管子 / 地數
桓公問於管子曰:「以天財地利立功成名於天下者,誰子也?」管子對曰:「文、武是也。」桓公曰:「此若言何謂也?」管子對曰:「夫玉起於牛氏、邊山,金起於汝、漢之右洿,珠起於赤野之末光。此皆距周七千八百里,其涂逺而至難,故先王各用於其重,珠玉為上幣,黄金為中幣,刀布為下幣。令疾則黄金重,令徐則黄金輕。先王權度其號令之徐疾,髙下其中幣,而制下上之用,則文、武是也。」
新字:桓公問於管子曰:「以天財地利立功成名於天下者,誰子也?」管子対曰:「文、武是也。」桓公曰:「此若言何謂也?」管子対曰:「夫玉起於牛氏、辺山,金起於汝、漢之右洿,珠起於赤野之末光。此皆距周七千八百里,其涂遠而至難,故先王各用於其重,珠玉為上幣,黄金為中幣,刀布為下幣。令疾則黄金重,令徐則黄金軽。先王権度其号令之徐疾,高下其中幣,而制下上之用,則文、武是也。」
書き下し
桓公管子に問いて曰く、「天財地利を以て功を立て名を天下に成す者は、誰か子ぞ」と。管子對えて曰く、「文・武是れなり」と。桓公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「夫れ玉は牛氏・邊山に起こり、金は汝・漢の右洿に起こり、珠は赤野の末光に起こる。此れ皆な周を距つること七千八百里、其の涂逺くして至り難し、故に先王各おの其の重に用い、珠玉を上幣と為し、黄金を中幣と為し、刀布を下幣と為す。令疾ければ則ち黄金重く、令徐ければ則ち黄金輕し。先王は其の號令の徐疾を權度し、其の中幣を髙下して、下上の用を制す、則ち文・武是れなり」と。
現代語訳
桓公が管子に問うた。天の財と地の利によって功を立て、天下に名を成したのは誰か。管子が答えた。文王と武王です。桓公が言った。その言葉はどういう意味か。管子が答えた。玉は牛氏や辺山に生まれ、金は汝水と漢水の右のくぼ地に生まれ、珠は赤野の果てに生まれる。これらはみな周から七千八百里、道は遠く手に入れるのが難しい。だから先王はそれぞれの重さに応じて用い、珠玉を上の貨幣、黄金を中の貨幣、刀銭と布銭を下の貨幣とした。令が急であれば黄金は高くなり、令が緩やかであれば黄金は安くなる。先王は号令の緩急を測り、中の貨幣の値を上下させて、下と上の用いようを制した。それが文王と武王です。
解説
この章句が説くこと
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『管子』國蓄玉は禺氏に起こり、金は汝漢に起こり、珠は赤野に起こる。東西南壮、周を距つること七千八百里、水絶え壤斷え、舟車通ずる能わず。先王は其の途の逺く、其の至るの難きが為に、故に用を其の重に託し、珠玉を以て上幣と為し、黄金を以て中幣と為し、刀布を以て下幣と為す。三幣は之を握れば則ち煖かきに補い有るに非ざるなり、之を食らえば則ち飽くに補い有るに非ざるなり、先王は以て財物を守り、以て民事を御して、天下を平らげしなり。今人君籍りて民に求め、令して曰く十日にして具えよとすれば、則ち財物の賈は什に一を去る。令して曰く八日にして具えよとすれば、則ち財物の賈は什に二を去る。令して曰く五日にして具えよとすれば、則ち財物の賈は什に半を去る。朝に令して夕べに具えよとすれば、則ち財物の賈は什に九を去る。先王は其の然るを知る、故に萬民に求めずして、號令に籍りしなり。
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『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「隂山の馬の駕を具うる者は千乗なり。馬の平賈は萬なり、金の平賈も萬なり。吾に伏金千斤有り、此を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「君請う正籍に與る者をして、皆な幣を以て金に還らしめば、吾れ四萬に至らん。此れ一にして四と為るなり。吾れ埴を埏ね鑪櫜を揺るがして黄金を立つるに非ざるなり、今黄金の重き一にして四と為る者は、數なり。珠は赤野の末光に起こり、黄金は汝・漢水の右衢に起こり、玉は禺氏の邊山に起こる。此れ周を度り去ること七千八百里、其の涂逺く、其の至ること阨し、故に先王は其の重きを度り用いて之に因り、珠玉を上幣と為し、黄金を中幣と為し、刀布を下幣と為す。先王中幣を髙下して、下上の用を利くす。
