管子 / 八觀
入州里,觀習俗,聴民之所以化其上,而治亂之國可知也。州里不鬲,閭閈不設,出入毋時,早晏不禁,則攘奪、竊盜、攻擊、殘賊之民毋自勝矣。食谷水,巷鑿井,場圃接,樹木茂,宫牆毁壊門户不閉,外内交通,則男女之别毋自正矣。鄉毋長游,里毋士舍,時無㑹同,喪蒸不聚,禁罰不嚴,則齒長輯睦毋自生矣。故昏禮不謹則民不修廉,論賢不鄉舉則士不及行,貨財行於國則法令毁於官,請謁得於上則黨與成於下。鄉官毋法制,百姓羣徒不從,此亡國弑君之所自生也。故曰:入州里,觀習俗,聴民之所以化其上者,而治亂之國可知也。
新字:入州里,観習俗,聴民之所以化其上,而治乱之国可知也。州里不鬲,閭閈不設,出入毋時,早晏不禁,則攘奪、竊盗、攻擊、残賊之民毋自勝矣。食谷水,巷鑿井,場圃接,樹木茂,宫牆毁壊門戸不閉,外内交通,則男女之別毋自正矣。鄉毋長游,里毋士舎,時無会同,喪蒸不聚,禁罰不厳,則齒長輯睦毋自生矣。故昏礼不謹則民不修廉,論賢不鄉舉則士不及行,貨財行於国則法令毁於官,請謁得於上則党与成於下。鄉官毋法制,百姓羣徒不従,此亡国弑君之所自生也。故曰:入州里,観習俗,聴民之所以化其上者,而治乱之国可知也。
書き下し
州里に入り、習俗を觀、民の其の上を化する所以を聽けば、治亂の國知る可きなり。州里鬲てられず、閭閈設けられず、出入時無く、早晏禁ぜざれば、則ち攘奪・竊盜・攻擊・殘賊の民自ら勝つこと毋し。谷水を食らい、巷に井を鑿ち、場圃接し、樹木茂り、宮牆毀れ壞れ門戶閉ざされず、外内交々通ずれば、則ち男女の別自ら正しきこと毋し。鄉に長游毋く、里に士舍毋く、時に會同無く、喪蒸聚まらず、禁罰嚴ならざれば、則ち齒長輯睦自ら生ずること毋し。故に昏禮謹まざれば則ち民廉を修めず、賢を論じて鄉より舉げざれば則ち士行いに及ばず、貨財國に行わるれば則ち法令官に毀れ、請謁上に得らるれば則ち黨與下に成る。鄉官に法制毋く、百姓羣徒從わざるは、此れ亡國弑君の自ら生ずる所なり。故に曰く、州里に入り、習俗を觀、民の其の上を化する所以を聽けば、治亂の國知る可きなりと。
現代語訳
州や里に入り、習わしを見て、民が上に感化されているそのありようを聞けば、治まっている国か乱れている国かがわかる。州や里が仕切られず、門が設けられず、出入りに時刻がなく、朝晩の禁もなければ、奪う者、盗む者、襲う者、傷つける者を自分たちで抑えられない。谷の水を飲み、路地に井戸を掘り、畑と畑が接し、樹木が茂り、垣が崩れ門戸が閉ざされず、内外が行き来すれば、男女の別を自分たちで正せない。郷に年長の世話役がなく、里に士の詰め所がなく、時節の集まりがなく、喪や祭りに人が集まらず、禁と罰が厳かでなければ、年長者を敬い睦み合うことが自分たちからは生まれない。だから婚礼が慎まれなければ民は廉を修めず、賢者を評するのに郷から挙げなければ士は行いが伴わず、財貨が国に横行すれば法令は役所で崩れ、口利きが上に通れば徒党が下にできる。郷の役所に法制がなく、民や集団が従わない。これが国が亡び君が殺されることの生まれるもとである。だから言う、州や里に入り、習わしを見て、民が上に感化されているそのありようを聞けば、治まっている国か乱れている国かがわかる、と。
解説
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『管子』八觀敵與を計り、上意を量り、國本を察し、民產の餘り有ると足らざるとを觀れば、存亡の國知る可きなり。敵國強くして與國弱く、諫臣死して諛臣尊く、私情行われて公法毀るれば、然らば則ち與國は其の親を恃まず、而して敵國は其の彊を畏れず、豪傑は其の位に安んぜず、而して積勞の人は其の禄を懷わず。商販を悅びて本貨に務めざれば、則ち民偷處して積聚を事とせず。豪傑其の位に安んぜざれば、則ち良臣出づ。積勞の人其の禄を懷わざれば、則ち兵士用いられず。民偷處して積聚を事とせざれば、則ち囷倉空虛なり。是くの如くにして君變を為さざれば、然らば則ち攘奪・竊盜・殘賊・進取の人起こる。内は廷に良臣無く、兵士用いられず、囷倉空虛にして、外に彊敵の憂え有らば、則ち國は居ながらにして自ら毀るるなり。故に曰く、敵與を計り、上意を量り、國本を察し、民產の餘り有ると足らざるとを觀れば、存亡の國知る可きなりと。故に此の八つの者を以て人主の國を觀れば、而して人主は其の情を匿す所無し。
