管子 / 心術下
人能正靜者,筋肕而骨强。能戴大圓者,體乎大方。鏡大清者,視乎大明。正靜不失,日新其德,昭知天下,通於四極。金心在中不可匿,外見於形容,可知於顔色。善氣迎人,親如弟兄;惡氣迎人,害於戈兵。不言之言,聞於雷鼓。金心之形,明於日月,察於父母。昔者明王之愛天下,故天下可附;㬥王之惡天下,故天下可離。故貨之不足以為愛,刑之不足以為惡。貨者愛之末也,刑者惡之末也。
新字:人能正静者,筋肕而骨强。能戴大円者,体乎大方。鏡大清者,視乎大明。正静不失,日新其徳,昭知天下,通於四極。金心在中不可匿,外見於形容,可知於顔色。善気迎人,親如弟兄;悪気迎人,害於戈兵。不言之言,聞於雷鼓。金心之形,明於日月,察於父母。昔者明王之愛天下,故天下可附;㬥王之悪天下,故天下可離。故貨之不足以為愛,刑之不足以為悪。貨者愛之末也,刑者悪之末也。
書き下し
人能く正静なる者は、筋肕くして骨强し。能く大圓を戴く者は、大方に體す。大清を鏡とする者は、大明を視る。正静失わざれば、日に其の德を新たにし、天下を昭知し、四極に通ず。金心中に在れば匿す可からず、外は形容に見れ、顔色に知る可し。善氣もて人を迎うれば、親しむこと弟兄の如し。惡氣もて人を迎うれば、害あること戈兵よりす。不言の言は、雷鼓よりも聞こゆ。金心の形は、日月よりも明らかに、父母よりも察かなり。昔者明王の天下を愛せしは、故に天下附く可し。㬥王の天下を惡みしは、故に天下離る可し。故に貨は以て愛と為すに足らず、刑は以て惡と為すに足らず。貨なる者は愛の末なり、刑なる者は惡の末なり。
現代語訳
人が正しく静かであれば、筋はしなやかで骨は強い。大きな円を戴く者は、大きな方形を体とする。大いなる清らかさを鏡とする者は、大いなる明るさを見る。正しく静かであることを失わなければ、日ごとにその徳を新たにし、天下を照らして知り、四方の果てまで通じる。堅い心が内にあれば隠せない。外は姿かたちに現れ、顔色で分かる。善い気で人を迎えれば、兄弟のように親しくなる。悪い気で人を迎えれば、矛や兵よりも害になる。言わない言葉は、雷や太鼓よりもよく聞こえる。堅い心のかたちは、日月よりも明るく、父母よりもはっきり見て取れる。昔、明王が天下を愛したから、天下は寄り添えた。暴王が天下を憎んだから、天下は離れられた。だから財貨は愛とするに足りず、刑は憎しみとするに足りない。財貨は愛の末であり、刑は憎しみの末である。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』內業凡そ道は必ず周く必ず密に、必ず寛く必ず舒やかに、必ず堅く必ず固し。善を守りて舍つる勿かれ、淫を逐い薄を澤す。既に其の極を知れば、道德に反る。全心中に在れば、蔽い匿す可からず。形容に和し、膚色に見る。善氣もて人を迎うれば、弟兄よりも親しむ。惡氣もて人を迎うれば、戎兵よりも害あり。不言の聲は、雷鼓よりも疾し。心氣の形は、日月よりも明らかに、父母よりも察かなり。賞は以て善を勸むるに足らず、刑は以て過ちを懲らすに足らず。氣意得て天下服し、心意定まりて天下聽く。氣を搏むること神の如く、萬物備え存す。能く搏むるか。能く一にするか。能く卜筮無くして吉凶を知るか。能く止まるか。能く已むか。能く諸を人に求むる勿くして之を己に得るか。之を思い之を思い、又た重ねて之を思う。之を思いて通ぜざれば、鬼神將に之に通ぜんとす。鬼神の力に非ざるなり、精氣の極なり。四體既に正しく、血氣既に静かに、意を一にし心を搏むれば、耳目淫せず、逺しと雖も近きが若し。
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『管子』心術下心安らかなるは、是れ國安らかなるなり。心治まるは、是れ國治まるなり。治むる者は、心なり。安んずる者は、心なり。心を治むるは中に在り、言を治むるは口より出で、事を治むるは民に加わる。故に功作りて民從えば、則ち百姓治まる。操る所以の者は、刑に非ざるなり。危うくする所以の者は、怒に非ざるなり。民人操り、百姓治まるは、道其の本より至ればなり。至らざれば至る無く、人する所に非ずして亂る。凡そ有司の制を執る者の利に在るは、道に非ざるなり。聖人の道は、存するが若く亡きが若し。援きて之を用うれば、世を殁するも亡びず、時と變じて化せず、物に應じて移らず、日々に之を用いて化せず。
