管子 / 揆度
管子曰:「善正商任者省有肆,省有肆則市朝閒,市朝閒則田野充,田野充則民財足,民財足則君賦歛焉不窮。今則不然,民重而君重,重而不能輕;民輕而君輕,輕而不能重。天下善者不然,民重則君輕,民輕則君重。此乃財餘以滿不足之數故凡不能調民利者,不可以為大治。不察於終始,不可以為至矣。動左右以重相因,二十,國之筴也。鹽鐡二十,國之筴也。錫金二十,國之筴也。五官之數,不籍於民。」
新字:管子曰:「善正商任者省有肆,省有肆則市朝閒,市朝閒則田野充,田野充則民財足,民財足則君賦歛焉不窮。今則不然,民重而君重,重而不能軽;民軽而君軽,軽而不能重。天下善者不然,民重則君軽,民軽則君重。此乃財余以満不足之数故凡不能調民利者,不可以為大治。不察於終始,不可以為至矣。動左右以重相因,二十,国之筴也。塩鐡二十,国之筴也。錫金二十,国之筴也。五官之数,不籍於民。」
書き下し
管子曰く、「善く商任を正す者は、肆を省く有り、肆を省く有れば則ち市朝閒かなり。市朝閒かなれば則ち田野充ち、田野充つれば則ち民財足り、民財足れば則ち君の賦歛は焉に窮まらず。今は則ち然らず、民重くして君も重く、重くして輕くする能わず。民輕くして君も輕く、輕くして重くする能わず。天下の善き者は然らず、民重ければ則ち君輕く、民輕ければ則ち君重し。此れ乃ち財の餘りを以て不足を滿たすの數なり。故に凡そ民の利を調うる能わざる者は、以て大治を為すべからず。終始を察せざれば、以て至れりと為すべからず。左右を動かして重を以て相い因る、二十は、國の筴なり。鹽鐡の二十は、國の筴なり。錫金の二十は、國の筴なり。五官の數は、民に籍らず」と。
現代語訳
管子が言った。商いをうまく整える者は店を減らす。店が減れば市は静かになる。市が静かになれば田野は人で埋まる。田野が埋まれば民の財は足りる。民の財が足りれば、君の取り立ては行き詰まらない。いまはそうではない。民が高ければ君も高く、高いままで安くできない。民が安ければ君も安く、安いままで高くできない。天下でうまくやる者はそうではない。民が高ければ君は安く、民が安ければ君は高い。これこそが余った財で足りないところを満たす数え方である。だから民の利を整えられない者は、大きな治めを行うことはできない。始めと終わりを見きわめなければ、行きついたとはいえない。左右を動かして高値を互いに呼び込む。その二十が国の手立てである。塩と鉄の二十も国の手立てである。錫と金の二十も国の手立てである。この五つの官の数え方は、民から取り立てない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『管子』揆度管子曰く、「人君本を操れば、民は末を操るを得ず。人君始めを操れば、民は卒わりを操るを得ず。其の涂に在る者は、之を衢塞に籍る。其の榖に在る者は、之を春秋に守る。其の萬物に在る者は、貲を立てて行う。故に物動けば則ち之に應ず。故に豫め其の涂を奪えば則ち民に遵る無く、君其の流れを守れば則ち民は其の髙きを失う。故に四方の髙下を守れば、國に游賈無く、貴賤相い當たる、此れを國衡と謂う。利を以て相い守らば、則ち數は君に歸せん」と。
-
