管子 / 侈靡
「請問用之若何?」「必辨於天地之道,然後功名可以殖。辯於地利,而民可富。通於侈靡,而士可戚。君親自好事,强以立斷,仁以好任人。君壽以政年,百姓不夭厲,六畜遮育,五榖遮熟,然後民力可得用。鄰國之君俱不賢,然後得王。」「俱賢若何?」曰:「忽然易卿而移,忽然易亊而化,變而足以成名,承弊而民勸之,慈種而民富。應言待感,與物俱長。故日月之明,應風雨而種。天之所覆,地之所載,斯民之良也。不有而醜天地,非天子之事也。民變而不能變,是梲之傅革。有革而不能革,不可服。民死信,諸侯死化。」
新字:「請問用之若何?」「必弁於天地之道,然後功名可以殖。弁於地利,而民可富。通於侈靡,而士可戚。君親自好事,强以立断,仁以好任人。君寿以政年,百姓不夭厲,六畜遮育,五榖遮熟,然後民力可得用。鄰国之君倶不賢,然後得王。」「倶賢若何?」曰:「忽然易卿而移,忽然易亊而化,変而足以成名,承弊而民勧之,慈種而民富。応言待感,与物倶長。故日月之明,応風雨而種。天之所覆,地之所載,斯民之良也。不有而醜天地,非天子之事也。民変而不能変,是梲之傅革。有革而不能革,不可服。民死信,諸侯死化。」
書き下し
「請う問う、之を用うるは若何」と。「必ず天地の道に辨じ、然る後に功名以て殖す可し。地利に辯じて、民富ます可し。侈靡に通じて、士戚しむ可し。君親ら事を好み、强くして以て斷を立て、仁にして以て人に任ずるを好む。君壽くして以て年を政め、百姓夭厲せず、六畜遮く育ち、五榖遮く熟し、然る後に民力用うるを得可し。鄰國の君俱に賢ならず、然る後に王たるを得」と。「俱に賢ならば若何」と。曰く、「忽然として卿を易えて移り、忽然として亊を易えて化し、變じて以て名を成すに足り、弊を承けて民之を勸め、種を慈しみて民富む。言に應じ感を待ち、物と俱に長ず。故に日月の明、風雨に應じて種う。天の覆う所、地の載する所、斯の民の良なり。有たずして天地を醜とするは、天子の事に非ざるなり。民變ずるに變ずる能わざる、是れ梲の革を傅すなり。革有りて革むる能わざれば、服す可からず。民は信に死し、諸侯は化に死す」と。
現代語訳
用い方はどうすればよいか。必ず天地の道を見分け、そのうえで功と名を殖やせる。土地の利を見分ければ、民を富ませられる。侈靡に通じれば、士を身近にできる。君はみずから事を好み、強く決断を立て、仁があって人に任せることを好む。君が長く年を治め、民が若死にせず、六畜がそろって育ち、五穀がそろって実り、そのうえで民の力を用いられる。隣国の君がそろって賢くない、そのうえで王となれる。ではそろって賢ければどうするか。答えた。さっと卿を替えて動き、さっと事を替えて変え、変えることで名を成すに足り、傷んだところを引き受けて民が励み、種を慈しんで民が富む。言葉に応え、機を待ち、物とともに伸びる。だから日月の明るさは、風と雨に応じて種を蒔かせる。天が覆い、地が載せるところ、それがこの民の良さである。それを持たずに天と地を醜いとするのは、天子のすることではない。民が変わっているのに変われないのは、梁の上に革を貼るようなものである。革があっても改められなければ、従わせられない。民は信のために死に、諸侯は変わり方のために死ぬ。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
