀布蔵於官府,巧幣万物軽重皆在賈之。彼幣重而万物軽,幣軽而万物重。彼榖重而榖軽。人君操榖幣金衡,而天下可定也。此守天下之数也。」
書き下し
桓公曰く、「幣乗馬の數を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「士は資を受くるに幣を以てし、大夫は邑を受くるに幣を以てし、人馬は食を受くるに幣を以てすれば、則ち一國の榖資は上に在り、幣貲は下に在り、國榖の什倍するは、數なり。萬物財物の什の二を去るは、筴なり。皮革・筋角・羽毛・竹箭・器械・財物、茍しくも國器君用に合する者は、皆な矩劵上に有り。君實に鄉州に藏せしめて曰く、『某月某日、茍しくも責を從うる者は、鄉に決し州に決す』と。故に曰く、庸に就くこと一日にして決す、と。國筴は榖より出づ、軌もて國を筴るは、貨幣乗馬なる者なり。今刀布は官府に藏し、巧幣萬物の輕重は皆な賈に在り。彼れ幣重ければ萬物輕く、幣輕ければ萬物重し。彼れ榖重ければ榖輕し。人君榖幣金の衡を操れば、天下定むべきなり。此れ天下を守るの數なり」と。
現代語訳
桓公が言った。銭による乗馬の数え方をどう行うのか。管子が答えた。士は手当を銭で受け取り、大夫は邑を銭で受け取り、人も馬も食を銭で受け取る。そうすれば一国の穀物の元手は上にあり、銭の蓄えは下にある。国の穀物が十倍になるのは数のうえの当然です。万物財物が十のうち二下がるのも手立てです。皮や革、筋や角、羽毛、竹や矢竹、道具、財物のうち、国の器や君の用に合うものには、みな決まった証文が上にある。君はそれを郷や州に納めさせてこう言う。何月何日、支払いを求める者があれば、郷で決済し州で決済せよ、と。だからいう、日雇いに就けばその日のうちに決済する、と。国の手立ては穀物から出る。帳面で国を数えるのが、銭による乗馬である。いま刀銭も布銭も役所に納められているが、細工された銭も万物の値の上下も、すべて商人の手にある。銭が重ければ万物は軽く、銭が軽ければ万物は重い。穀物が重ければ穀物は軽い。主が穀物と銭と金の釣り合いを握れば、天下は定められる。これが天下を守る数え方です。
解説
この章句が説くこと
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『管子』山權數桓公曰く、「善し。吾れ三權の數を行わんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「梁山の陽の綪絤、夜石の幣は、天下に有る無し」と。管子曰く、「以て國榖を守るに歳ごとに一分を守り、以て五年を行えば、國榖の重は、異日に什倍せん」と。管子曰く、「請う幣を立てん。國の銅は、二年の粟を以て之を顧い、黔落を立て、力重は天下と調う。彼れ重ければ則ち射られ、輕ければ則ち泄る、故に天下と調う。泄るる者は權を失うなり、射らるる者は筴を失うなり。天の權に備えざれば下相い求め、準に備うれば下隂かに相い比す。此れ刑罰の起こる所にして、亂の本なり。故に平らかなれば則ち平らかならず、民富めば則ち貧しきに如かず、委積すれば則ち虚し。此れ三權の失なるのみ」と。
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『管子』山至數君は大夫の委を用いて、以て流れ上に歸す。君は民を用いて、時を以て君に歸す。輕きを藏し、輕きを出だすに重きを以てするは、數なり。則ち彼れ安くんぞ自ら還りて獨り之を委する大夫有らんや。彼の諸侯の榖十にして、吾が國の榖をして二十ならしめば、則ち諸侯の榖は吾が國に歸せん。諸侯の榖二十にして、吾が國の榖十なれば、則ち吾が國の榖は諸侯に歸せん。故に善く天下を為むる者は、謹んで重の流れを守りて、天下も吾より洩らさず。彼の重の相い歸するは、水の下に就くが如し。吾が國の歳凶なるに非ざるも、幣を以て之を藏す、故に國榖は倍重し、故に諸侯の榖至るなり。是れ一分を藏して以て諸侯の一分を致すなり、利は天下に奪われず、大夫は以て富み侈るを得ず。重きを以て輕きを藏し、國に常に十有るは、國の筴なり。故に諸侯は服して正されずとも臣は櫎に從いて以て忠なり。此れ輕重を以て天下を御するの道なり、之を數應と謂う。
