管子 / 揆度
桓公曰:「何謂也?」管子對曰:「今天下起兵加我,民棄其耒耜,出持戈於外,然則國不得耕。此非天凶也,此人凶也。君朝令而夕求具,民肆其財物與其五榖為讎,厭而去,賈人受而廩之,然則國財之一分在賈人。師罷,民反其事,萬物反其重,賈人出其財物,國之少分廩於賈人。若此,則幣重三分,財物之輕重三分。賈人市於三分之間,國之財物盡在賈人,而君無筴焉。民更相制,君無有事焉。此輕重之大準也。」
新字:桓公曰:「何謂也?」管子対曰:「今天下起兵加我,民棄其耒耜,出持戈於外,然則国不得耕。此非天凶也,此人凶也。君朝令而夕求具,民肆其財物与其五榖為讎,厭而去,賈人受而廩之,然則国財之一分在賈人。師罷,民反其事,万物反其重,賈人出其財物,国之少分廩於賈人。若此,則幣重三分,財物之軽重三分。賈人市於三分之間,国之財物尽在賈人,而君無筴焉。民更相制,君無有事焉。此軽重之大準也。」
書き下し
桓公曰く、「何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「今天下兵を起こして我に加うれば、民は其の耒耜を棄て、戈を持して外に出づ、然らば則ち國は耕すことを得ず。此れ天の凶に非ざるなり、此れ人の凶なり。君朝に令して夕べに具うるを求むれば、民は其の財物と其の五榖とを肆べて讎と為し、厭きて去る、賈人受けて之を廩す、然らば則ち國財の一分は賈人に在り。師罷みて、民其の事に反り、萬物其の重に反れば、賈人其の財物を出だし、國の少分は賈人に廩せらる。此くの若くんば、則ち幣の重きこと三分、財物の輕重も三分。賈人三分の間に市れば、國の財物は盡く賈人に在りて、君は筴無し。民更ごも相い制して、君は事有る無し。此れ輕重の大準なり」と。
現代語訳
桓公が言った。どういうことか。管子が答えた。いま天下が兵を起こして攻めてくれば、民は鋤や鍬を捨て、戈を持って外へ出る。そうなれば国は耕せない。これは天の凶ではなく、人の凶です。君が朝に令を出して夕方までに揃えよと求めれば、民は財も五穀も並べて売り払い、嫌気がさして去っていく。商人がそれを受け取って倉に納める。そうなれば国の財の一部は商人のところにある。軍が引き上げ、民がもとの仕事に戻り、万物の値がもとに戻れば、商人はその財物を売り出し、国のわずかな分がまた商人の倉に入る。こうなれば銭の値は三つに分かれ、財物の値も三つに分かれる。商人はその三つの隙間で商いをし、国の財物はすべて商人のところにあって、君には手立てがない。民は互いに制し合い、君にはすることがない。これが値の上げ下げの大きな水準です。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「輕重の數は惡くにか終わる」と。管子對えて曰く、「四時の更ごも舉がるが若く、終わる所無し。國に患憂有れば、五榖を輕重して以て用を調え、餘りを積み羨を臧して以て賞に備う。天下賔服し、海内を有てば、以て誠信仁義の士を富ます。故に民は辭讓を髙くして、竒怪を為す者無し。彼の輕重なる者は、諸侯服せざれば以て出でて戰い、諸侯賔服すれば以て仁義を行う」と。
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『管子』輕重丁桓公曰く、「衡數は吾れ已に之を聞くを得たり。請う國準を問う」と。管子對えて曰く、「孟春且に至らんとし、溝瀆阮れて遂げず、谿谷の上に報ゆるの水は藏に安んぜず、内は室屋を毁ち、牆垣を壞し、外は田野を傷り、禾稼を殘なう、故に君謹んで泉金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大夏、惟蓋衣幕の奉給らざれば、謹んで泉布の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大秋、甲兵繕うを求め、弓弩謹むを求む、絲麻の謝物、且つ之が為に舉ぐ。大冬、甲兵に任じ、粮食給らず、黄金の賞足らざれば、謹んで五穀黄金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。已に其の謝を守れば、富商蓄賈は故の如くなるを得ず。此れを之れ國準と謂う」と。
