管子 / 大匡
從諸侯欲通,吏從行者,令一人為負以車,若宿者,令人養其馬,食其委。客與有司别契,至國八契,費義數而不當,有罪。凡庶人欲通,鄉吏不通,七日,囚。出欲通,吏不通,五日,囚。䝿人子欲通,吏不通,三日,囚。凡縣吏進諸侯士而有善,觀其能之大小以為之賞,有過無罪。令鮑叔進大夫,勸國家,得之成而不悔為上舉。從政治為次。野為原,又多不發,起訟不驕,次之。勸國家,得之成而悔,從政雖治,而不能野原,又多發,起訟驕,行此三者為下。令晏子進䝿人之子,出不仕,處不華,而友有少長,為上舉,得二為次,得一為下。士處靖,敬老與䝿,交不失禮,行此三者為上舉,得二為次,得一為下。耕者農農用力,應於父兄,事賢多,行此三者為上舉,得二為次,得一為下。令髙子進工賈,應於父兄,事長養老,承事敬,行此三者為上舉,得二者為次,得一者為下。令國子以情斷獄,三大夫既已選舉,使縣行之。
新字:従諸侯欲通,吏従行者,令一人為負以車,若宿者,令人養其馬,食其委。客与有司別契,至国八契,費義数而不当,有罪。凡庶人欲通,郷吏不通,七日,囚。出欲通,吏不通,五日,囚。䝿人子欲通,吏不通,三日,囚。凡県吏進諸侯士而有善,観其能之大小以為之賞,有過無罪。令鮑叔進大夫,勧国家,得之成而不悔為上舉。従政治為次。野為原,又多不発,起訟不驕,次之。勧国家,得之成而悔,従政雖治,而不能野原,又多発,起訟驕,行此三者為下。令晏子進䝿人之子,出不仕,処不華,而友有少長,為上舉,得二為次,得一為下。士処靖,敬老与䝿,交不失礼,行此三者為上舉,得二為次,得一為下。耕者農農用力,応於父兄,事賢多,行此三者為上舉,得二為次,得一為下。令高子進工賈,応於父兄,事長養老,承事敬,行此三者為上舉,得二者為次,得一者為下。令国子以情断獄,三大夫既已選舉,使県行之。
書き下し
諸侯に從いて通ぜんと欲すれば、吏の從いて行く者は、一人をして負わしめ車を以てす。若し宿する者あらば、人をして其の馬を養い、其の委を食ましむ。客と有司と契を別かち、國に至れば八契、費義數えて當たらざれば、罪有り。凡そ庶人通ぜんと欲するに、鄉吏通ぜざれば、七日にして囚う。出でて通ぜんと欲するに、吏通ぜざれば、五日にして囚う。貴人の子通ぜんと欲するに、吏通ぜざれば、三日にして囚う。凡そ縣吏諸侯の士を進めて善有らば、其の能の大小を觀て以て之が賞を為す、過ち有るも罪無し。鮑叔をして大夫を進めしむ、國家を勸め、之を得て成りて悔いざるを上舉と為す。政に從いて治まるを次と為す。野原と為し、又た多く發せず、訟を起こして驕らざるを、之に次ぐとす。國家を勸め、之を得て成りて悔い、政に從いて治まると雖も、而して野原たる能わず、又た多く發し、訟を起こして驕る、此の三つの者を行うを下と為す。晏子をして貴人の子を進めしむ、出でて仕えず、處りて華ならず、而して友に少長有るを、上舉と為し、二を得るを次と為し、一を得るを下と為す。士は靖に處り、老と貴とを敬い、交わりて禮を失わず、此の三つの者を行うを上舉と為し、二を得るを次と為し、一を得るを下と為す。耕す者は農農として力を用い、父兄に應じ、賢に事うること多き、此の三つの者を行うを上舉と為し、二を得るを次と為し、一を得るを下と為す。高子をして工賈を進めしむ、父兄に應じ、長に事え老を養い、事を承けて敬む、此の三つの者を行うを上舉と為し、二を得る者を次と為し、一を得る者を下と為す。國子をして情を以て獄を斷ぜしむ、三大夫既已に選舉すれば、縣をして之を行わしむ。
現代語訳
諸侯に従って通行しようとするときは、随行する役人には一人に荷を負わせ車を用いる。宿する者があれば、人にその馬を養わせ、蓄えから食わせる。客と担当の役人とは割符を分け、都に着けば八つの割符となる。費用の数え方が合わなければ罪となる。庶人が通行を願い出て、郷の役人が通さなければ、七日で拘留される。外へ出るのに役人が通さなければ、五日で拘留される。貴人の子が通ろうとして役人が通さなければ、三日で拘留される。県の役人が諸侯の士を推挙して善があれば、その能力の大小を見て賞を与える。過ちがあっても罪にはしない。鮑叔には大夫を推挙させる。国家を励まし、それを得て成し遂げて悔いないのを上の推挙とする。政にたずさわって治まるのを次とする。野を原とし、しかも多くを発せず、訴えを起こしても驕らないのをその次とする。国家を励まし、得て成し遂げても悔い、政にたずさわって治まっていても野を原にできず、多くを発し、訴えを起こして驕る。この三つを行うのを下とする。晏子には貴人の子を推挙させる。出ても仕官せず、家にあっても華美でなく、友に年少年長の別があるのを上の推挙とし、二つなら次、一つなら下とする。士は静かに身を置き、老と貴を敬い、交わって礼を失わない。この三つを行うのを上の推挙とし、二つなら次、一つなら下とする。耕す者はひたむきに力を用い、父兄に応じ、賢者に仕えることが多い。この三つを行うのを上の推挙とし、二つなら次、一つなら下とする。高子には職人と商人を推挙させる。父兄に応じ、年長に仕え老を養い、事を承けて慎む。この三つを行うのを上の推挙とし、二つなら次、一つなら下とする。国子には実情によって裁きを断じさせる。三人の大夫が選び挙げたら、県にそれを行わせる。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『長短経』息弁此に由りて之を言えば、夫れ身を立て政に従うには、皆本有り。理乱能否には、皆迹有り。若し其の本行を操りて、事迹を以て之を縄さば、譬えば水の寒き、火の熱きが如く、則ち善悪逃るる所無し。
