管子 / 侈靡
「請問諸侯之化弊弊也者,家也。家也者,以因人之所重而行之。吾君長來獵,君長虎豹之皮用。功力之君,上金玉幣。好戰之君,上甲兵。甲兵之本,必先於田宅。今吾君戰,則請行民之所重。飲食者也,侈樂者也,民之所願也。足其所欲,贍其所願,則能用之耳。今使衣皮而冠角,食野草,飲野水,孰能用之?傷心者不可以致功,故嘗至味而罷至樂,而雕卵然後瀹之,雕橑然後㸑之。丹沙之穴不塞,則商賈不處。富者靡之,貧者為之。此百姓之怠生,百振而食,非獨自為也,為之畜化用。
新字:「請問諸侯之化弊弊也者,家也。家也者,以因人之所重而行之。吾君長来猟,君長虎豹之皮用。功力之君,上金玉幣。好戦之君,上甲兵。甲兵之本,必先於田宅。今吾君戦,則請行民之所重。飲食者也,侈楽者也,民之所願也。足其所欲,贍其所願,則能用之耳。今使衣皮而冠角,食野草,飲野水,孰能用之?傷心者不可以致功,故嘗至味而罷至楽,而雕卵然後瀹之,雕橑然後㸑之。丹沙之穴不塞,則商賈不処。富者靡之,貧者為之。此百姓之怠生,百振而食,非独自為也,為之畜化用。
書き下し
「請う問う、諸侯の化して弊弊たる者は、家なり。家なる者は、人の重んずる所に因りて之を行うを以てす。吾が君長く來たりて獵すれば、君長虎豹の皮用いらる。功力の君には、金玉の幣を上る。戰を好む君には、甲兵を上る。甲兵の本は、必ず田宅に先んず。今吾が君戰わば、則ち請う民の重んずる所を行え。飲食なる者、侈樂なる者は、民の願う所なり。其の欲する所を足し、其の願う所を贍せば、則ち能く之を用うるのみ。今皮を衣て角を冠し、野草を食い、野水を飲ましめば、孰か能く之を用いん。心を傷る者は以て功を致す可からず。故に至味を嘗めて至樂を罷め、而して卵を雕りて然る後に之を瀹で、橑を雕りて然る後に之を㸑ぐ。丹沙の穴塞がらざれば、則ち商賈處らず。富める者は之を靡やし、貧しき者は之を為す。此れ百姓の生を怠るや、百たび振るいて食う、獨り自ら為すに非ざるなり、之が為に化用を畜うるなり。
現代語訳
諸侯が変わって擦り切れていくのは、家というものによる。家というものは、人が重んじるところに沿って行われる。わが君が長く来て狩りをすれば、虎や豹の皮が用いられる。功と力を重んじる君には、金や玉の幣を献じる。戦を好む君には、甲や兵を献じる。甲と兵のもとは、必ず田と宅より先にある。いまわが君が戦うなら、どうか民が重んじるものを行ってほしい。飲食も、贅沢な楽しみも、民が願うものである。その欲するところを足し、願うところを満たせば、そのうえで用いられる。いま皮を着せ角をかぶらせ、野草を食わせ野の水を飲ませて、誰がその民を使えるだろう。心を傷つけられた者は功を成せない。だから至上の味を味わい、至上の楽を尽くし、卵に彫りを入れてから茹で、薪に彫りを入れてから燃やす。丹砂の穴が塞がっていなければ、商人はそこにとどまらない。富む者が使い減らし、貧しい者がそれを作る。民が暮らしを怠るように見えても、何度も奮い立って食っている。ひとりで自分のためにやっているのではない。そのために物の巡りを養っているのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』侈靡問いて曰く、「時を興し化するは若何」と。「侈靡より善きは莫し。實有るを賤しみ、用無きを敬えば、則ち人刑す可きなり。故に粟米を賤しみて珠玉を敬うが如くし、禮樂を好みて事業を賤しむが如くするは、本の始めなり。珠なる者は、陰の陽なり、故に火に勝つ。玉なる者は、隂の陰なり、故に水に勝つ。其の化すること神の如し。故に天子は珠玉を臧め、諸侯は金石を臧め、大夫は狗馬を畜い、百姓は布帛を臧む。然らずんば、則ち强き者能く之を守り、智なる者能く之を牧し、貴ぶ所を賤しみて賤しむ所を貴ぶ。然らずんば、鰥寡獨老與に得ず、均しきの始めなり」と。
