管子 / 侈靡
「事立而壞,何也?兵逺而畏,何也?民已聚而散,何也?輟安而危,何也?」「功成而不信者,殆。兵强而無義者,殘。不謹於附近,而欲來逺者,兵不信。略近臣合於其逺者,立。亡國之起,毁國之族,則兵逺而不畏。國小而修大,仁而不利,猶有爭名者,累哉是也!樂聚之力,以兼人之强,以待其害,雖聚必散。大王不恃衆而自恃,百姓自聚,供而後利之,成而無害。疎戚而好外企,以仁而謀泄,賤寡而好大,此所以危。衆而約實,取而言讓,行隂而言陽。利人之有禍,言人之無患,吾欲獨有是,若何!」
新字:「事立而壊,何也?兵遠而畏,何也?民已聚而散,何也?輟安而危,何也?」「功成而不信者,殆。兵強而無義者,残。不謹於附近,而欲来遠者,兵不信。略近臣合於其遠者,立。亡国之起,毀国之族,則兵遠而不畏。国小而修大,仁而不利,猶有争名者,累哉是也!楽聚之力,以兼人之強,以待其害,雖聚必散。大王不恃衆而自恃,百姓自聚,供而後利之,成而無害。疎戚而好外企,以仁而謀泄,賤寡而好大,此所以危。衆而約実,取而言譲,行陰而言陽。利人之有禍,言人之無患,吾欲独有是,若何!」
書き下し
「事立ちて壞るるは、何ぞや。兵逺くして畏るるは、何ぞや。民已に聚まりて散ずるは、何ぞや。安を輟めて危うきは、何ぞや」と。「功成りて信ならざる者は、殆うし。兵强くして義無き者は、殘なり。附近に謹まずして、逺きを來たさんと欲する者は、兵信ならず。近臣を略して其の逺き者に合する者は、立つ。亡國の起、毁國の族なれば、則ち兵逺くして畏れず。國小にして大を修め、仁にして利あらず、猶お名を爭う者有らば、累なるかな是れや。聚の力を樂しみて、以て人の强を兼ね、以て其の害を待たば、聚まると雖も必ず散ず。大王は衆を恃まずして自ら恃み、百姓自ら聚まり、供して而る後に之を利し、成りて害無し。戚を疎んじて外に企つを好み、仁を以てして謀泄れ、寡を賤しみて大を好む、此れ危うき所以なり。衆くして實を約し、取りて讓を言い、隂に行いて陽に言う。人の禍有るを利とし、人の患い無きを言う。吾獨り是れ有らんと欲す、若何」と。
現代語訳
事が立ったのに壊れるのはなぜか。兵が遠くにあって畏れるのはなぜか。民がすでに集まったのに散るのはなぜか。安らかだったのをやめて危うくなるのはなぜか。答えた。功が成っても信がない者は危うい。兵が強くても義がない者は損なう。近いところを大事にせずに遠くから人を招こうとする者は、兵に信がない。近臣を粗末にして遠くの者と結ぶ者は、担がれてしまう。滅びた国の残りや、壊れた国の一族であれば、兵は遠くにあっても畏れない。国が小さいのに大きなことをし、仁があっても利がなく、そのうえ名を争う者がいれば、これは重荷である。集めた力を楽しんで人の強さを併せ、それで害に備えようとすれば、集まってもきっと散る。大王は多勢を頼まず自分を頼む。民は自分から集まり、差し出してからそれを利とし、成っても害がない。身内を遠ざけて外にばかり期待し、仁のつもりではかりごとが漏れ、少ないものを賤しんで大きなものを好む。これが危うさのもとである。多いのに実を切り詰め、取っておいて譲ると言い、陰で行って陽に語る。人に禍があるのを利とし、人に患いがないと言う。私だけがそうでありたい。どうすればよいか。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『五常訓』巻之五・信一子曰く、人にして信無くんば其の可なるを知らざるなり。人の心信実なるは、万事の基にして、人にまじはるの道なり。若信なければ、万事すべて、偽なれば、人にまじはりて、如何ぞ善なるべき。たとへば大車の荷車に輗なければ、牛の首に車をかくる事ならず。小車の乗車に軏なければ、車を馬にかくる事ならず。車と牛馬とは別の物なれど、輗と軏とあれば、是を以て牛馬に車をかけて引かしむべし。若此ものなくんば、何を以てか車をやるべきや。人にまじはるに信ならざるも、亦かくの如し。人と我とは、二物なり。信実を以て交はれば、互に感通して、道行はる。若信なくして人と交はらば、我人にまことなく、人我を信ぜず。彼と我と感通せず。何を以てか道行はれんや。
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『五常訓』巻之五・信一朱子曰、人の誠ならざる所、多くは言の上にありと。信をまもるに、言語の上に心を用ひて、実を以てすべし。一朋友に交るには、もとより愛敬を用ふべし。然れども、信なければ、愛敬も偽より出て、誠の愛敬にあらず。顔色をやはらげ、容貌をうやうやしくするも、偽りかざれるは、愛敬とすべからず。