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『長短経』臣行或るひと曰く「商鞅は徒歩より起こり、孝公に干め、三術の略を挟み、六国の縦を呑み、秦をして帝業ならしむ。覇者の佐と為す可きか」と。劉向曰く「夫れ商君は、内は耕戦の業を急にし、外は戦伐の賞を重んず。貴寵に阿らず、疎遠に偏らず。書に『偏無く党無し』と云い、詩に『周道は砥の如く、其の直きこと矢の如し』と云い、司馬法の戎士を厲まし、周の后稷の農業を勧むと雖も、以て此に易うる無し。此れ諸侯を并す所以なり。
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『春秋左氏伝』昭公二十八年 唯だ善の在る所之に縣を與ふと雖も、亦た可ならずや。昔武王商に克ち、光(おほ)いに天下を有つ。其の兄弟の國なる者十有五人、姬姓の國なる者四十人、皆親を舉ぐるなり。夫れ舉ぐるに他無し、唯だ善の在る所なり、親疏一なり。詩に曰く、『唯れ此の文王、帝其の心を度(はか)り、其の德音を莫(さだ)む。其の德克く明らかに、克く明らかに克く類し、克く長じ克く君たり。此の大國に王として、克く順ひ克く比す。文王に比(およ)びて、其の德悔い靡し。既に帝の祉を受け、孫子に施す』と。心能く義を制するを度と曰ひ、德正しくして應和するを莫と曰ひ、四方に照臨するを明と曰ひ、勤施して私無きを類と曰ひ、教誨して倦まざるを長と曰ひ、賞慶刑威あるを君と曰ひ、慈和にして遍く服するを順と曰ひ、善を擇びて之に從ふを比と曰ひ、天地を經緯するを文と曰ふ。九德愆(あやま)たず、事を作して悔い無し。故に天祿を襲(う)け、子孫之に賴る。主の舉ぐるや、文德に近し。及ぶ所其れ遠からんかな」と。賈辛將に其の縣に適かんとし、魏子に見ゆ。魏子曰く、「辛來たれ。昔叔向鄭に適く。
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『墨子』尚賢下子墨子言いて曰く、「天下の王公大人は皆な其の國家の富み、人民の衆く、刑法の治まるを欲す。然れども尚賢を以て政を為して其の國家百姓を治むるを識らず。王公大人、本より尚賢の政を為すの本を失えるなり。若し茍くも王公大人、本より尚賢の政を為すの本を失わば、則ち物を舉げて之に示す毋くんばある能わざらんや。今、若し一諸侯、此に有りて、國家に政を為すや、曰く、『凡そ我が國の能く射御する士は、我れ將に之を賞し貴くせんとす。射御する能わざる士は、我れ將に之を罪し賤しくせんとす』と。若の國の士に問う、孰か喜び孰か懼れんと。我れ以て必ず能く射御する士は喜び、射御する能わざる士は懼れんと為す。我れ賞して因りて之を誘わん、曰く、『凡そ我が國の忠信の士は、我れ將に之を賞し貴くせんとす。忠信ならざる士は、我れ將に之を罪し賤しくせんとす』と。」
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『墨子』非儒下夫れ一に道術學業とは、仁義なり。昔、大にしては以て人を治め、小にしては以て官に任じ、逺くしては施し、用いては偏く、近くしては以て身を循む。不義には處らず、非理には行わず。務めて天下の利を興し、曲直周旋、利あれば則ち止まる。此れ君子の道なり。聞く所の孔丘の行いを以てすれば、則ち本より此と相い反謬するなり。
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『学問のすゝめ』十一編・名分をもって偽君子を生ずるの論・詰まるところは飼犬に手を噛まるるものあるいはまれに正直なる役人ありて賄賂の沙汰も聞こえざれば、前代未聞の名臣とて一藩中の評判なれども、その実はわずかに銭を盗まざるのみ。人に盗心なければとてさまで誉むべきことにあらず。ただ偽君子の群集するその中に十人並みの人が雑るゆえ、格別に目立つまでのことなり。畢竟この偽君子の多きもその本を尋ぬれば古人の妄想にて、世の人民をばみな結構人にして御しやすきものと思い込み、その弊ついに専制抑圧に至り、詰まるところは飼犬に手を噛まるるものなり。返す返すも世の中に頼みなきものは名分なり。毒を流すの大なるものは専制抑圧なり。恐るべきにあらずや。

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