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『管子』內業之を得て舍つる勿かれ、耳目淫せず、心に他圖無し。正心中に在れば、萬物度を得。道は天下に滿ち、普く民の所に在り、民知る能わざるなり。一言の解、上は天に察かに、下は地を極め、九州に蟠り滿つ。何をか之を解すと謂う。心の安きに在り。我が心治まれば、官乃ち治まる。我が心安んずれば、官乃ち安んず。之を治むる者は心なり、之を安んずる者は心なり。心以て心を藏し、心の中に又た心有り。彼の心の心は、音以て言に先んず。音ありて然る後に形あり、形ありて然る後に言あり、言ありて然る後に使あり、使ありて然る後に治まる。治まらざれば必ず亂れ、亂るれば乃ち死す。
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『管子』心術下形正しからざる者は德來たらず、中精ならざる者は心治まらず。形を正し德を飾れば、萬物畢く得。翼然として自ら來たり、神も其の極を知る莫し。天下を昭知し、四極に通ず。是の故に曰く、物を以て官を亂す無く、官を以て心を亂す毋かれ、此れを之れ内德と謂うと。是の故に意氣定まりて然る後に正に反る。氣なる者は、身の充つるなり。行なる者は、正の義なり。充つること美ならざれば則ち心得ず、行い正しからざれば則ち民服せず。是の故に聖人は天の若く然り、私かに覆う無きなり。地の若く然り、私かに載する無きなり。私なる者は、天下を亂す者なり。凡そ物は名を載せて來たる、聖人因りて之を財し、而して天下治まる。實傷つかず、天下に亂れずして、天下治まる。
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『管子』心術上心の體に在るは、君の位なり。九竅の職有るは、官の分なり。心其の道に處れば、九竅理に循う。嗜欲充益すれば、目色を見ず、耳聲を聞かず。故に曰く、上其の道を離るれば、下其の事を失うと。馬に代わりて走る毋かれ、其の力を盡くさしめよ。鳥に代わりて飛ぶ毋かれ、其の羽翼あらしめよ。物に先んじて動く毋かれ、以て其の則を觀よ。動けば則ち位を失い、静なれば乃ち自ら得。道は逺からずして極め難きなり、人と竝び處りて得難きなり。其の欲を虛しくすれば、神將に入り舍らんとす。不潔を掃除すれば、神乃ち留り處る。人皆な智ならんと欲す、而して其の智なる所以を索むる莫きか。智なるかな智なるかな、之を海外に投じて自ら奪う無し、之を求むる者は得ず、之に處る者は夫れ。正人は之を求むる無きなり、故に能く虛無なり。虛無無形、之を道と謂う。萬物を化育する、之を德と謂う。君臣父子人間の事、之を義と謂う。登降揖讓、貴賤に等有り、親疎の體、之を禮と謂う。物を簡び小と未と一つの道、殺僇禁誅、之を法と謂う。大道は安んず可くして説く可からず。直人の言は、不義にして顧みず。口より出でず、色に見れず、四海の人、又た孰か其の則を知らんや。
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『管子』心術上心の體に在るは、君の位なり。九竅の職有るは、官の分なり。耳目なる者は、視聽の官なり。心にして視聽の事に與る無ければ、則ち官其の分を守るを得。夫れ心に欲有る者は、物過ぐるも目見えず、聲至るも耳聞こえざるなり。故に曰く、上其の道を離るれば、下其の事を失うと。故に曰く、心術なる者は、無為にして竅を制する者なり、故に君と曰うと。馬に代わりて走る無かれ、鳥に代わりて飛ぶ無かれとは、此れ能ある能を奪わず、下に誠を與せざるを言うなり。物に先んじて動く毋かれとは、搖るる者は定まらず、趮る者は静かならず、動の以て觀る可からざるを言うなり。位なる者は、其の立つ所を謂うなり。人主なる者は隂に立つ、隂なる者は静かなり、故に曰く動けば則ち位を失うと。隂なれば則ち能く陽を制し、静なれば則ち能く動を制す。故に曰く静なれば乃ち自ら得と。