管子 / 山至數
君用大夫之委,以流歸於上。君用民,以時歸於君。藏輕,出輕以重,數也。則彼安有自還之大夫獨委之?彼諸侯之榖十,使吾國榖二十,則諸侯榖歸吾國矣。諸侯榖二十,吾國榖十,則吾國榖歸於諸侯矣。故善為天下者,謹守重流,而天下不吾洩矣。彼重之相歸,如水之就下。吾國嵗非凶也,以幣藏之,故國榖倍重,故諸侯之榖至也。是藏一分以致諸侯之一分,利不奪於天下,大夫不得以富侈。以重藏輕,國常有十,國之筴也。故諸侯服而無正臣櫎從而以忠。此以輕重御天下之道也,謂之數應。」
新字:君用大夫之委,以流帰於上。君用民,以時帰於君。蔵軽,出軽以重,数也。則彼安有自還之大夫独委之?彼諸侯之榖十,使吾国榖二十,則諸侯榖帰吾国矣。諸侯榖二十,吾国榖十,則吾国榖帰於諸侯矣。故善為天下者,謹守重流,而天下不吾洩矣。彼重之相帰,如水之就下。吾国歳非凶也,以幣蔵之,故国榖倍重,故諸侯之榖至也。是蔵一分以致諸侯之一分,利不奪於天下,大夫不得以富侈。以重蔵軽,国常有十,国之筴也。故諸侯服而無正臣櫎従而以忠。此以軽重御天下之道也,謂之数応。」
書き下し
君は大夫の委を用いて、以て流れ上に歸す。君は民を用いて、時を以て君に歸す。輕きを藏し、輕きを出だすに重きを以てするは、數なり。則ち彼れ安くんぞ自ら還りて獨り之を委する大夫有らんや。彼の諸侯の榖十にして、吾が國の榖をして二十ならしめば、則ち諸侯の榖は吾が國に歸せん。諸侯の榖二十にして、吾が國の榖十なれば、則ち吾が國の榖は諸侯に歸せん。故に善く天下を為むる者は、謹んで重の流れを守りて、天下も吾より洩らさず。彼の重の相い歸するは、水の下に就くが如し。吾が國の歳凶なるに非ざるも、幣を以て之を藏す、故に國榖は倍重し、故に諸侯の榖至るなり。是れ一分を藏して以て諸侯の一分を致すなり、利は天下に奪われず、大夫は以て富み侈るを得ず。重きを以て輕きを藏し、國に常に十有るは、國の筴なり。故に諸侯は服して正されずとも臣は櫎に從いて以て忠なり。此れ輕重を以て天下を御するの道なり、之を數應と謂う。
現代語訳
君は大夫の蓄えを用いて、流れを上に集める。君は民を用いて、時に応じて上に集める。安いときに蓄え、高いときに出す。これが数え方である。そうであれば、どうして自分のほうを向いて蓄えを独り占めする大夫がいようか。諸侯の穀物の値が十のとき、自国の穀物を二十にしておけば、諸侯の穀物は自国へ集まる。諸侯の穀物が二十で自国が十なら、自国の穀物は諸侯のところへ出ていく。だからうまく天下を治める者は、値の重い流れを念入りに守り、天下は自分のところから漏らさない。値の重いほうへ寄っていくさまは、水が低いほうへ流れるのと同じである。自国の年が凶なのではないのに、銭で買い集めて蓄える。だから国の穀物は倍の値になり、諸侯の穀物がやって来る。これは一分を蓄えて諸侯の一分を招き寄せることであり、利は天下に奪われず、大夫は富んで奢ることができない。高いときに安いものを蓄え、国に常に十がある。これが国の手立てである。だから諸侯は正されずとも服し、臣は相場に従って忠を尽くす。これが値の上げ下げによって天下を操る道であり、これを数の応じ方という。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』山至數桓公曰く、「幣乗馬の數を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「士は資を受くるに幣を以てし、大夫は邑を受くるに幣を以てし、人馬は食を受くるに幣を以てすれば、則ち一國の榖資は上に在り、幣貲は下に在り、國榖の什倍するは、數なり。萬物財物の什の二を去るは、筴なり。皮革・筋角・羽毛・竹箭・器械・財物、茍しくも國器君用に合する者は、皆な矩劵上に有り。君實に鄉州に藏せしめて曰く、『某月某日、茍しくも責を從うる者は、鄉に決し州に決す』と。故に曰く、庸に就くこと一日にして決す、と。國筴は榖より出づ、軌もて國を筴るは、貨幣乗馬なる者なり。今刀布は官府に藏し、巧幣萬物の輕重は皆な賈に在り。彼れ幣重ければ萬物輕く、幣輕ければ萬物重し。彼れ榖重ければ榖輕し。人君榖幣金の衡を操れば、天下定むべきなり。此れ天下を守るの數なり」と。
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『管子』山至數大夫は壤を聚めて封じ、實を積みて上に驕る、請う之を奪うに㑹を以てせん」と。桓公曰く、「何をか之を奪うに㑹を以てすと謂う」と。管子對えて曰く、「粟の三分は上に在り、民萌をして皆な上の粟を受けしめ、君の藏を度るを謂うなり。五榖相い靡して重く、什の三を去りて餘りと為し、國幣を以て榖の准を反行すれば、大夫は重きに什する無し。君幣を以て祿を賦すれば、什は上に在り。君榖を出だすこと什にして七を去る。君は三を歛め、上は七を賦す。散じて資らざる者を振うは、仁義なり。五榖相い靡して輕きは、數なり。鄉を以て重きを完うして國に籍するは、數なり。實財を出だし、仁義を散じ、萬物輕きは、數なり。時に乗じて進退す。故に曰く、王者は時に乗じ、聖人は易に乗ず」と。桓公曰く、「善し」と。
