管子 / 小匡
今夫工,羣萃而州處,相良材,審其四時,辨其功苦,權節其用,論比計制,斷器尚完利。相語以事,相示以功,相陳以巧,相高以知事。旦昔從事於此,以教其子弟。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教,不肅而成。其子弟之學,不勞而能。夫是,故工之子常為工。
新字:今夫工,羣萃而州処,相良材,審其四時,弁其功苦,権節其用,論比計制,断器尚完利。相語以事,相示以功,相陳以巧,相高以知事。旦昔従事於此,以教其子弟。少而習焉,其心安焉,不見異物而遷焉。是故其父兄之教,不粛而成。其子弟之学,不労而能。夫是,故工之子常為工。
書き下し
今夫れ工は、羣萃して州處し、良材を相し、其の四時を審らかにし、其の功苦を辨じ、其の用を權節し、論比計制し、器を斷ずるに完利を尚ぶ。相語るに事を以てし、相示すに功を以てし、相陳ぬるに巧を以てし、相高ぶるに事を知るを以てす。旦昔此に從事して、以て其の子弟を教う。少くして焉に習えば、其の心焉に安んじ、異物を見て遷らず。是の故に其の父兄の教は、肅ならずして成る。其の子弟の學は、勞せずして能くす。夫れ是くのごとし、故に工の子は常に工と為る。
現代語訳
いま工は、群れ集まって州にまとまって住み、良い材を見きわめ、四季を見て、出来の良し悪しを分け、用い方を量って加減し、比べて評し寸法を定め、器を仕上げるには丈夫で役に立つことを尊ぶ。互いに仕事のことを語り、互いに出来ばえを見せ、互いに工夫を並べ、互いに知っていることで競い合う。朝夕これに従事して、それで子弟を教える。幼いうちからそれに慣れれば、心はそこに落ち着き、よそのものを見ても移らない。だから父兄の教えは厳しくしなくても成り、子弟の学びは苦労しなくてもできる。だから工の子は常に工となる。
解説
職人の暮らしを書いた段です。目を引くのは、互いにどう関わるかを四つ並べたところ。仕事を語り、出来ばえを見せ、工夫を並べ、知っていることで競い合う。教える側と教わる側ではなく、横で見せ合う関係が学びの場になっています。器を仕上げる基準も一つだけで、丈夫で役に立つこと。飾りはここでも上位に来ません。
この章句が説くこと
今夫れ工は羣萃して州処し良材を相し其の四時を審らかにす其の功苦を弁じ其の用を権節し器を断ずるに完利を尚ぶ相語るに事を以てし相示すに功を以てし相陳ぬるに巧を以てす其の父兄の教は粛ならずして成る職人切磋
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