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『管子』輕重甲桓公管子に問いて曰く、「今㦸を倳つること十萬、薪菜の靡やすること、日に十里の衍を虚しくす。㦸を頓きて一たび譟げば、而ち幣を靡やすの用、日に千金の積みを去る。之を久しくせば、且た何を以て之を待たん」と。管子對えて曰く、「粟の賈平らかにして四十なれば、則ち金の賈は四千なり。粟の賈釜に四十なれば、則ち鍾に四百なり、十鍾にして四千なり、二十鍾なる者は八千と為る。金の賈四千なれば、則ち二金は八千に中たるなり。然らば則ち一農の事、歳を終うるまで百畝を耕し、百畝の收は、二十鍾に過ぎず、一農の事は乃ち二金の財に中たるのみ。故に粟重ければ黄金輕く、黄金重ければ粟輕し、兩つの者は衡して立たず。故に善き者は粟の賈を重くし、釜に四百なれば、則ち是れ鍾に四千なり、十鍾にして四萬、二十鍾なる者は八萬。金の賈四千なれば、則ち是れ十金は四萬なり、二十金なる者は八萬と為る。故に號を發し令を出だして曰く、一農の事は、二十金の筴有りと。然らば則ち地に廣狹有るに非ず、國に貧富有るに非ざるなり、號を發し令を出だすに通じ、輕重の數に審らかなること然るなり」と。
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『管子』輕重甲桓公死事の後を賞せんと欲して、曰く、「吾が國なる者は、衢處の國、饋食の都、虎狼の棲む所なり。今戰う每に、死せるを輿し傷つけるを扶くること孤の如し、荼首の孫、㦸を倳つるの寶を仰ぐ、吾れ之に與うるに由無し、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「吾が國の豪家、封を遷し邑に食みて居る者は、君之を章らかにするに物を以てすれば則ち物重く、之を章らかにするに物を以てせざれば則ち物輕し。之を守るに物を以てすれば則ち物重く、之を守るに物を以てせざれば則ち物輕し。故に封を遷し邑に食む富商蓄賈、餘りを積み羨を藏し跱蓄する家、此れ吾が國の豪なり。
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『管子』揆度管子曰く、「善く商任を正す者は、肆を省く有り、肆を省く有れば則ち市朝閒かなり。市朝閒かなれば則ち田野充ち、田野充つれば則ち民財足り、民財足れば則ち君の賦歛は焉に窮まらず。今は則ち然らず、民重くして君も重く、重くして輕くする能わず。民輕くして君も輕く、輕くして重くする能わず。天下の善き者は然らず、民重ければ則ち君輕く、民輕ければ則ち君重し。此れ乃ち財の餘りを以て不足を滿たすの數なり。故に凡そ民の利を調うる能わざる者は、以て大治を為すべからず。終始を察せざれば、以て至れりと為すべからず。左右を動かして重を以て相い因る、二十は、國の筴なり。鹽鐡の二十は、國の筴なり。錫金の二十は、國の筴なり。五官の數は、民に籍らず」と。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「壤數は此に盡くるか」と。管子對えて曰く、「未だし。昔狄諸侯は、畆鍾の國なり、故に粟十鍾にして錙金なり。程諸侯は、山諸侯の國なり、故に粟五釜にして錙金なり。故に狄諸侯は十鍾にして㦸を倳つるを得ず、程諸侯は五釜にして㦸を倳つるを得たり。十倍にして足らず、或いは五分にして餘り有る者は、輕重髙下の數に通ずればなり。國に十歳の蓄え有るも、民の食足らざる者は、皆な其の事業を以て君の祿を望めばなり。君に山海の財有るも、民の用足らざる者は、皆な其の事業を以て上に交接すればなり。故に租籍は、君の宜しく得べき所なり。正籍は、君の彊いて求むる所なり。亡君は其の宜しく得べき所を廢して、其の彊いて求むる所を斂む、故に下は上を怨みて令行われず。民は、之を奪えば則ち怒り、之に予うれば則ち喜ぶ。民情固より然り。先王は其の然るを知る、故に予うるの所を見わして、奪うの理を見わさず。故に五榖粟米なる者は、民の司命なり。黄金刀布なる者は、民の通貨なり。先王善く其の通貨を制して、以て其の司命を御す、故に民力盡くすべきなり」と。