管子 / 禁藏
發五正,赦薄罪,出拘民,解仇讎,所以建時功,施生榖也。夏賞五德,滿爵禄,遷官位,禮孝弟,復賢力,所以勸功也。秋行五刑,誅大罪,所以禁淫邪,止盜賊。冬収五藏,最萬物,所以内作民也。四時事備,而民功百倍矣。故春仁,夏忠,秋急,冬閉,順天之時,約地之宜,忠人之和。故風雨時,五榖實,草木美多,六畜蕃息,國富兵彊,民材而令行,内無煩擾之政,外無彊敵之患也。夫動静順然後和也,不失其時然後富,不失其法然後治。故國不虚富,民不虚治。不治而昌,不亂而亡者,自古至今,未嘗有也。
新字:発五正,赦薄罪,出拘民,解仇讎,所以建時功,施生穀也。夏賞五徳,満爵禄,遷官位,礼孝弟,復賢力,所以勧功也。秋行五刑,誅大罪,所以禁淫邪,止盗賊。冬収五蔵,最万物,所以内作民也。四時事備,而民功百倍矣。故春仁,夏忠,秋急,冬閉,順天之時,約地之宜,忠人之和。故風雨時,五穀実,草木美多,六畜蕃息,国富兵彊,民材而令行,内無煩擾之政,外無彊敵之患也。夫動静順然後和也,不失其時然後富,不失其法然後治。故国不虚富,民不虚治。不治而昌,不乱而亡者,自古至今,未嘗有也。
書き下し
五正を發し、薄罪を赦し、拘民を出だし、仇讎を解くは、時功を建て、生榖を施す所以なり。夏は五德を賞し、爵祿を滿たし、官位を遷し、孝弟を禮し、賢力を復するは、功を勸むる所以なり。秋は五刑を行い、大罪を誅するは、淫邪を禁じ、盜賊を止むる所以なり。冬は五藏を收め、萬物を最むるは、内に民を作す所以なり。四時の事備わりて、民の功百倍す。故に春は仁、夏は忠、秋は急、冬は閉、天の時に順い、地の宜を約し、人の和に忠なり。故に風雨時に、五榖實り、草木美しく多く、六畜蕃息し、國富み兵彊く、民材ありて令行われ、内に煩擾の政無く、外に彊敵の患い無し。夫れ動静順いて然る後に和すなり。其の時を失わずして然る後に富み、其の法を失わずして然る後に治まる。故に國は虚しくは富まず、民は虚しくは治まらず。治まらずして昌え、亂れずして亡ぶる者は、古より今に至るまで、未だ嘗て有らざるなり。
現代語訳
五つの正しい令を出し、軽い罪を赦し、捕らえていた民を出し、仇と敵を解くのは、時の功を立て、穀物を生かすためである。夏は五つの徳を賞し、爵と禄を満たし、官位を移し、孝と悌を礼で遇し、賢く力ある者を復するのは、功を励ますためである。秋は五つの刑を行い、大きな罪を誅するのは、みだらとよこしまを禁じ、盗賊を止めるためである。冬は五つの蔵を収め、万物をまとめるのは、内に民を作るためである。四季の事が備わって、民の働きは百倍になる。だから春は仁、夏は忠、秋は急、冬は閉じる。天の時に従い、土地の宜しさに合わせ、人の和にまことを尽くす。だから風雨は時にかない、五穀は実り、草木は美しく多く、六畜は増え、国は富み兵は強く、民には材があり令は行われ、内に煩わしい政はなく、外に強敵の患いもない。動と静が順にかなって、そのうえで和する。その時を外さず、そのうえで富む。その法を外さず、そのうえで治まる。だから国は理由なしに富まず、民は理由なしに治まらない。治めずに栄え、乱れずに滅びる者は、昔から今まで、いまだかつていない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『墨子』非命上是の故に古の聖王、憲を發し令を出だし、設けて以て賞罰と為して以て賢を勸む。是を以て入りては則ち親戚に孝慈、出でては則ち鄉里に弟長、坐處に度有り、出入に節有り、男女に辯有り。是の故に官府を治めしむれば則ち盜竊せず、城を守れば則ち崩叛せず、君に難有れば則ち死し、出亡すれば則ち送る。此れ上の賞する所にして、百姓の譽むる所なり。有命を執る者の言に曰く、「上の賞する所は、命、固より且に賞せんとす、賢なるが故に賞するに非ざるなり。上の罰する所は、命、固より且に罰せんとす、暴なるが故に罰するに非ざるなり」と。