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『管子』八觀國邑に入り、宮室を視、車馬衣服を觀れば、侈儉の國知る可きなり。夫れ國城大にして田野淺狹なる者は、其の野以て其の民を養うに足らず。城域大にして人民寡なき者は、其の民以て其の城を守るに足らず。宮營大にして室屋寡なき者は、其の室以て其の宮を實たすに足らず。室屋衆くして人徒寡なき者は、其の人以て其の室に處るに足らず。囷倉寡なくして臺榭繁き者は、其の藏以て其の費を共するに足らず。故に曰く、主上に積無くして宮室美しく、氓家に積無くして衣服脩まり、車に乘る者は觀望を飾り、步行する者は文采を雜う、本資少なくして末用多き者は、侈國の俗なりと。國侈なれば則ち用費え、用費ゆれば則ち民貧しく、民貧しければ則ち姦智生じ、姦智生ずれば則ち邪巧作る。故に姦邪の生ずる所は、匱不足に生ず。匱不足の生ずる所は、侈に生ず。侈の生ずる所は、度無きに生ず。故に曰く、度量を審らかにし、衣服を節し、財用を儉にし、侈泰を禁ずるは、國を為むるの急なりと。若計に通ぜざる者は、國を用いしむ可からず。故に曰く、國邑に入り、宮室を視、車馬衣服を觀れば、侈儉の國知る可きなりと。
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『管子』八觀法を置き令を出だし、衆に臨み民を用うるに、其の威嚴寛惠を計れば、其の民に行わるると其の民に行われざるとは知る可きなり。法虛しく立ちて疏遠を害し、令一たび布かれて聽かざる者存し、爵禄を賤しみて功無き者富まば、然らば則ち衆必ず令を輕んじて上位危うし。故に曰く、良田戰士に在らざれば、三年にして兵弱し。賞罰信ならざれば、五年にして破る。上官爵を賣らば、十年にして亡ぶ。人倫に倍きて禽獸の行あらば、十年にして滅ぶと。戰いて勝たざるは、弱きなり。地四たび削られ、諸侯に入るは、破るるなり。本國を離れ、都邑を徙すは、亡ぶるなり。有つ者異姓なるは、滅ぶるなり。故に曰く、法を置き令を出だし、衆に臨み民を用うるに、威嚴寛惠を計れば、而して其の民に行わるると其の民に行われざるとは知る可きなりと。
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『管子』八觀朝廷に入り、左右を觀、朝の臣を本求し、上下の貴賤する所を論ずれば、強弱の國知る可きなり。功多きを上と為し、禄賞を下と為さば、則ち積勞の臣力を盡くすに務めず。治行を上と為し、爵列を下と為さば、則ち豪傑材臣能を竭くすに務めず。便辟左右功能を論ぜずして爵禄有らば、則ち百姓疾み怨みて上を非り、爵を賤しみ禄を輕んず。金玉貨財、商賈の人志行を論ぜずして爵禄有らば、則ち上令輕く、法制毀る。權重の人才能を論ぜずして尊位を得れば、則ち民は本行に倍きて外勢を求む。彼の積勞の人力を盡くすに務めざれば、則ち兵士戰わず。豪傑材人能を竭くすに務めざれば、則ち内治別たれず。百姓疾み怨みて上を非り、爵を賤しみ禄を輕んずれば、則ち上以て衆を勸むる無し。上令輕く、法制毀るれば、則ち君以て臣を使う無く、臣以て君に事うる無し。民本行に倍きて外勢を求むれば、則ち國の情偽竭く敵國に在り。故に曰く、朝廷に入り、左右を觀、朝の臣を本求し、上下の貴賤する所を論ずれば、彊弱の國知る可きなりと。
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『管子』八觀大城は以て完からざる可からず、郭周は以て外に通ずる可からず、里域は以て横に通ずる可からず、閭閈は以て闔無かる可からず、宮垣關閉は以て修めざる可からず。故に大城完からざれば、則ち亂賊の人謀る。郭周外に通ずれば、則ち姦遁踰越する者作る。里域横に通ずれば、則ち攘奪竊盜する者止まず。閭閈に闔無く、外内交々通ずれば、則ち男女別無し。宮垣備わらず、關閉固からざれば、良貨有りと雖も、守る能わざるなり。故に形勢非を為すを得ざれば、則ち姦邪の人も慤愿なり。禁罰威嚴なれば、則ち簡慢の人も整齊なり。憲令著明なれば、則ち蠻夷の人も敢えて犯さず。賞慶信必なれば、則ち功有る者勸む。教訓習俗する者衆ければ、則ち君民化變して自ら知らざるなり。是の故に明君上位に在れば、刑省かれ罰寡なし、刑す可くして刑せざるに非ず、罪す可くして罪せざるに非ざるなり。明君なる者は其の門を閉ざし、其の塗を塞ぎ、其の迹を弇い、民をして淫非の地に接するに由る無からしむ。是を以て民の道正しく善を行うこと性の若く然り、故に罪罰寡なくして民以て治まる。
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