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『管子』侈靡人死すれば則ち云い易く、生くれば則ち合い難きなり。故に一たびすれば賞と為り、再びすれば常と為り、三たびすれば固然と為る。其れ小しく之を行えば則ち俗なり、之を久しくすれば則ち禮義なり。故に下をして上に當たらしむる無く必ず之を行い、然る後に商人を國に移す、人を用うるに非ざるなり。鄉を擇ばずして處り、君を擇ばずして使い、出づれば則ち利に從い、入れば則ち守らず。國の山林や、則ちて之を利す。市塵の及ぶ所、二たび其の本に依る。故に上侈にして下靡やし、而して君臣相上下す。相親しめば、則ち君臣の財私かに藏せず。然らば則ち貪動き、枳して食を得ん。邑を徙し市を移すも、亦た數の一と為す。
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『管子』侈靡「是の故に時に財を陳ぬるの道は、以て今に行う可きなり。利散じて民察かなり、必ず之を身に放きて然る後に行う」と。公曰く、「何をか謂う」と。「喪を長くして以て其の時を毁ち、送葬を重くして以て身財を起こす。一たび親往き、一たび親來たる、親を合わす所以なり、此れを衆約と謂う」と。問う、「之を用うるは若何」と。「瘞堷を巨にするは、貧民を使う所以なり。壟墓を美にするは、明を文る所以なり。棺槨を巨にするは、木工を起こす所以なり。衣衾を多くするは、女工を起こす所以なり。猶お盡きざれば、故に次浮有るなり。差樊有り、瘞藏有り、此を作して相食み、然る後に民相利し、守戰の備え合わん。
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『管子』侈靡「能く故を摩して新を道び、道國家を定め、然る後に時を化するか」と。「國貧しくして鄙富めば、苴朝に美なり、國を市す。國富みて鄙貧しければ、盡く市に如くは莫し。市なる者は、勸なり、勸なる者は起こす所以なり。本善くして末事起こる、侈らざれば、本事立つを得ず。賢を選び能を舉ぐるを得可からずんば、惡んぞ服せざるを伐ちて用うるを得んや。百夫に長無ければ、臨む可からざるなり。千乘に道有れば、脩む可からざるなり。夫れ紂上に在らば、惡んぞ伐ちて得ざらんや。鈞しければ則ち戰い、守れば則ち攻む。百葢に築く無く、千聚に社無き、之を陋と謂う、一舉して取る。天下に一有るは、事の時なり。萬諸侯鈞しければ、萬民に聽く無し。上位功を為して制を更むる能わずんば、其れ能く王たらんや。故に縁りて法を脩め、政を以て道を治むれば、則ち約して子を殺す、吾が君故に夷吾を取りて替と謂う」と。
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『管子』侈靡其の臣なる者は、予えて之を奪い、使いて之を輟め、徒らに以て之を富まし、父繫ぎて之を伏せ、虚爵を予えて之を驕らせ、其の春秋の時を收めて之を消し、襍禮有りて我にして之を居らしめ、時に其の强き者を舉げて以て之を譽む。强くして服事せしむ可く、辯にして以て辭を辯じ、智にして以て招請し、廉にして以て人を摽す。堅强にして以て六に乘り、其の德を廣めて以て上位を輕んじ、之を使う能わずして流徙すれば、此れを國亡ぶるの郄と謂う。」
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『管子』侈靡「請う問う、之を用うるは若何」と。「必ず天地の道に辨じ、然る後に功名以て殖す可し。地利に辯じて、民富ます可し。侈靡に通じて、士戚しむ可し。君親ら事を好み、强くして以て斷を立て、仁にして以て人に任ずるを好む。君壽くして以て年を政め、百姓夭厲せず、六畜遮く育ち、五榖遮く熟し、然る後に民力用うるを得可し。鄰國の君俱に賢ならず、然る後に王たるを得」と。「俱に賢ならば若何」と。曰く、「忽然として卿を易えて移り、忽然として亊を易えて化し、變じて以て名を成すに足り、弊を承けて民之を勸め、種を慈しみて民富む。言に應じ感を待ち、物と俱に長ず。故に日月の明、風雨に應じて種う。天の覆う所、地の載する所、斯の民の良なり。有たずして天地を醜とするは、天子の事に非ざるなり。民變ずるに變ずる能わざる、是れ梲の革を傅すなり。革有りて革むる能わざれば、服す可からず。民は信に死し、諸侯は化に死す」と。