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『墨子』公孟公孟子、子墨子に謂いて曰く、「義と不義と有るも、祥と不祥と無し」と。子墨子曰く、「古者の聖王は皆な鬼神を以て神眀と為して、禍福を為すとし、祥と不祥と有りと執る。是を以て政治まりて國安きなり。桀紂より以下は、皆な鬼神を以て神眀ならず、禍福を為す能わずとし、祥と不祥と無しと執る。是を以て政亂れて國危うきなり。故に先王の書、子にも亦た之れ有りて曰く、『亦た傲るなり、子より出づるは不祥なり』と。此れ不善を為すの罰有り、善を為すの賞有るを言うなり」と。
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呂氏春秋・用民③劍は徒しく斷たず、車は自ら行かず。之を使うもの或ればなり。夫れ麥を種うれば麥を得、稷を種うれば稷を得るは、人怪しまざるなり。民を用うるも亦た種うる有り。其の種うるを審らかにせずして、民の用いらるることを祈るは、惑い焉より大なるは莫し。
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『武治提要』賞罰・第3段武將三軍を帥て賞すべきもの三、罰すべきもの三。一に云く忠、二に云義、三に云く勇、これ賞すべきものなり。一に云く不忠、二に云不義、三に云く不勇、これ乃罰すべきものなり。而して三等各上中下の三等を具、賞罰の目併て一十八なり。たとへ上功といへども、下等なるときは、下功の上等に或は下るべきことあり、或は中等に配すべきものあり。詳に其情實を盡すにあり。一たびも功に的中せざるの賞あるときは、人これを恨、一たびも罪に的中せざるの刑あるときは、人これを怒る。人恨人怒ときは、大切に臨て其指揮に屬せず。これ大敗の本たり。夙夜に思にあらずんば、衆情を得ること叶べからず。凡君君たらずとも、臣以て臣たらずんばあるべからずと云ものは、聖人人を敎の道にして、澆薄の人情を說にあらず。君の臣を視ること土芥のごときは、臣の君を視ること冠讎のごとしと云は、孟軻戰國の情を說ところなり。武國の俗に於て尤も斟酌せずんばあるべからず。
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『韓非子』初見秦第一今秦は号令を出だして賞罰を行ひ、功有ると功無きと相事とす。其の父母の懐衽の中より出でて、生まれて未だ嘗て寇を見ざるのみ。戦ひを聞けば、足を頓し徒裼し、白刃を犯し、鑪炭を踏み、死を前に断ずる者皆是れなり。夫れ死を断ずると生を断ずるとは同じからず、而るに民之を為す者は、是れ奮死を貴べばなり。
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『韓非子』姦劫弒臣第十四人焉んぞ能く安利の道を去りて危害の処に就かんや。国を治むること此くの若く其れ過てり。而して上、下の姦無く、吏の法を奉ずることを欲するも、其の得べからざること亦明らかなり。故に左右、貞信の以て安利を得べからざるを知れば、必ず曰く、「我忠信を以て上に事へ、功労を積みて安きを求むるは、是れ猶盲にして黒白の情を知らんと欲するがごとし、必ず幾からず。若し道を以て化し正理を行ひ、富貴に趨かず、上に事へて安きを求むるは、是れ猶聾にして清濁の声を審らかにせんとするがごとし、愈幾からず。二者以て安きを得べからずんば、我安んぞ能く相比周し、主上を蔽ひ、姦私を為して以て重人に適すること無からんや」と。此れ必ず人主の義を顧みず。其の百官の吏も亦方正の以て安きを得べからざるを知れば、必ず曰く、「我清廉を以て上に事へて安きを求むるは、規矩無くして方円を為さんと欲するが若し、必ず幾からず。若し法を守り朋党せずして官を治めて安きを求むるは、是れ猶足を以て頂を搔くがごとし、愈幾からず。二者以て安きを得べからずんば、能く法を廃し私を行ひて以て重人に適すること無からんや」と。

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