管子 / 國蓄
凡輕重之大利,以重射輕,以賤泄平。萬物之滿虚隨財準平而不變。衡絶則重見。人君知其然,故守之以準平。使萬室之都必有萬鍾之藏,藏繦千萬。使千室之都必有千鍾之藏,藏繦百萬。春以奉耕,夏以奉芸,耒耜械器種饟糧食畢取贍於君。故大賈蓄家不得豪奪吾民矣。然則何?君養其本謹也。春賦以斂繒帛,夏貸以收秋實,是故民無廢事,而國無失利也。
新字:凡軽重之大利,以重射軽,以賤泄平。万物之満虚随財準平而不変。衡絶則重見。人君知其然,故守之以準平。使万室之都必有万鍾之蔵,蔵繦千万。使千室之都必有千鍾之蔵,蔵繦百万。春以奉耕,夏以奉芸,耒耜械器種饟糧食畢取贍於君。故大賈蓄家不得豪奪吾民矣。然則何?君養其本謹也。春賦以斂繒帛,夏貸以収秋実,是故民無廃事,而国無失利也。
書き下し
凡そ輕重の大利は、重を以て輕を射、賤を以て平を泄す。萬物の滿虚は財の準平に隨いて變ぜず。衡絶ゆれば則ち重見わる。人君其の然るを知る、故に之を守るに準平を以てす。萬室の都をして必ず萬鍾の藏有らしめ、繦千萬を藏す。千室の都をして必ず千鍾の藏有らしめ、繦百萬を藏す。春は以て耕に奉じ、夏は以て芸に奉じ、耒耜械器・種饟糧食は畢く君に贍うを取る。故に大賈蓄家は吾が民を豪奪するを得ざるなり。然らば則ち何ぞや。君其の本を養うこと謹めばなり。春に賦して以て繒帛を斂め、夏に貸して以て秋の實を收む、是の故に民に廢事無くして、國に失利無きなり。
現代語訳
値の上げ下げによる大きな利は、重いもので軽いものを射抜き、安いもので平らなところを流し出すことにある。万物の満ち欠けは、財の水準が平らであるかぎり動かない。釣り合いが切れれば、重さが現れる。主はそうと知っているから、水準を平らに保って守る。一万戸の都には必ず一万鍾の蓄えを置き、銭千万を蓄える。千戸の都には必ず千鍾の蓄えを置き、銭百万を蓄える。春には耕作にあて、夏には草取りにあて、鋤も鍬も道具も種も食糧も、すべて君のところから用立てる。だから大商人や蓄えを持つ家が、我が民から奪い取ることができない。なぜそうなるのか。君が生業を養うことに気を配っているからである。春に貸し出して絹や布を集め、夏に貸して秋の実りで回収する。だから民は仕事を止めることがなく、国は利を逃すことがない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『管子』國蓄歳適たま美なれば、則ち市の糶に予うる無くして、狗彘人の食を食らう。歳適たま凶なれば、則ち市の糴は釜に十繦にして道に餓民有り。然らば則ち豈に壤力固より足らずして、食固より贍らざらんや。夫れ往歳の糶賤しく、狗彘人の食を食らう、故に來歳の民足らざるなり。物適たま賤しければ、則ち力を半ばにして予うる無く、民の事は其の本を償わず。物適たま貴ければ、則ち什倍して得べからず、民は其の用を失う。然らば則ち豈に財物固より寡なくして、本委固より足らざらんや。夫れ民の利の時失われて物の利の平らかならざればなり。故に善き者は民の足らざる所に委施し、民の餘り有る所に事を操る。夫れ民は餘り有れば則ち之を輕んず、故に人君は之を斂むるに輕を以てす。民は足らざれば則ち之を重んず、故に人君は之を散ずるに重を以てす。之を斂め積むに輕を以てし、之を散じ行うに重を以てす、故に君は必ず什倍の利有りて、財の櫎は得て平らかなるべきなり。
-
