管子 / 法法
主蔽者,失其令也。故曰:令入而不出謂之蔽,令出而不入謂之壅,令出而不行謂之牽,令入而不至謂之瑕。牽瑕蔽壅之亊君者,非敢杜其門而守其户也,為令之有所不行也。此其所以然者,由賢人不至,而忠臣不用也。故人主不可以不慎其令。令者,人主之大寳也。一曰:賢人不至謂之蔽,忠臣不用謂之塞,令而不行謂之障,禁而不止謂之逆。蔽塞障逆之君者,不敢杜其門而守其户也,為賢者之不至,令之不行也。
新字:主蔽者,失其令也。故曰:令入而不出謂之蔽,令出而不入謂之壅,令出而不行謂之牽,令入而不至謂之瑕。牽瑕蔽壅之亊君者,非敢杜其門而守其戸也,為令之有所不行也。此其所以然者,由賢人不至,而忠臣不用也。故人主不可以不慎其令。令者,人主之大寳也。一曰:賢人不至謂之蔽,忠臣不用謂之塞,令而不行謂之障,禁而不止謂之逆。蔽塞障逆之君者,不敢杜其門而守其戸也,為賢者之不至,令之不行也。
書き下し
主の蔽わるる者は、其の令を失うなり。故に曰く、令入りて出でざるを之を蔽と謂い、令出でて入らざるを之を壅と謂い、令出でて行われざるを之を牽と謂い、令入りて至らざるを之を瑕と謂うと。牽瑕蔽壅の君に事うる者は、敢えて其の門を杜ぎて其の戶を守るに非ざるなり、令の行われざる所有るが為なり。此れ其の然る所以の者は、賢人至らずして、忠臣用いられざるに由るなり。故に人主は以て其の令を慎まざる可からず。令なる者は、人主の大寶なり。一に曰く、賢人至らざるを之を蔽と謂い、忠臣用いられざるを之を塞と謂い、令して行われざるを之を障と謂い、禁じて止まらざるを之を逆と謂う。蔽塞障逆の君は、敢えて其の門を杜ぎて其の戶を守らざるなり、賢者の至らず、令の行われざるが為なり。
現代語訳
主が目をふさがれるのは、その令を失うからである。だから言う、令が入って出てこないのを蔽といい、令が出て入ってこないのを壅といい、令が出て行われないのを牽といい、令が入って至らないのを瑕という、と。牽・瑕・蔽・壅の君に仕える者は、あえて門をふさいで戸を守っているのではない。令の行われないところがあるからである。そうなる理由は、賢人が来ず、忠臣が用いられないことによる。だから君主は令を慎まないわけにはいかない。令とは君主の大きな宝である。一つにはこうもいう。賢人が来ないのを蔽といい、忠臣が用いられないのを塞といい、令して行われないのを障といい、禁じて止まらないのを逆という。蔽・塞・障・逆の君は、門をふさいで戸を守っているのではない。賢者が来ず、令が行われないからである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』明法解明主の道は、卑賤も尊貴を待たずして見え、大臣も左右に因らずして進み、百官條ごとに通じ、羣臣顯かに見わる。罰有る者は、主其の罪を見る。賞有る者は、主其の功を知る。見知悖らず、賞罰差わず、蔽われざるの術有り、故に壅遏の患い無し。亂主は則ち然らず、法令民に至るを得ず、疏逺は鬲閉せられて聞くを得ず。此くの如き者は、壅遏の道なり。故に明法に曰く、「令出でて留まる、之を壅と謂う」と。人臣の乘じて姦を為す所以の者は、主を擅にすればなり。臣に主を擅にする者有れば、則ち主令行わるるを得ずして、下情上に通ぜず。人臣の力、能く君臣の間を鬲てて、美惡の情をして聞こえざらしめ、禍福の事をして通徹せざらしむれば、人主迷惑して悟るに從う無し。此くの如き者は、塞主の道なり。故に明法に曰く、「下情上に通ぜざる、之を塞と謂う」と。
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『管子』明法解明主なる者は、兼ね聽きて獨り斷じ、其の門戸を多くす。羣臣の道、下は上を明らかにするを得、賤は貴に言うを得、故に姦人敢えて欺かず。亂主は則ち然らず、聽くに術數無く、事を斷ずるに㕘伍を以てせず、故に無能の士上に通じ、邪枉の臣國を專らにし、主の明蔽われて聰塞がり、忠臣の謀諫せんと欲する者進むを得ず。此くの如き者は、侵主の道なり。故に明法に曰く、「下情上りて道止まる、之を侵と謂う」と。人主の國を治むるや、法令有り賞罰具わらざるは莫し。故に其の法令明らかにして、賞罰の立つる所の者當たれば、則ち主尊顯にして姦生ぜず。其の法令逆らいて、賞罰の立つる所の者當たらざれば、則ち羣臣私を立てて之を壅塞し、朋黨して之を劫殺す。故に明法に曰く、「滅塞侵壅の生ずる所は、法の立たざるに從うなり」と。
