管子 / 小匡
於是天下之諸侯知桓公之為已勤也,是以諸侯之歸之也譬若市人。桓公知諸侯之歸己也,故使輕其幣而重其禮,故使天下諸侯以疲馬犬羊為幣,齊以良馬報。諸侯以縷帛布鹿皮四分以為幣,齊以文錦虎豹皮報。諸侯之使,垂櫜而入,攟載而歸。故鈞之以愛,致之以利,結之以信,示之以武。是故天下小國諸侯既服桓公,莫之敢倍而歸之,喜其愛而貪其利,信其仁而畏其武。
新字:於是天下之諸侯知桓公之為已勤也,是以諸侯之帰之也譬若市人。桓公知諸侯之帰己也,故使軽其幣而重其礼,故使天下諸侯以疲馬犬羊為幣,斉以良馬報。諸侯以縷帛布鹿皮四分以為幣,斉以文錦虎豹皮報。諸侯之使,垂櫜而入,攟載而帰。故鈞之以愛,致之以利,結之以信,示之以武。是故天下小国諸侯既服桓公,莫之敢倍而帰之,喜其愛而貪其利,信其仁而畏其武。
書き下し
是に於いて天下の諸侯桓公の己が為に勤むるを知るなり、是を以て諸侯の之に歸するや譬えば市人の若し。桓公諸侯の己に歸するを知る、故に其の幣を輕くして其の禮を重くせしむ。故に天下の諸侯をして疲馬犬羊を以て幣と為さしめ、齊は良馬を以て報ゆ。諸侯縷帛布鹿皮四分を以て幣と為し、齊は文錦虎豹皮を以て報ゆ。諸侯の使、櫜を垂れて入り、攟載して歸る。故に之を鈞しくするに愛を以てし、之を致すに利を以てし、之を結ぶに信を以てし、之に示すに武を以てす。是の故に天下の小國の諸侯既に桓公に服し、之を敢えて倍きて歸するもの莫し、其の愛を喜びて其の利を貪り、其の仁を信じて其の武を畏る。
現代語訳
そこで天下の諸侯は、桓公が自分たちのために骨を折っていると知った。だから諸侯が帰していくさまは、市に人が集まるようだった。桓公は諸侯が自分に帰していると知って、贈り物を軽くして礼を重くさせた。だから天下の諸侯には疲れた馬や犬や羊を贈り物とさせ、斉は良い馬で返した。諸侯が糸や帛や布や鹿の皮を四分して贈り物とすれば、斉は模様のある錦や虎豹の皮で返した。諸侯の使いは、袋を垂らして空のまま入り、荷を積んで帰った。だから愛によって等しくし、利によって引き寄せ、信によって結び、武によって示した。だから天下の小国の諸侯はみな桓公に服し、あえて背いて他へ帰る者はなかった。その愛を喜んでその利を貪り、その仁を信じてその武を畏れた。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』大匡既に以て衛を封じ、明年、桓公管仲に問う、「將に何をか行わん」と。管仲對えて曰く、「公内に政を修めて民を勸めば、以て諸侯に信ぜらる可し」と。君許諾す。乃ち稅を輕くし、關市の征を弛め、賦禄の制を為す。既に已みて、管仲又た請いて曰く、「病臣を問い、願わくは賞して罰する無からん、五年にして諸侯傅かしむ可し」と。公曰く、「諾」と。既に之を行い、管仲又た請いて曰く、「諸侯の禮、齊をして豹皮を以て往かしめ、小侯は鹿皮を以て報ぜしめよ。齊は馬を以て往き、小侯は犬を以て報ぜよ」と。桓公許諾し、之を行う。管仲又た國に賞して、以て諸侯に及ばんことを請う。君曰く、「諾」と。之を行う。管仲國中に賞し、君諸侯に賞す。諸侯の君に行事の善なる者有らば、重幣を以て之を賀す。列士より以下善有る者は、衣裳もて之を賀す。凡そ諸侯の臣に其の君を諫めて善なる者有らば、璽を以て之を問い、以て其の言を信にす。
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『管子』小匡桓公天下の小國の諸侯の己に與する多きを知るなり、是に於いて又た大いに忠を施す。憂いと為す可き者は之が為に憂え、謀と為す可き者は之が為に謀り、動と為す可き者は之が為に動く。譚・萊を伐ちて有たざるなり、諸侯仁と稱す。齊國の魚鹽を東萊に通じ、關市をして幾して正せず、壥して稅せざらしめ、以て諸侯の利と為す、諸侯寛と稱す。蔡・鄢陵・培夏・靈父丘を築き、以て戎狄の地を衛る、諸侯に暴を禁ずる所以なり。五鹿・中牟・鄴・蓋と社丘とを築き、以て諸夏の地を衛る、中國に勸を示す所以なり。教大いに成る。
