管子 / 小匡
是故卒伍政定於里,軍旅政定於郊。内教既成,令不得遷徙。故卒伍之人,人與人相保,家與家相愛,少相居,長相游,祭祀相福,死喪相恤,禍福相憂,居處相樂,行作相和,哭泣相哀。是故夜戰其聲相聞,足以無亂。晝戰其目相見,足以相識。驩欣足以相死。是故以守則固,以戰則勝。君有此教士三萬人,以横行於天下。誅無道,以定周室。天下大國之君,莫之能圉也。」
新字:是故卒伍政定於里,軍旅政定於郊。内教既成,令不得遷徙。故卒伍之人,人与人相保,家与家相愛,少相居,長相游,祭祀相福,死喪相恤,禍福相憂,居処相楽,行作相和,哭泣相哀。是故夜戦其声相聞,足以無乱。昼戦其目相見,足以相識。驩欣足以相死。是故以守則固,以戦則勝。君有此教士三万人,以横行於天下。誅無道,以定周室。天下大国之君,莫之能圉也。」
書き下し
是の故に卒伍の政は里に定まり、軍旅の政は郊に定まる。内教既に成らば、令して遷徙するを得ざらしむ。故に卒伍の人は、人と人と相保ち、家と家と相愛し、少にして相居り、長じて相游び、祭祀に相福し、死喪に相恤み、禍福に相憂え、居處に相樂しみ、行作に相和し、哭泣に相哀しむ。是の故に夜戰えば其の聲相聞こゆ、以て亂るる無きに足る。晝戰えば其の目相見る、以て相識るに足る。驩欣以て相死するに足る。是の故に以て守れば則ち固く、以て戰えば則ち勝つ。君に此の教士三萬人有らば、以て天下に横行す。無道を誅して、以て周室を定む。天下の大國の君、之を能く圉ぐもの莫きなり。
現代語訳
だから部隊の政は里で定まり、軍旅の政は郊外で定まる。内の教えが成れば、令を出して移り住むことを許さない。だから同じ部隊の人は、人と人が互いに保ち合い、家と家が互いに愛し合い、幼いころからともに暮らし、大人になってともに遊び、祭りには一緒に福を祈り、喪には一緒に悼み、禍福をともに憂え、住まいでともに楽しみ、仕事でともに和し、泣くときはともに哀しむ。だから夜に戦えば互いの声が聞こえ、乱れずにすむ。昼に戦えば互いの顔が見え、見分けがつく。喜び合う仲だから、互いのために死ぬに足りる。だから守れば固く、戦えば勝つ。君にこの教えられた士が三万人あれば、天下を横行できる。道に外れた者を討ち、周の王室を定められる。天下の大国の君で、これを防げる者はいない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『管子』小匡桓公曰く、「善し」と。是に於いてか管子乃ち五家を制して以て軌と為し、軌に之が長を為す。十軌を里と為し、里に司有り。四里を連と為し、連に之が長を為す。十連を鄉と為し、鄉に良人有り。以て軍令と為す。是の故に五家を軌と為し五人を伍と為す、軌長之を率う。十軌を里と為す、故に五十人を小戎と為す、里の司之を率う。四里を連と為す、故に二百人を卒と為す、連長之を率う。十連を鄉と為す、故に二千人を旅と為す、鄉の良人之を率う。五鄉に一師、故に萬人を一軍と為す、五鄉の師之を率う。三軍あり、故に中軍の鼓有り、高子の鼓有り、國子の鼓有り。春に田するを蒐と曰い、旅を振るう。秋に田するを獮と曰い、兵を治む。
-