『管子』揆度桓公曰く、「何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「今天下兵を起こして我に加うれば、民は其の耒耜を棄て、戈を持して外に出づ、然らば則ち國は耕すことを得ず。此れ天の凶に非ざるなり、此れ人の凶なり。君朝に令して夕べに具うるを求むれば、民は其の財物と其の五榖とを肆べて讎と為し、厭きて去る、賈人受けて之を廩す、然らば則ち國財の一分は賈人に在り。師罷みて、民其の事に反り、萬物其の重に反れば、賈人其の財物を出だし、國の少分は賈人に廩せらる。此くの若くんば、則ち幣の重きこと三分、財物の輕重も三分。賈人三分の間に市れば、國の財物は盡く賈人に在りて、君は筴無し。民更ごも相い制して、君は事有る無し。此れ輕重の大準なり」と。
-
『管子』山至數君は大夫の委を用いて、以て流れ上に歸す。君は民を用いて、時を以て君に歸す。輕きを藏し、輕きを出だすに重きを以てするは、數なり。則ち彼れ安くんぞ自ら還りて獨り之を委する大夫有らんや。彼の諸侯の榖十にして、吾が國の榖をして二十ならしめば、則ち諸侯の榖は吾が國に歸せん。諸侯の榖二十にして、吾が國の榖十なれば、則ち吾が國の榖は諸侯に歸せん。故に善く天下を為むる者は、謹んで重の流れを守りて、天下も吾より洩らさず。彼の重の相い歸するは、水の下に就くが如し。吾が國の歳凶なるに非ざるも、幣を以て之を藏す、故に國榖は倍重し、故に諸侯の榖至るなり。是れ一分を藏して以て諸侯の一分を致すなり、利は天下に奪われず、大夫は以て富み侈るを得ず。重きを以て輕きを藏し、國に常に十有るは、國の筴なり。故に諸侯は服して正されずとも臣は櫎に從いて以て忠なり。此れ輕重を以て天下を御するの道なり、之を數應と謂う。
-
『管子』國蓄凡そ輕重の大利は、重を以て輕を射、賤を以て平を泄す。萬物の滿虚は財の準平に隨いて變ぜず。衡絶ゆれば則ち重見わる。人君其の然るを知る、故に之を守るに準平を以てす。萬室の都をして必ず萬鍾の藏有らしめ、繦千萬を藏す。千室の都をして必ず千鍾の藏有らしめ、繦百萬を藏す。春は以て耕に奉じ、夏は以て芸に奉じ、耒耜械器・種饟糧食は畢く君に贍うを取る。故に大賈蓄家は吾が民を豪奪するを得ざるなり。然らば則ち何ぞや。君其の本を養うこと謹めばなり。春に賦して以て繒帛を斂め、夏に貸して以て秋の實を收む、是の故に民に廢事無くして、國に失利無きなり。
-
『管子』國蓄凡そ將に國を為めんとするに、輕重に通ぜざれば、籠を為して以て民を守るべからず。民の利を調え通ずる能わざれば、以て制を語りて大治を為すべからず。是の故に萬乗の國には、萬金の賈有り。千乗の國には、千金の賈有り。然る者は何ぞや。國多く利を失えば、則ち臣は其の忠を盡くさず、士は其の死を盡くさざればなり。歳に凶穰有り、故に榖に貴賤有り。令に緩急有り、故に物に輕重有り。然り而して人君治むる能わず、故に蓄賈をして市に游ばしめ、民の給せざるに乗じて、其の本を百倍せしむ。地を分かつこと一の若きも、彊き者は能く守る。財を分かつこと一の若きも、智なる者は能く收む。智なる者は人に什倍するの功有り、愚なる者は本に賡わざるの事有り。然り而して人君調うる能わず、故に民に相い百倍するの生有るなり。夫れ民は富めば則ち祿を以て使うべからず、貧しければ則ち罰を以て威すべからず。法令の行われず、萬民の治まらざるは、貧富の齊しからざればなり。
-
『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「輕重の數は惡くにか終わる」と。管子對えて曰く、「四時の更ごも舉がるが若く、終わる所無し。國に患憂有れば、五榖を輕重して以て用を調え、餘りを積み羨を臧して以て賞に備う。天下賔服し、海内を有てば、以て誠信仁義の士を富ます。故に民は辭讓を髙くして、竒怪を為す者無し。彼の輕重なる者は、諸侯服せざれば以て出でて戰い、諸侯賔服すれば以て仁義を行う」と。