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『十善法語』巻第十一・不邪見戒之中総シテ心ノアル処ハ形ノアル処。形ノ生スル処ニ其心生スルシヤ。此女人自ノ眉目鼻口ノソナヘニ自執着セシ故。一息截断ノ時。其着セル心還テ己カ面上ニ生シ。虫ト為テ暫モ離レ得ヌシヤ。摩訶羅ト云ハ梵語デ。此ニハ老ナリ愚ナリト翻スル。愚人ノ年ヲ重ネタル者ノ名シヤ。看ヨ。正法ハ智愚ヲ択ハヌ。唯信アル処ニ此縁起実相ハ顕ルルシヤ。今日ノ者モ純一ニ心ヲ寄セハ。仮令摩訶羅ナリトモ。甚深ノ法ニ通達スヘキシヤ。
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『五常訓』巻之一・総論又孟子はじめて仁義礼智の四徳をつらねて説き給へり。是又仁義の外、礼智あるにあらず。礼は仁よりいで、智は義の内にあり。朱子の、礼は仁の著るるなり。智は義の蔵るるなりといへるが如し。仁義をわかちて四徳を説くは、陰陽をわかてば、春夏秋冬の四時となるに本づけり。前漢の董仲舒曰く。仁義礼智信五常の道は、王者の当に修飾すべき所なりといへり。是四徳に信を加へて、五常と説ける始なり。四徳の外、別に信あるにあらず。四徳のまことありて偽無きは、即信なり。信なければ仁義礼智にあらず。たとへば四時の内に土用ありて、木火金水の気行はるるが如し。木火金水も、土なければ生ぜず。是董仲舒のはじめて説き出せるにもあらず。上代よりすでに此説あればなり。
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『韓非子』外儲說左下第三十三魯の哀公孔子に問ひて曰く、「吾聞く古者夔一足有りと、其れ果して信に一足有るか。」孔子対へて曰く、「不なり、夔は一足に非ざるなり。夔は忿戾悪心にして、人多く説喜せざるなり。然りと雖も、其の以て人の害を免るるを得る所以の者は、其の信を以てなり。人皆曰く、独り此の一あれば、足れり、と。夔は一足に非ざるなり、一にして足るなり。」哀公曰く、「審かに而り、固より足れり。」一に曰く、哀公孔子に問ひて曰く、「吾聞く夔は一足なりと、信か。」曰く、「夔は、人なり、何の故に一足ならん。彼其れ他に異なること無し、而して独り声に通ず。堯曰く、夔は一にして足れり、と。楽正と為さしむ。故に君子曰く、夔は一有り、足れり、と。一足に非ざるなり。」三。文王崇を伐ち、鳳黄の虚に至る、韈の係解く、因りて自ら結ぶ。太公望曰く、「何為れぞや。」王曰く、「上は、君と処るもの皆其の師なり。中は、皆其の友なり。下は、尽く其の使なり。今皆先君の臣なり、故に使ふべきもの無きなり。」一に曰く、晋の文公楚と戦ひ、黄鳳の陵に至る、履の係解く、因りて自ら之を結ぶ。左右曰く、「以て人を使ふべからざるか。」公曰く、「吾聞く、上は、君の与に居る所、皆其の畏るる所なり。中は、君の与に居る所、皆其の愛する所なり。下は、君の与に居る所、皆其の侮る所なり。寡人不肖なりと雖も、先君の人皆在り、是を以て之を難るなり。」季孫士を好み、終身荘にして、居処衣服常に朝廷の如し。而して季孫適ま懈り、過失有り、而して長く為すこと能はざるなり。故に客以て己を厭易すと為し、相与に之を怨み、遂に季孫を殺す。故に君子は泰を去り甚を去る。一に曰く、南宮敬子顔涿聚に問ひて曰く、「季孫孔子の徒を養ひ、朝服して与に坐する所の者十を以て数ふるに賊に遇ふは、何ぞや。」
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『春秋左氏伝』成公十七年 郤至、乱を作さず「季子、余を欺けり」と。厲公將に難を作さんとす。胥童曰く、「必ず三郤を先にせよ。族大にして怨み多し。大族を去れば偪(せま)られず、怨み多きに敵すれば庸(こう)有り」と。公曰く、「然り」と。郤氏之を聞く。郤錡、公を攻めんと欲して曰く、「死すと雖も、君必ず危からん」と。郤至曰く、「人の立つ所以は、信・知・勇なり。信は君に叛かず、知は民を害せず、勇は亂を作さず。茲の三者を失はば、其れ誰か我に與(くみ)せん。死して怨み多くば、將た安(いづ)くにか之を用ゐん。君實に臣有りて之を殺す、其れ君を何とか謂はん。我の罪有るや、吾が死するは後(おそ)し。若し不辜を殺さば、將に其の民を失はんとす。安きを得んと欲するも得んや。命を待つのみ。君の祿を受け、是を以て黨を聚む。黨有りて命を爭ふは、罪孰(いづ)れか焉(これ)より大ならん」と。壬午、胥童・夷羊五、甲八百を帥ゐて、將に郤氏を攻めんとす。長魚矯、眾を用ゐること無からんことを請ふ。公、清沸魋(せいふつたい)をして之を助けしむ。戈を抽き衽(じん)を結びて、偽りて訟ふる者となる。三郤將に榭に謀らんとす。矯、戈を以て駒伯・苦成叔を其の位に殺す。溫季曰く、「威を逃れん」と。遂に趨る。矯、諸を其の車に及び、戈を以て之を殺す。皆諸を朝に尸(さら)す。胥童、甲を以て欒書・中行偃を朝に劫(おびや)かす。矯曰く、「二子を殺さずんば、憂ひ必ず君に及ばん」と。公曰く、

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