『管子』小匡桓公曰く、「民の居定まれり、事已に成れり、吾天下の諸侯に事を從えんと欲す、其れ可なるか」と。管子對えて曰く、「未だ可ならず。民心未だ吾に安んぜず」と。公曰く、「之を安んずるは奈何」と。管子對えて曰く、「舊法を修め、其の善き者を擇び、舉げて嚴に之を用う。民に慈しみ、財無きに予え、政役を寛くし、百姓を敬えば、則ち國富みて民安し」と。公曰く、「民安し、其れ可なるか」と。管仲對えて曰く、「未だ可ならず。君若し卒伍を正し、甲兵を修めんと欲せば、則ち大國も亦た將に卒伍を正し、甲兵を修めんとす。君に征戰の事有らば、則ち小國の諸侯の臣に守圉の備え有らん。然らば則ち以て速やかに天下に意を得難し。公速やかに天下の諸侯に意を得んと欲せば、則ち事に隱す所有りて、政に寓する所有らん」と。公曰く、「之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「内政を作して軍令を焉に寓せよ。高子の里を為り、國子の里を為り、公里を為る。齊國を三分して、以て三軍と為す。其の賢民を擇びて、里君と為さしむ。鄉に行伍卒長有らば、則ち其れ令を制す。且つ田獵を以てし、因りて以て賞罰すれば、則ち百姓軍事に通ず」と。
-
『管子』禁藏故に國に私勇多き者は其の兵弱く、吏に私智多き者は其の法亂れ、民に私利多き者は其の國貧し。故に德は博厚に若くは莫し、民をして之に死せしむ。賞罰は必ず成るに若くは莫し、民をして之を信ぜしむ。夫れ善く民を牧する者は、城郭を以てするに非ざるなり、之を輔くるに什を以てし、之を司るに伍を以てす。伍に其の人に非ざる無く、人に其の里に非ざる無く、里に其の家に非ざる無し。故に奔亡する者匿るる所無く、遷徙する者容るる所無し。求めずして約まり、召さずして來たる、故に民に流亡の意無く、吏に備追の憂い無し。故に主政は民に往く可く、民心は主に繋がる可し。
-
『管子』小匡高子・國子退きて鄉を修め、鄉退きて連を修め、連退きて里を修め、里退きて軌を修め、軌退きて家を修む。是の故に匹夫に善有らば、故に得て舉ぐ可きなり。匹夫に不善有らば、故に得て誅す可きなり。政既に成れば、鄉は長を越えず、朝は爵を越えず。罷士に伍無く、罷女に家無し。士三たび妻を出さば、境外に逐う。女三たび嫁がば、舂穀に入る。是の故に民皆善を為すに勉む。士は其の善を鄉に為すよりは、善を里に為すに如かず。善を里に為すよりは、善を家に為すに如かず。是の故に士敢えて一朝の便を言うもの莫く、皆終歳の計有り。敢えて終歳を以て議を為すもの莫く、皆終身の功有り。
-
『管子』兵法衆を治むるに數有り、敵に勝つに理有り。數を察して理を知り、器を審らかにして勝を識り、理を明らかにして敵に勝つ。宗廟を定め、男女を遂げ、官を四分すれば、則ち以て威德を定め、法儀を制し、號令を出だす可し、然る後に以て衆を一にし民を治む可し。兵に主無ければ則ち蚤く敵を知らず、野に吏無ければ則ち蓄積無く、官に常無ければ則ち下上を怨み、器械巧ならざれば則ち朝に定まる無く、賞罰明らかならざれば則ち民其の產を輕んず。故に曰く、早く敵を知れば則ち獨行し、蓄積有れば則ち久しくして匱しからず、器械巧なれば則ち伐ちて費えず、賞罰明らかなれば則ち勇士勸むと。
-
『管子』五輔曰く、然らば則ち人を得るの道は、之を利するに如くは莫し。之を利するの道は、之を教うるに政を以てするに如くは莫し。故に善く政を為す者は、田疇墾かれて國邑實ち、朝廷閒かにして官府治まり、公法行われて私曲止み、倉廩實ちて囹圄空しく、賢人進みて奸民退く。其の君子は中正を上びて諂諛を下し、其の士民は武勇を貴びて利を得るを賤しみ、其の庶人は耕農を好みて飲食を惡む。是に於いて財用足りて飲食薪菜饒かなり。是の故に上は必ず寛裕にして解舍有り、下は必ず聽從して疾怨せず、上下和同して禮義有り。故に處りて安く動きて威あり、戰いて勝ち守りて固し、是を以て一戰して諸侯を正す。