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『管子』輕重乙武王癸度に問いて曰く、「賀獻重からざれば、身は君に親しまれず。左右足らざれば、友は羣臣に善しとせられず。故に穡を收め户に籍りて左右の用に給せんと欲せず、之を為すに道有りや」と。癸度對えて曰く、「吾が國なる者は、衢處の國なり、逺秸の通ずる所、游客蓄商の道る所、財物の遵る所なり。故に茍しくも吾が國に入れば粟あり、吾が國の幣に因り、然る後に黄金を載せて出づ。故に君請う重きを重くして輕きを衡し、物を運らして相い因れば、則ち國筴成るべし。故に謹んで其の度を失う毋くんば、未だ民と與にせずして治むべし」と。武王曰く、「事を行うこと奈何」と。癸度曰く、「金は汝・漢の右衢に出で、珠は赤野の末光に出で、玉は禺氏の旁山に出づ。此れ皆な周を距つること七千八百餘里、其の涂逺く、其の至ること阨し、故に先王は用を其の重に度り、因りて珠玉を以て上幣と為し、黄金を以て中幣と為し、刀布を以て下幣と為す。故に先王は善く中幣を髙下して、下上の用を制して、天下足れり」と。
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『管子』地數桓公管子に問いて曰く、「請う天財の出づる所、地利の在る所を問う」と。管子對えて曰く、「山上に赭有る者は其の下に鐡有り、上に鈆有る者は其の下に銀有り。一に曰く、上に鈆有る者は其の下に鉒銀有り、上に丹沙有る者は其の下に鉒金有り、上に慈石有る者は其の下に銅金有り。此れ山の榮を見わす者なり。茍しくも山の榮を見わす者は、謹んで封じて禁と為す。封山を動かす者有らば、罪は死にして赦さず。令を犯す者有らば、左足入らば、左足を斷ち、右足入らば、右足を斷つ。然らば則ち其れ之を犯すに與すること逺し。此れ天財地利の在る所なり」と。
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『管子』地數桓公曰く、「地數は聞くを得べきか」と。管子對えて曰く、「地の東西は二萬八千里、南北は二萬六千里。其の水を出だす者は八千里、水を受くる者は八千里。銅を出だすの山は四百六十七山、鐵を出だすの山は三千六百九山。此れ壤を分かち榖を樹うる所以なり。戈矛の發する所、刀幣の起こる所なり。能なる者は餘り有り、拙なる者は足らず。泰山に封じ、梁父に禪す、封禪の王七十二家、得失の數は皆な此の内に在り。是れを國用と謂う」と。桓公曰く、「何をか得失の數皆な此に在りと謂う」と。管子對えて曰く、「昔者、桀は天下に霸たるも用足らず、湯は七十里の薄を有ちて用餘り有り。天は獨り湯の為に菽粟を雨らすに非ず、地も獨り湯の為に財物を出だすに非ざるなり。伊尹は善く輕重・開闔・決塞を通移し、髙下徐疾の筴に通ず、坐起の費は、時なり。
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『管子』地數桓公管子に問いて曰く、「吾れ國財を守りて天下に税せずして、外は天下に因らんと欲す、可なるか」と。管子對えて曰く、「可なり。夫れ水は激して渠に流れ、令疾くして物重し。先王は其の號令の徐疾を理め、内は國財を守りて外は天下に因れり」と。桓公管子に問いて曰く、「其の事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「夫れ昔者武王に巨橋の粟有り、糴を貴くするの數あり」と。桓公曰く、「之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「武王重泉の戌を立てて令して曰く、『民の自ら百鼓の粟有る者は行かず』と。民は最む所の粟を舉げて、以て重泉の戍を避く、而して國榖は二十倍し、巨橋の粟も亦た二十倍す。武王巨橋の粟の二十倍なるを以て繒帛を市い、軍は五歳民に衣を籍る毋し。巨橋の粟の二十倍なるを以て黄金百萬に衡す、身を終うるまで民に籍る無し、準衡の數なり」と。