管子 / 小匡
桓公曰:「卒伍定矣,事已成矣,吾欲從事於諸侯,其可乎?」管子對曰:「未可。若軍令則吾既寄諸内政矣。夫齊國寡甲兵,吾欲輕重罪而移之於甲兵。」公曰:「為之奈何?」管子對曰:「制:重罪入以兵甲犀脅二㦸輕罪入蘭盾鞈革二㦸小罪入以金鈞,分宥薄罪入以半鈞,無坐抑而訟獄者,正三禁之而不直,則入一束矢以罰之。美金以鑄戈劒矛㦸試諸狗馬。惡金以鑄斤斧鉏夷鋸試諸木土。」
新字:桓公曰:「卒伍定矣,事已成矣,吾欲従事於諸侯,其可乎?」管子対曰:「未可。若軍令則吾既寄諸内政矣。夫斉国寡甲兵,吾欲軽重罪而移之於甲兵。」公曰:「為之奈何?」管子対曰:「制:重罪入以兵甲犀脅二戟軽罪入蘭盾鞈革二戟小罪入以金鈞,分宥薄罪入以半鈞,無坐抑而訟獄者,正三禁之而不直,則入一束矢以罰之。美金以鋳戈劒矛戟試諸狗馬。悪金以鋳斤斧鉏夷鋸試諸木土。」
書き下し
桓公曰く、「卒伍定まれり、事已に成れり、吾諸侯に事を從えんと欲す、其れ可なるか」と。管子對えて曰く、「未だ可ならず。軍令の若きは則ち吾既に諸を内政に寄す。夫れ齊國は甲兵寡なし、吾重罪を輕くして之を甲兵に移さんと欲す」と。公曰く、「之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「制すらく、重罪は入るるに兵甲犀脅二戟を以てし、輕罪は蘭盾鞈革二戟を入れ、小罪は入るるに金鈞を以てし、宥を分かちて薄罪は入るるに半鈞を以てす。坐する無くして抑えて訟獄する者は、正之を三たび禁じて直からざれば、則ち一束の矢を入れて以て之を罰す。美金は以て戈劍矛戟を鑄て、諸を狗馬に試む。惡金は以て斤斧鉏夷鋸を鑄て、諸を木土に試む」と。
現代語訳
桓公が言った、部隊は定まり、事はすでに成った。私は諸侯に事をしかけたい。よいか。管子が答えた、まだいけません。軍令についてはすでに内政に寄せてあります。しかし斉国は武具が少ない。私は重罪を軽くして、その分を武具に移したいと思います。公が言った、どうするのか。管子が答えた、こう定めます。重罪は武具と犀の甲、戟二本を納めさせ、軽罪は盾と革の胸当て、戟二本を納めさせ、小罪は金一鈞、赦しを加える軽い罪は半鈞を納めさせる。訴える理由がないのに押して訴訟する者は、係が三度禁じてもまっすぐでなければ、束ねた矢一つを納めさせて罰する。良い金は戈や剣や矛や戟に鋳て、犬や馬で試す。悪い金は斧や鋤や鋸に鋳て、木や土で試す。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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国語・斉語桓公問いて曰く、「夫れ軍令は則ち諸を内政に寄せたり。斉国は甲兵寡なし。之を為すこと若何」と。管子対えて曰く、「過ちを軽くして諸を甲兵に移さん」と。桓公曰く、「之を為すこと若何」と。管子対えて曰く、「重罪は贖(あがな)うに犀甲一戟(げき)を以てし、軽罪は贖うに鞼盾(きじゅん)一戟を以てし、小罪は謫(せ)むるに金分を以てし、間罪は宥(ゆる)すと制す。訟を索(もと)むる者は三たび禁じて上下すべからずんば、坐成するに束矢を以てす。美金は以て剣戟を鋳て、諸を狗馬に試み、悪金は以て鉏(しょ)・夷・斤・斸(ちょく)を鋳て、諸を壌土に試みん」と。甲兵大いに足る。