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『管子』山至數桓公又た管子に問いて曰く、「身を終うるまで天下を有ちて失う勿からんとするに、之を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う天下に施す勿かれ、獨り之を吾が國に施せ」と。桓公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「國の廣狹、壤の肥墝に數有り、歳を終うるまでの食の餘りに數有り、彼の國を守る者は、榖を守るのみ」と。曰く、「某の縣の壤の廣きこと若干、某の縣の壤の狹きこと若干、則ち必ず委幣を積み、是に於て縣州里は公錢を受く。泰秋、國榖は三分の一を去る、君令を下し、郡縣屬大夫里邑に謂いて皆な粟を籍りて入るること若干とす。榖の重は一なるも、以て上に藏する者、國榖三分すれば、則ち二分は上に在り。泰春、國榖の倍重するは、數なり。泰夏、榖を賦するに市の櫎を以てし、民は皆な上の榖を受けて以て田土を治む。泰秋、田榖の存予する者若干、今上榖を歛むるに幣を以てすれば、民は幣無しと曰いて榖を以てす、則ち民の三は上に歸する有り。重の相い因り、時の化舉するは、國筴と為さざる無し。
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『管子』山至數桓公曰く、「何をか民に藏すと謂う」と。「請う棧臺の錢を散じて諸を城陽に散じ、鹿臺の布を散じて諸を濟隂に散ぜよ。君百姓に令を下して曰く、『民富めば、君は與に貧しきこと無し。民貧しければ、君は與に富むこと無し。故に賦に錢布無く、府に藏財無く、貲は民に藏す』と。歳豐かにして、五榖登り、五榖大いに輕く、榖の賈は上歳の分を去る。幣を以て之に據れば、榖を君と為し、幣を下と為す。國幣盡く下に在れば、幣輕く榖重し。上は上歳の二分を分かちて下に在らしめ、下歳の二分は上に在り、則ち二歳の者は四分上に在り。則ち國榖の一分は下に在り、榖は三倍重し。邦布の籍は、歳を終うるに十錢。人家食を受くるに、十畆にして十を加う、是れ一家にして十户なり。國榖の筴より出でて幣に藏する者なり。國幣の分を以て、復た百姓に布く。四もて減じて國榖の三は上に在り、一は下に在り。復筴なり。
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『管子』山至數桓公管子に問いて曰く、「請う幣乗馬を問う」と。管子對えて曰く、「始め夫の三大夫の家を取るに、方六里にして一乗、二十七人にして一乗を奉ず。幣乗馬なる者は、方六里、田の美惡は若干、穀の多寡は若干、榖の貴賤は若干、凡そ方六里に幣を用うること若干、榖の重に幣を用うること若干。故に幣乗馬なる者は、幣を國に布き、幣もて一國陸地の數と為す、之を幣乗馬と謂う」と。
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『管子』山至數桓公管子に問いて曰く、「昔者周人天下を有ち、諸侯賔服し、名教天下に通ず、而るに其の下に奪わる、何の數ぞや」と。管子對えて曰く、「君壤を分かちて貢入せしめ、市朝流を同じくす。黄金は、一筴なり。江陽の珠は、一筴なり。秦の明山の曾青は、一筴なり。此れ寡を以て多と為し、狹を以て廣と為すと謂う、軌出の屬なり」と。桓公曰く、「天下の數は軌出の屬に盡くるか」と。「今國榖重きこと什倍にして萬物輕し、大夫賈に謂う、之の子吾が為に榖を運びて財を斂めよと。榖の重は一なるも、今九は餘りと為る。榖重くして萬物輕し、此くの若くんば、則ち國財の九は大夫に在り。國歳ごとに一を反せば、財物の九なる者は、皆な倍重して出づ。財物下に在れば、幣の九は大夫に在り。然らば則ち幣と榖との羨は大夫に在るなり。天子客を以て行き、令は時を以て出づるも、熟榖の人亡び、諸侯受けて之を官し、朋を連ね與を聚め、萬物を髙下して、以て民用に合す。内は則ち大夫自ら還りて忠を盡くさず、外は則ち諸侯朋を連ね與を合す、熟榖の人は則ち去り亡ぶ、故に天子其の權を失うなり」と。桓公曰く、「善し」と。