孫子・火攻篇火は外より発すべく、内を待つ無く、時を以て之を発す。
-
孫子・九変篇孫子曰く、凡そ兵を用うるの法は、将、命を君より受け、軍を合し衆を聚む。圮地には舍せず、衢地には交を合し、絶地には留まらず、囲地には則ち謀り、死地には則ち戦ふ。途に由らざる所有り、軍に撃たざる所有り、城に攻めざる所有り、地に争はざる所有り、君命に受けざる所有り。
-
『淮南子』天文訓天地以て設けられ、分かれて陰陽と爲る。陽は陰に生じ、陰は陽に生ず。陰陽相い錯わりて、四維乃ち通じ、或いは死し或いは生じ、萬物乃ち成る。蚑行喙息、人より貴きは莫し。孔竅肢體、皆な天に通ず。天に九重有り、人にも亦た九竅有り。天に四時有り、以て十二月を制す。人にも亦た四肢有り、以て十二節を使う。天に十二月有り、以て三百六十日を制す。人にも亦た十二肢有り、以て三百六十節を使う。故に事を舉げて天に順わざる者は、其の生を逆らう者なり。日冬至を以て來歲の正月朔日を數え、五十日なる者は、民の食足る。五十日に滿たざれば、日に一斗を減じ、餘る日有れば、日に一升を益す。其の歲司有るなり。
-
『淮南子』時則訓孟春と孟秋とは合を為し、仲春と仲秋とは合を為し、季春と季秋とは合を為し、孟夏と孟冬とは合を為し、仲夏と仲冬とは合を為し、季夏と季冬とは合を為す。孟春は始めて贏ち、孟秋は始めて縮まる。仲春は始めて出で、仲秋は始めて內る。季春は大いに出で、季秋は大いに內る。孟夏は始めて緩く、孟冬は始めて急なり。仲夏は修きに至り、仲冬は短きに至る。季夏は德畢わり、季冬は刑畢わる。故に正月に政を失えば、七月に涼風至らず。二月に政を失えば、八月に雷藏れず。三月に政を失えば、九月に霜下らず。四月に政を失えば、十月に凍らず。五月に政を失えば、十一月に蟄蟲冬に其の鄉を出づ。六月に政を失えば、十二月に草木脫せず。七月に政を失えば、正月に大寒解けず。八月に政を失えば、二月に雷發せず。九月に政を失えば、三月に春風濟らず。十月に政を失えば、四月に草木實らず。十一月に政を失えば、五月に雹霜下る。十二月に政を失えば、六月に五穀疾狂す。春に夏令を行えば泄れ、秋令を行えば水あり、冬令を行えば肅たり。夏に春令を行えば風あり、秋令を行えば蕪れ、冬令を行えば格る。秋に夏令を行えば華さき、春令を行えば榮え、冬令を行えば耗る。冬に春令を行えば泄れ、夏令を行えば旱し、秋令を行えば霧る。
-
『管子』牧民故に有德に授くれば則ち國安く、五穀に務むれば則ち食足り、桑麻を養い六畜を育つれば則ち民富み、令民心に順えば則ち威令行われ、民をして各々其の長ずる所を為さしむれば則ち用備わり、刑罰を嚴にすれば則ち民邪に遠ざかり、慶賞を信にすれば則ち民難を輕んじ、民力を量れば則ち事成らざる無く、民に其の惡む所を彊いざれば則ち詐偽生ぜず、一世を偷み取らざれば則ち民に怨心無く、其の民を欺かざれば則ち下其の上に親しむ。
-
『管子』霸言夫れ霸王の始まる所は、人を以て本と為す。本理まれば則ち國固く、本亂るれば則ち國危うし。故に上明らかなれば則ち下敬し、政平らかなれば則ち人安く、士教和すれば則ち兵敵に勝ち、能を使えば則ち百事理まり、仁に親しめば則ち上危うからず、賢に任ずれば則ち諸侯服す。霸王の形は、德義もて之に勝ち、智謀もて之に勝ち、兵戰もて之に勝ち、地形もて之に勝ち、動作もて之に勝つ、故に之に王たり。