管子 / 兵法
九章:一曰舉日章則晝行,二曰舉月章則夜行,三曰舉龍章則行水,四曰舉虎章則行林,五曰舉鳥章則行陂,六曰舉蛇章則行澤,七曰舉鵲章則行陸,八曰舉狼章則行山,九曰舉韟章則載食而駕。九章既定,而動靜不過。三官、五教、九章,始乎無端,卒乎無窮。始乎無端者,道也。卒乎無窮者,徳也。道不可量,徳不可數也。故不可量則衆强不能圖,不可數則偽詐不敢嚮。兩者備施,則動靜有功。徑乎不知,發乎不意。徑乎不知,故莫之能禦也;發乎不意,故莫之能應也,故全勝而無害,因便而教,准利而行。
新字:九章:一曰舉日章則昼行,二曰舉月章則夜行,三曰舉竜章則行水,四曰舉虎章則行林,五曰舉鳥章則行陂,六曰舉蛇章則行沢,七曰舉鵲章則行陸,八曰舉狼章則行山,九曰舉韟章則載食而駕。九章既定,而動静不過。三官、五教、九章,始乎無端,卒乎無窮。始乎無端者,道也。卒乎無窮者,徳也。道不可量,徳不可数也。故不可量則衆强不能図,不可数則偽詐不敢嚮。両者備施,則動静有功。径乎不知,発乎不意。径乎不知,故莫之能禦也;発乎不意,故莫之能応也,故全勝而無害,因便而教,准利而行。
書き下し
九章とは、一に曰く日章を舉ぐれば則ち晝行し、二に曰く月章を舉ぐれば則ち夜行し、三に曰く龍章を舉ぐれば則ち水を行き、四に曰く虎章を舉ぐれば則ち林を行き、五に曰く鳥章を舉ぐれば則ち陂を行き、六に曰く蛇章を舉ぐれば則ち澤を行き、七に曰く鵲章を舉ぐれば則ち陸を行き、八に曰く狼章を舉ぐれば則ち山を行き、九に曰く韟章を舉ぐれば則ち食を載せて駕す。九章既に定まりて、動靜過たず。三官・五教・九章は、端無きに始まり、窮まり無きに卒わる。端無きに始まる者は、道なり。窮まり無きに卒わる者は、德なり。道は量る可からず、德は數う可からざるなり。故に量る可からざれば則ち衆強も圖る能わず、數う可からざれば則ち偽詐も敢えて嚮わず。兩つの者備え施さば、則ち動靜に功有り。知らざるに徑ち、意わざるに發す。知らざるに徑つ、故に之を能く禦ぐもの莫きなり。意わざるに發す、故に之を能く應ずるもの莫きなり、故に全く勝ちて害無し、便に因りて教え、利に准じて行う。
現代語訳
九章とは、一に日の章を挙げれば昼に行き、二に月の章を挙げれば夜に行き、三に龍の章を挙げれば水を行き、四に虎の章を挙げれば林を行き、五に鳥の章を挙げれば堤を行き、六に蛇の章を挙げれば沢を行き、七に鵲の章を挙げれば陸を行き、八に狼の章を挙げれば山を行き、九に矢入れの章を挙げれば食を載せて車を駆る。九つの章が定まって、動きも静けさも外れない。三官と五教と九章は、端のないところに始まり、窮まりのないところに終わる。端のないところに始まるのが道であり、窮まりのないところに終わるのが徳である。道は量れず、徳は数えられない。量れなければ多勢や強者も謀れず、数えられなければ偽りや詐りも向かってこられない。この二つを備えて施せば、動いても静かでも功がある。相手が知らないところを通り、思いもよらないところで発する。知らないところを通るから、防げる者がない。思いもよらないところで発するから、応じられる者がない。だからまったく勝って害がなく、都合に応じて教え、利に合わせて行う。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
孫子・行軍篇斥沢を絶つには、惟だ亟やかに去りて留まること無かれ。若し軍を斥沢の中に交うれば、必ず水草に依りて衆樹を背にす。此れ斥沢に処るの軍なり。平陸には易きに処りて、右に高きを背にし、前は死し後は生く。此れ平陸に処るの軍なり。凡そ此の四軍の利は、黄帝の四帝に勝ちし所以なり。
-
孫子・九変篇孫子曰く、凡そ兵を用うるの法は、将、命を君より受け、軍を合し衆を聚む。圮地には舍せず、衢地には交を合し、絶地には留まらず、囲地には則ち謀り、死地には則ち戦ふ。途に由らざる所有り、軍に撃たざる所有り、城に攻めざる所有り、地に争はざる所有り、君命に受けざる所有り。
-
孫子・地形篇孫子曰く、凡そ地形には通なる者、掛なる者、支なる者、隘なる者、険なる者、遠なる者あり。我も以て往くべく、彼も以て来たるべきを、通と曰う。通形には、先ず高陽に居り、糧道を利にして、以て戦えば則ち利あり。
-
孫子・九地篇是の故に諸侯の謀を知らざる者は、予め交わること能わず。山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。
-
孫子・行軍篇孫子曰く、凡そ軍を処き敵を相るに、山を絶つには谷に依り、生を視て高きに処り、隆きに戦うには登ること無かれ。此れ山に処るの軍なり。
-
孫子・地形篇吾が卒の以て撃つべきを知りて、敵の撃つべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知りて、吾が卒の以て撃つべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知り、吾が卒の以て撃つべきを知りて、地形の以て戦うべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。故に兵を知る者は、動きて迷わず、挙げて窮せず。故に曰く、彼を知り己を知れば、勝は乃ち殆うからず。天を知り地を知れば、勝は乃ち全うすべし。