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『管子』山至數桓公又た管子に問いて曰く、「身を終うるまで天下を有ちて失う勿からんとするに、之を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う天下に施す勿かれ、獨り之を吾が國に施せ」と。桓公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「國の廣狹、壤の肥墝に數有り、歳を終うるまでの食の餘りに數有り、彼の國を守る者は、榖を守るのみ」と。曰く、「某の縣の壤の廣きこと若干、某の縣の壤の狹きこと若干、則ち必ず委幣を積み、是に於て縣州里は公錢を受く。泰秋、國榖は三分の一を去る、君令を下し、郡縣屬大夫里邑に謂いて皆な粟を籍りて入るること若干とす。榖の重は一なるも、以て上に藏する者、國榖三分すれば、則ち二分は上に在り。泰春、國榖の倍重するは、數なり。泰夏、榖を賦するに市の櫎を以てし、民は皆な上の榖を受けて以て田土を治む。泰秋、田榖の存予する者若干、今上榖を歛むるに幣を以てすれば、民は幣無しと曰いて榖を以てす、則ち民の三は上に歸する有り。重の相い因り、時の化舉するは、國筴と為さざる無し。
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『管子』山至數桓公管子に問いて曰く、「今海内を有ち、諸侯を縣くれば、則ち國勢は用いざるのみか」と。管子對えて曰く、「今諸侯を以て䇡と為し、公州之を飾る。以て四時に乗じ、捫牢の筴を行い、以て東西南北相い彼れとし、用いて平らかにして準ず。故に曰く、諸侯と為れば、則ち萬物を髙下して、以て諸侯に應ず。徧く天下を有てば、則ち幣を賦して以て萬物の朝夕を守り、調えて已に利あり。足る有れば則ち行い、滿たざれば則ち止まる有り。王者は鄉州もて時を以て之を察す、故に利は相い傾かず、縣は其の所に死し、君は大を守りて一を奉ず、之を國簿と謂う」と。
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『管子』山至數桓公曰く、「何をか民に藏すと謂う」と。「請う棧臺の錢を散じて諸を城陽に散じ、鹿臺の布を散じて諸を濟隂に散ぜよ。君百姓に令を下して曰く、『民富めば、君は與に貧しきこと無し。民貧しければ、君は與に富むこと無し。故に賦に錢布無く、府に藏財無く、貲は民に藏す』と。歳豐かにして、五榖登り、五榖大いに輕く、榖の賈は上歳の分を去る。幣を以て之に據れば、榖を君と為し、幣を下と為す。國幣盡く下に在れば、幣輕く榖重し。上は上歳の二分を分かちて下に在らしめ、下歳の二分は上に在り、則ち二歳の者は四分上に在り。則ち國榖の一分は下に在り、榖は三倍重し。邦布の籍は、歳を終うるに十錢。人家食を受くるに、十畆にして十を加う、是れ一家にして十户なり。國榖の筴より出でて幣に藏する者なり。國幣の分を以て、復た百姓に布く。四もて減じて國榖の三は上に在り、一は下に在り。復筴なり。
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『管子』山至數桓公管子に問いて曰く、「昔者周人天下を有ち、諸侯賔服し、名教天下に通ず、而るに其の下に奪わる、何の數ぞや」と。管子對えて曰く、「君壤を分かちて貢入せしめ、市朝流を同じくす。黄金は、一筴なり。江陽の珠は、一筴なり。秦の明山の曾青は、一筴なり。此れ寡を以て多と為し、狹を以て廣と為すと謂う、軌出の屬なり」と。桓公曰く、「天下の數は軌出の屬に盡くるか」と。「今國榖重きこと什倍にして萬物輕し、大夫賈に謂う、之の子吾が為に榖を運びて財を斂めよと。榖の重は一なるも、今九は餘りと為る。榖重くして萬物輕し、此くの若くんば、則ち國財の九は大夫に在り。國歳ごとに一を反せば、財物の九なる者は、皆な倍重して出づ。財物下に在れば、幣の九は大夫に在り。然らば則ち幣と榖との羨は大夫に在るなり。天子客を以て行き、令は時を以て出づるも、熟榖の人亡び、諸侯受けて之を官し、朋を連ね與を聚め、萬物を髙下して、以て民用に合す。内は則ち大夫自ら還りて忠を盡くさず、外は則ち諸侯朋を連ね與を合す、熟榖の人は則ち去り亡ぶ、故に天子其の權を失うなり」と。桓公曰く、「善し」と。