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『管子』中匡管仲國用を會するに、三分の二は賓客に在り、其の一は國に在り、管仲懼れて之を復す。公曰く、「吾子猶お是くの如きか。四鄰の賓客、入る者說び、出づる者譽むれば、光名天下に滿つ。入る者說ばず、出づる者譽めざれば、汚名天下に滿つ。壤は以て粟と為す可く、木は以て貨と為す可し。粟盡くれば則ち生ずる有り、貨散ずれば則ち聚まる有り。人に君たる者は、名之を貴しと為す、財安んぞ有つ可けんや」と。管仲曰く、「此れ君の明なり」と。公曰く、「民軍事を辦ず、則ち可なるか」と。對えて曰く、「不可なり。甲兵未だ足らざるなり、請う刑罰を薄くして以て甲兵を厚くせん」と。是に於いて死罪も殺さず、刑罪も罰せず、甲兵を以て贖わしむ。死罪は犀甲一・戟を以てし、刑罰は脅盾一・戟を以てし、過罰は金を以てす。軍に計る所無くして訟うる者は、成すに束矢を以てす。公曰く、「甲兵既に足れり、吾大國の不道なる者を誅せんと欲す、可なるか」と。對えて曰く、「四封の内を愛して、而る後に以て竟外の不善なる者を惡む可し。卿大夫の家を安んじて、而る後に以て敵に救するの國を危うくす可し。小國に地を賜いて、而る後に以て大國の不道なる者を誅す可し。賢良を舉げて、而る後に以て法を慢り鄙賤なる民を廢す可し。是の故に先王は必ず置く有りて、而る後に必ず廢する有り。必ず利する有りて、而る後に必ず害する有り」と。
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『管子』小匡桓公曰く、「民の居定まれり、事已に成れり、吾天下の諸侯に事を從えんと欲す、其れ可なるか」と。管子對えて曰く、「未だ可ならず。民心未だ吾に安んぜず」と。公曰く、「之を安んずるは奈何」と。管子對えて曰く、「舊法を修め、其の善き者を擇び、舉げて嚴に之を用う。民に慈しみ、財無きに予え、政役を寛くし、百姓を敬えば、則ち國富みて民安し」と。公曰く、「民安し、其れ可なるか」と。管仲對えて曰く、「未だ可ならず。君若し卒伍を正し、甲兵を修めんと欲せば、則ち大國も亦た將に卒伍を正し、甲兵を修めんとす。君に征戰の事有らば、則ち小國の諸侯の臣に守圉の備え有らん。然らば則ち以て速やかに天下に意を得難し。公速やかに天下の諸侯に意を得んと欲せば、則ち事に隱す所有りて、政に寓する所有らん」と。公曰く、「之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「内政を作して軍令を焉に寓せよ。高子の里を為り、國子の里を為り、公里を為る。齊國を三分して、以て三軍と為す。其の賢民を擇びて、里君と為さしむ。鄉に行伍卒長有らば、則ち其れ令を制す。且つ田獵を以てし、因りて以て賞罰すれば、則ち百姓軍事に通ず」と。
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国語・斉語桓公曰く、「吾諸侯に従事せんと欲す。其れ可ならんか」と。管子対えて曰く、「未だ可ならず。国未だ安からず」と。桓公曰く、「国を安んずること若何」と。管子対えて曰く、「旧法を修め、其の善き者を択びて業として之を用い、遂に民を滋(ま)し、財無きに与え、而して百姓を敬すれば、則ち国安からん」と。桓公曰く、「諾(だく)」と。遂に旧法を修め、其の善き者を択びて業として之を用い、遂に民を滋し、財無きに与え、而して百姓を敬す。国既に安し。桓公曰く、「国安し。其れ可ならんか」と。管子対えて曰く、「未だ可ならず。君若し卒伍を正し、甲兵を修めば、則ち大国も亦将に卒伍を正し、甲兵を修めんとす。則ち以て速やかに志を得難し。君に攻伐の器有らば、小国の諸侯にも守禦の備え有り。則ち以て速やかに志を得難し。君若し速やかに志を天下の諸侯に得んと欲せば、則ち事は以て令を隠すべく、以て政に寄すべし」と。桓公曰く、「之を為すこと若何」と。管子対えて曰く、「内政を作りて軍令を寄せん」と。桓公曰く、「善し」と。 管子是に於いて国を制す。「五家を軌(き)と為し、軌に之が長を為す。十軌を里と為し、里に司有り。四里を連と為し、連に之が長を為す。