管子 / 心術下
形不正者德不來,中不精者心不治。正形飾德,萬物畢得。翼然自來,神莫知其極。昭知天下,通於四極。是故曰:無以物亂官,毋以官亂心,此之謂内德。是故意氣定然後反正。氣者,身之充也。行者,正之義也。充不美則心不得,行不正則民不服。是故聖人若天然,無私覆也;若地然,無私載也。私者,亂天下者也。凡物載名而來,聖人因而財之,而天下治;實不傷,不亂於天下,而天下治。
新字:形不正者徳不来,中不精者心不治。正形飾徳,万物畢得。翼然自来,神莫知其極。昭知天下,通於四極。是故曰:無以物乱官,毋以官乱心,此之謂内徳。是故意気定然後反正。気者,身之充也。行者,正之義也。充不美則心不得,行不正則民不服。是故聖人若天然,無私覆也;若地然,無私載也。私者,乱天下者也。凡物載名而来,聖人因而財之,而天下治;実不傷,不乱於天下,而天下治。
書き下し
形正しからざる者は德來たらず、中精ならざる者は心治まらず。形を正し德を飾れば、萬物畢く得。翼然として自ら來たり、神も其の極を知る莫し。天下を昭知し、四極に通ず。是の故に曰く、物を以て官を亂す無く、官を以て心を亂す毋かれ、此れを之れ内德と謂うと。是の故に意氣定まりて然る後に正に反る。氣なる者は、身の充つるなり。行なる者は、正の義なり。充つること美ならざれば則ち心得ず、行い正しからざれば則ち民服せず。是の故に聖人は天の若く然り、私かに覆う無きなり。地の若く然り、私かに載する無きなり。私なる者は、天下を亂す者なり。凡そ物は名を載せて來たる、聖人因りて之を財し、而して天下治まる。實傷つかず、天下に亂れずして、天下治まる。
現代語訳
形が正しくなければ徳は来ず、内が精でなければ心は治まらない。形を正し徳を整えれば、万物はことごとく得られる。翼を得たように自然に集まり、神でさえその極みを知らない。天下を照らして知り、四方の果てまで通じる。だから言う、物によって官を乱さず、官によって心を乱すな、と。これを内なる徳という。だから意と気が定まって、そのうえで正しさに立ち返る。気は身を満たすものである。行いは正しさの筋である。満ちるものが善くなければ心は得られず、行いが正しくなければ民は従わない。だから聖人は天のようであって、私に覆うことがない。地のようであって、私に載せることがない。私は天下を乱すものである。物はみな名を載せてやって来る。聖人はそれに沿って裁いていくので、天下は治まる。実は傷つかず、天下は乱れず、それで天下は治まる。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』內業形正しからざれば、德來たらず。中静かならざれば、心治まらず。形を正し德を攝すれば、天は仁に地は義に、則ち淫然として自ら至る。神明の極、照らして萬物を知り、中に義もて守りて忒わず。物を以て官を亂さず、官を以て心を亂さず、是を中得と謂う。神有りて自ら身に在り、一たび往き一たび來たり、之を思う能わず。之を失えば必ず亂れ、之を得れば必ず治まる。敬しみて其の舍を除けば、精將に自ら來たらんとす。精なる之を想い思い、寧んじて之を念じ治む。容を嚴にし畏み敬めば、精將に至りて定まらんとす。
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『管子』心術下心安らかなるは、是れ國安らかなるなり。心治まるは、是れ國治まるなり。治むる者は、心なり。安んずる者は、心なり。心を治むるは中に在り、言を治むるは口より出で、事を治むるは民に加わる。故に功作りて民從えば、則ち百姓治まる。操る所以の者は、刑に非ざるなり。危うくする所以の者は、怒に非ざるなり。民人操り、百姓治まるは、道其の本より至ればなり。至らざれば至る無く、人する所に非ずして亂る。凡そ有司の制を執る者の利に在るは、道に非ざるなり。聖人の道は、存するが若く亡きが若し。援きて之を用うれば、世を殁するも亡びず、時と變じて化せず、物に應じて移らず、日々に之を用いて化せず。