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『管子』小匡是の故に天下の桓公に於けるや、遠國の民は望むこと父母の如く、近國の民は從うこと流水の如し。故に地を行くこと滋々遠くして、人を得ること彌々衆し、是れ何ぞや。其の文を懷いて其の武を畏るればなり。故に無道を殺し、周室を定む、天下之を能く圉ぐもの莫きは、武事立てばなり。三革を定め、五兵を偃せ、朝服して以て河を濟り、而して怵惕する無きは、文事勝てばなり。是の故に大國の君は慙媿し、小國の諸侯は附比す。是の故に大國の君は事うること臣僕の如く、小國の諸侯は驩ぶこと父母の如し。夫れ然り、故に大國の君は尊からず、小國の諸侯は卑しからず。是の故に大國の君は驕らず、小國の諸侯は懾れず。是に於いて廣地を列ねて以て狹地を益し、有財を損じて以て無財に與う。其の君子を周くして、成功を失わず。其の小人を周くして、成命を失わず。夫れ是くの如くんば、居處すれば則ち順、出づれば則ち成功有り、甲兵を動かすの事を稱えずして、以て文・武の迹を天下に遂ぐ。桓公能く其の羣臣の謀を假りて以て其の智を益すなり、其の相は夷吾と曰い、大夫は戚・隰朋・賓胥無・鮑叔牙と曰う。此の五子を用うる者は何ぞや、功義を度り、德を光らかにし法を繼ぎ、終わりを紹ぎて以て後嗣に遺す。孝を昭穆に貽し、大いに天下に霸たり、名聲廣裕にして、掩う可からざるなり。則ち唯だ明君上に在り、察相下に在ればなり。
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『管子』小匡桓公又た問いて曰く、「寡人政を修めて以て時を天下に干めんと欲す、其れ可なるか」と。管子對えて曰く、「可なり」と。公曰く、「安くに始めて可なるか」と。管子對えて曰く、「民を愛するに始まる」と。公曰く、「民を愛するの道は奈何」と。管子對えて曰く、「公は公族を修め、家は家族を修め、相連ぬるに事を以てし、相及ぼすに祿を以てすれば、則ち民相親しむ。舊罪を放ち、舊宗を修め、後無きを立つれば、則ち民殖う。刑罰を省き、賦斂を薄くすれば、則ち民富む。鄉に賢士を建て、國に教えしむれば、則ち民に禮有り。令を出だして改めざれば、則ち民正し。此れ民を愛するの道なり」と。公曰く、「民富みて以て親しめば、則ち以て之を使う可きか」と。管子對えて曰く、「財を舉げ工を長じて、以て民用を止む。力を陳ね賢を尚びて、以て民の知を勸む。刑を加うるに苛なる無くして、以て百姓を濟う。之を行うに私無ければ、則ち以て衆を容るるに足る。言を出だすに必ず信あれば、則ち令窮まらず。此れ民を使うの道なり」と。
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『管子』小匡公曰く、「外内定まれり、可なるか」と。管子對えて曰く、「未だ可ならず、鄰國未だ吾に親しまざるなり」と。公曰く、「之に親しむは奈何」と。管子對えて曰く、「吾が疆場を審らかにし、其の侵地を反し、其の封界を正し、其の貨財を受くる毋くして、美しく皮幣を為り、以て極めて諸侯に聘頫し、以て四鄰を安んぜば、則ち鄰國我に親しまん」と。桓公曰く、「甲兵大いに足れり、吾南伐せんと欲す、何をか主とせん」と。管子對えて曰く、「魯を以て主と為せ。其の侵地常・潛を反し、海に於いて渠彌有らしめ、河陼に於いてし、山を綱するに牢有らしめよ」と。桓公曰く、「吾西伐せんと欲す、何をか主とせん」と。管子對えて曰く、「衛を以て主と為せ。其の侵地吉臺・原姑と桼里とを反し、海に於いて弊有らしめ、渠彌は陼有るに於いてし、山を綱するに牢有らしめよ」と。桓公曰く、「吾北伐せんと欲す、何をか主とせん」と。管子對えて曰く、「燕を以て主と為せ。其の侵地柴夫・吠狗を反し、海に於いて弊有らしめ、渠彌は陼有るに於いてし、山を綱するに牢有らしめよ」と。
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『管子』小匡桓公懼れ、出でて客に見えて曰く、「天威は顔を違ること咫尺ならず、小白天子の命を承けて、而して下り拜する毋くんば、下に顛蹶して、以て天子の羞と為らんことを恐る」と。遂に下り拜し、登りて賞を受く。大路、龍旗九游、渠門赤旂を服す。天子胙を桓公に致すも受けず、天下の諸侯順と稱す。