十連を郷と為し、郷に良人有り。以て軍令と為す。五家を軌と為す、故に五人を伍と為し、軌長之を帥う。十軌を里と為す、故に五十人を小戎と為し、里の有司之を帥う。四里を連と為す、故に二百人を卒と為し、連長之を帥う。十連を郷と為す、故に二千人を旅と為し、郷の良人之を帥う。五郷に一帥あり、故に万人を一軍と為し、五郷の帥之を帥う。三軍あり、故に中軍の鼓有り、国子の鼓有り、高子の鼓有り。春は蒐(しゅう)を以て旅を振い、秋は獮(せん)を以て兵を治む。是の故に卒伍は里に整い、軍旅は郊に整う。内教既に成れば、令して遷徙せしむる勿かれ。伍の人は祭祀に福を同じくし、死喪に恤(うれ)いを同じくし、禍災之を共にす。人と人と相疇(たぐ)い、家と家と相疇い、世々居を同じくし、少くして遊びを同じくす。故に夜戦えば声相聞こえ、以て乖(そむ)かざるに足り、昼戦えば目相見え、以て相識るに足る。其の歓欣は以て相死するに足る。居りては楽しみを同じくし、行きては和を同じくし、死しては哀しみを同じくす。是の故に守れば則ち同じく固く、戦えば則ち同じく彊(つよ)し。君に此の士有ること三万人、以て天下に方行し、以て無道を誅し、以て周室を屏(まも)らば、天下の大国の君も之を能く禦(ふせ)ぐ莫からん」と。
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『管子』大匡管仲進みて言を舉げ、上りて之を君に見え、卒年を以て君舉ぐ。管仲鮑叔に告げて曰く、「國家を勸めて成るを得ずして悔い、政に從いて治まらず、野原たる能わず、又た多くして發し、訟して驕る、凡そ三つの者は、罪有りて赦す無し」と。晏子に告げて曰く、「貴人の子華に處り、下に交わり、飲食を好む、此の三つの者を行わば、罪有りて赦す無し。士出入常無く、老を敬わずして富を營む、此の三つの者を行わば、罪有りて赦す無し。耕す者出入父兄に應ぜず、力を用うるに農ならず、賢に事えず、此の三つの者を行わば、罪有りて赦す無し」と。國子に告げて曰く、「工賈出入父兄に應ぜず、事を承けて敬まず、而して老に違い危を治む、此の三つの者を行わば、罪有りて赦す無し」と。凡そ父兄に過ち無く、州里之を稱し、吏之を進め、君之を用う。善有るも賞無く、過ち有るも罰無ければ、吏進めず、意を廉にす。父兄に過ち無く、州里に稱する莫きも、吏之を進め、君之を用いて、善なれば、上賞と為す。不善なれば、吏に罰有り。君國子に謂う、「凡そ貴賤の義は、入りては父と俱にし、出でては師と俱にし、上りては君と俱にす。凡そ三つの者賊に遇いて死せず、賊を知らざれば、則ち赦す無し。獄を斷ずるに情と義と易え、義と禄と易う、禄を易うれば斂むる無かる可し、有らば赦す無かる可し」と。
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『管子』大匡歳を卒えて、呉人穀を伐つ。桓公諸侯に告ぐること未だ徧からずして、諸侯の師竭く至り、以て桓公を待つ。桓公車千乘を以て諸侯と竟に會す、都師未だ至らずして、呉人逃げ、諸侯皆罷む。桓公歸り、管仲に問いて曰く、「將に何をか行わん」と。管仲曰く、「以て政を加う可し」と。曰く、「今より以往二年、適子孝を聞かず、其の弟を愛するを聞かず、老を敬い國良なるを聞かず、三つの者一つも焉れ無くんば、誅す可きなり。諸侯の臣國事に及びて、三年善を聞かずんば、罰す可きなり。君に過ち有りて大夫諫めず、士庶人に善有りて大夫進めざれば、罰す可きなり。士庶人之を吏に聞き、賢孝悌なれば賞す可きなり」と。桓公受けて之を行う、近侯事を請わざる莫し。兵車の會六たび、乘車の會三たび、國を饗くること四十有二年。

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