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『管子』明法所謂國を治むるとは、主道の明らかなるなり。所謂國を亂すとは、臣術の勝つなり。夫れ君を尊び臣を卑しむは、親を計るに非ざるなり、埶を以て勝つなり。百官の識るは、惠に非ざるなり、刑罰必なればなり。故に君臣道を共にすれば則ち亂れ、專ら授くれば則ち失う。夫れ國に四亡有り。令求めて出でざる、之を滅と謂う。出でて道に留まる、之を擁と謂う。下情求めて上に通ぜざる、之を塞と謂う。下情上りて道に止まる、之を侵と謂う。故に夫の滅侵塞擁の生ずる所は、法の立たざるに從うなり。是の故に先王の國を治むるや、意を法の外に淫にせず、惠を法の内に為さざるなり。動きて法に非ざる者無きは、過ちを禁じて私を外にする所以なり。
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『管子』法法法を法とせざれば則ち事に常毋く、法法ならざれば則ち令行われず。令して行われざれば、則ち令法ならざるなり。法にして行われざれば、則ち令を修むる者審らかならざるなり。審らかにして行われざれば、則ち賞罰輕きなり。重くして行われざれば、則ち賞罰信ならざるなり。信にして行われざれば、則ち身を以て之に先んぜざるなり。故に曰く、禁の身に勝てば、則ち令民に行わると。賢を聞きて舉げざるは、殆うし。善を聞きて索めざるは、殆うし。能を見て使わざるは、殆うし。人に親しみて固からざるは、殆うし。謀を同じくして離るるは、殆うし。人を危うくして能わざるは、殆うし。人を廢して復た起こすは、殆うし。可にして為さざるは、殆うし。足りて施さざるは、殆うし。幾にして密ならざるは、殆うし。人主周密ならざれば、則ち正言直行の士危うし。正言直行の士危うければ、則ち人主孤にして内毋し。人主孤にして内毋ければ、則ち人臣黨して羣を成す。人主をして孤にして内毋からしめ、人臣をして黨して羣を成さしむる者は、此れ人臣の罪に非ざるなり、人主の過ちなり。
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『管子』七法故に曰く、常令審らかならざれば、則ち百匿勝つ。官爵審らかならざれば、則ち姦吏勝つ。符籍審らかならざれば、則ち姦民勝つ。刑法審らかならざれば、則ち盜賊勝つ。國の四經敗るれば、人君泄れて危うきを見る。人君泄るれば、則ち實を言うの士進まず。實を言うの士進まざれば、則ち國の情偽上に竭くされず。世主の貴ぶ所の者は實なり、親しむ所の者は戚なり、愛する所の者は民なり、重んずる所の者は爵禄なり。亡君は則ち然らず、貴ぶ所を致すも實に非ざるなり、親しむ所を致すも戚に非ざるなり、愛する所を致すも民に非ざるなり、重んずる所を致すも爵禄に非ざるなり。故に重寳の為に其の命を虧かず、故に曰く、令は寳より貴しと。愛親の為に其の社稷を危うくせず、故に曰く、社稷は親より戚しと。愛人の為に其の法を枉げず、故に曰く、法は人より愛しと。重禄爵の為に其の威を分かたず、故に曰く、威は爵禄より重しと。此の四者に通ぜざれば、則ち無有に反る。
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『管子』任法故に貴も威す能わず、富も祿す能わず、賤も事う能わず、近も親しむ能わず、美も淫する能わざるなり。植固くして動かざれば、竒邪乃ち恐れ、竒革まりて邪化し、令往きて民移る。故に聖君は度量を失せしめ、儀法を置くこと、天地の堅きが如く、列星の固きが如く、日月の明らかなるが如く、四時の信なるが如し。然る故に令往きて民之に從う。而して失君は則ち然らず、法立ちて還た之を廢し、令出でて後に之に反し、法を枉げて私に從い、令を毁ちて全からず。是れ貴は能く之を威し、富は能く之に祿し、賤は能く之に事え、近は能く之に親しみ、美は能く之を淫するなり。此の五つの者身に禁ぜざれば、是を以て羣臣百姓は人ごとに其の私を挾みて其の主に幸う。彼幸いにして之を得れば、則ち主は日に侵さる。彼幸いにして得ざれば、則ち怨み日に產まる。夫れ日に侵されて怨みを產むは、此れ失君の慎む所なり。