『管子』國蓄凡そ將に國を為めんとするに、輕重に通ぜざれば、籠を為して以て民を守るべからず。民の利を調え通ずる能わざれば、以て制を語りて大治を為すべからず。是の故に萬乗の國には、萬金の賈有り。千乗の國には、千金の賈有り。然る者は何ぞや。國多く利を失えば、則ち臣は其の忠を盡くさず、士は其の死を盡くさざればなり。歳に凶穰有り、故に榖に貴賤有り。令に緩急有り、故に物に輕重有り。然り而して人君治むる能わず、故に蓄賈をして市に游ばしめ、民の給せざるに乗じて、其の本を百倍せしむ。地を分かつこと一の若きも、彊き者は能く守る。財を分かつこと一の若きも、智なる者は能く收む。智なる者は人に什倍するの功有り、愚なる者は本に賡わざるの事有り。然り而して人君調うる能わず、故に民に相い百倍するの生有るなり。夫れ民は富めば則ち祿を以て使うべからず、貧しければ則ち罰を以て威すべからず。法令の行われず、萬民の治まらざるは、貧富の齊しからざればなり。
-
『管子』國蓄一人廩食すれば、十人餘りを得。十人廩食すれば、百人餘りを得。百人廩食すれば、千人餘りを得。夫れ物は多ければ則ち賤しく、寡なければ則ち貴し。散ずれば則ち輕く、聚まれば則ち重し。人君其の然るを知る、故に國の羨と不足とを視て其の財物を御す。榖賤しければ則ち幣を以て食に予え、布帛賤しければ則ち幣を以て衣に予う。物の輕重を視て之を御するに準を以てす、故に貴賤調うべくして、君其の利を得。
-
『管子』輕重丁桓公曰く、「衡數は吾れ已に之を聞くを得たり。請う國準を問う」と。管子對えて曰く、「孟春且に至らんとし、溝瀆阮れて遂げず、谿谷の上に報ゆるの水は藏に安んぜず、内は室屋を毁ち、牆垣を壞し、外は田野を傷り、禾稼を殘なう、故に君謹んで泉金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大夏、惟蓋衣幕の奉給らざれば、謹んで泉布の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大秋、甲兵繕うを求め、弓弩謹むを求む、絲麻の謝物、且つ之が為に舉ぐ。大冬、甲兵に任じ、粮食給らず、黄金の賞足らざれば、謹んで五穀黄金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。已に其の謝を守れば、富商蓄賈は故の如くなるを得ず。此れを之れ國準と謂う」と。
-
『管子』輕重乙桓公曰く、「吾れ正商賈の利を殺して、農夫の事を益さんと欲す、此を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「粟重ければ萬物輕く、粟輕ければ萬物重し、兩つの者は衡して立たず。故に正商賈の利を殺して、農夫の事を益さんとせば、則ち請う粟の價を重くして金三百とせん。是くの若くんば則ち田野大いに辟け、農夫は其の事に勸まん」と。桓公曰く、「之を重くするに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う令を以て大夫と城藏せしめ、卿諸侯をして千鍾を藏せしめ、令大夫をして五百鍾を藏せしめ、列大夫をして百鍾を藏せしめ、富商蓄賈をして五十鍾を藏せしめん。内は以て國の委と為すべく、外は以て農夫の事を益すべし」と。桓公曰く、「善し」と。卿諸侯・令大夫に下令して城藏せしむ。農夫其の五榖を辟きて其の賈を三倍す。則ち正商は其の事を失いて、農夫は百倍の利有り。
-
『管子』國蓄然らば則ち大國は内に欵り小國は用盡く、何を以て此に及ばん。曰く、「百乗の國は、賦を官して軌符す。四時の朝夕に乗じ、之を御するに輕重の準を以てし、然る後に百乗は及ぶべきなり。千乗の國は、天財の殖する所、械器の出づる所、財物の生ずる所を封じ、歳の滿虚を視て其の祿を輕重し、然る後に千乗は足るべきなり。萬乗の國は、歳の滿虚を守り民の緩急に乗じ、其の號令を正して其の大準を御し、然る後に萬乗は資るべきなり」と。