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『管子』內業之を得て舍つる勿かれ、耳目淫せず、心に他圖無し。正心中に在れば、萬物度を得。道は天下に滿ち、普く民の所に在り、民知る能わざるなり。一言の解、上は天に察かに、下は地を極め、九州に蟠り滿つ。何をか之を解すと謂う。心の安きに在り。我が心治まれば、官乃ち治まる。我が心安んずれば、官乃ち安んず。之を治むる者は心なり、之を安んずる者は心なり。心以て心を藏し、心の中に又た心有り。彼の心の心は、音以て言に先んず。音ありて然る後に形あり、形ありて然る後に言あり、言ありて然る後に使あり、使ありて然る後に治まる。治まらざれば必ず亂れ、亂るれば乃ち死す。
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『管子』內業凡そ道は必ず周く必ず密に、必ず寛く必ず舒やかに、必ず堅く必ず固し。善を守りて舍つる勿かれ、淫を逐い薄を澤す。既に其の極を知れば、道德に反る。全心中に在れば、蔽い匿す可からず。形容に和し、膚色に見る。善氣もて人を迎うれば、弟兄よりも親しむ。惡氣もて人を迎うれば、戎兵よりも害あり。不言の聲は、雷鼓よりも疾し。心氣の形は、日月よりも明らかに、父母よりも察かなり。賞は以て善を勸むるに足らず、刑は以て過ちを懲らすに足らず。氣意得て天下服し、心意定まりて天下聽く。氣を搏むること神の如く、萬物備え存す。能く搏むるか。能く一にするか。能く卜筮無くして吉凶を知るか。能く止まるか。能く已むか。能く諸を人に求むる勿くして之を己に得るか。之を思い之を思い、又た重ねて之を思う。之を思いて通ぜざれば、鬼神將に之に通ぜんとす。鬼神の力に非ざるなり、精氣の極なり。四體既に正しく、血氣既に静かに、意を一にし心を搏むれば、耳目淫せず、逺しと雖も近きが若し。
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『管子』戒仁は中より出で、義は外より作る。仁なるが故に天下を以て利と為さず。義なるが故に天下を以て名と為さず。仁なるが故に王に代わらず。義なるが故に七十にして政を致す。是の故に聖人は德を上びて功を下し、道を尊びて物を賤しむ。道德身に當たる、故に物を以て惑わず。是の故に身草茅の中に在りて懾意無く、南面して天下を聽きて驕色無し。此くの如くして而る後に以て天下の王為る可し。所謂德なる者は、動かずして疾く、相告げずして知り、為さずして成り、召さずして至る、是れ德なり。故に天動かずして、四時云に下りて萬物化す。君動かずして、政令陳ね下りて萬功成る。心動かずして、四肢耳目を使いて萬物情あり。交わり寡なくして親しみ多きを、之を人を知ると謂う。事寡なくして功成るを、之を用を知ると謂う。一言を聞きて以て萬物を貫くを、之を道を知ると謂う。多言にして當たらざるは、其の寡なきに如かず。博く學びて自ら反らざれば、必ず邪有り。孝弟なる者は、仁の祖なり。忠信なる者は、交わりの慶なり。内に孝弟を考えず、外に忠信を正さずして、其の四經を澤にして誦學する者は、是れ其の身を亡ぼす者なり。
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『管子』內業凡そ物の精、此れ則ち生を為す。下は五榖を生じ、上は列星と為る。天地の間に流るる、之を鬼神と謂う。胷中に藏まる、之を聖人と謂う。是の故に民の氣は、杲乎として天に登るが如く、杳乎として淵に入るが如く、淖乎として海に在るが如く、卒乎として己に在るが如し。是の故に此の氣や、力を以て止む可からずして、德を以て安んず可し。聲を以て呼ぶ可からずして、音を以て迎う可し。敬しみ守りて失う勿かれ、是を德を成すと謂う。德成りて智出で、萬物果たして得らる。