管子 / 樞言
國有寳,有器,有用。城郭、險阻、蓄藏,寳也。聖智,器也。珠玉,末用也。先王重其寳器而輕其末用,故能為天下。生而不死者二,立而不立者四。喜也者,怒也者,欲也者,惡也者,天下之敗也,而賢者寳之。為善者,非善也,故善無以為也,故先王貴善。王主積于民,霸主積于將戰士,衰主積于貴人,亡主積于婦女珠玉,故先王慎其所積。疾之疾之,萬物之師也。為之為之,萬物之時也。强之強之,萬物之指也。
新字:国有寳,有器,有用。城郭、険阻、蓄蔵,寳也。聖智,器也。珠玉,末用也。先王重其寳器而軽其末用,故能為天下。生而不死者二,立而不立者四。喜也者,怒也者,欲也者,悪也者,天下之敗也,而賢者寳之。為善者,非善也,故善無以為也,故先王貴善。王主積于民,覇主積于将戦士,衰主積于貴人,亡主積于婦女珠玉,故先王慎其所積。疾之疾之,万物之師也。為之為之,万物之時也。强之強之,万物之指也。
書き下し
國に寶有り、器有り、用有り。城郭・險阻・蓄藏は、寶なり。聖智は、器なり。珠玉は、末用なり。先王は其の寶器を重んじて其の末用を輕んず、故に能く天下を為む。生きて死せざる者二つ、立ちて立たざる者四つ。喜なる者、怒なる者、欲なる者、惡なる者は、天下の敗るる所なり、而して賢者は之を寶とす。善を為す者は、善に非ざるなり、故に善は以て為す無きなり、故に先王は善を貴ぶ。王主は民に積み、霸主は將戰士に積み、衰主は貴人に積み、亡主は婦女珠玉に積む、故に先王は其の積む所を慎む。之を疾くし之を疾くするは、萬物の師なり。之を為し之を為すは、萬物の時なり。之を強くし之を強くするは、萬物の指なり。
現代語訳
国には宝があり、器があり、用がある。城壁と険しい地と蓄えは宝である。聖なる知恵は器である。珠玉は末の用である。先王は宝と器を重んじて末の用を軽んじた。だから天下を治められた。生きて死なないものが二つ、立って立たないものが四つある。喜び、怒り、欲、憎しみ。これらは天下を敗るものだが、賢者はこれを宝とする。善をしようとするのは善ではない。だから善はしようとしてするものではない。だから先王は善を貴んだ。王たる主は民に積み、覇たる主は将と戦士に積み、衰える主は貴人に積み、亡ぶ主は女と珠玉に積む。だから先王は自分が何に積むかを慎んだ。速くする、速くする。これが万物の師である。行う、行う。これが万物の時である。強くする、強くする。これが万物の指す先である。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』霸言夫れ明王の輕んずる所の者は馬と玉となり、其の重んずる所の者は政と軍となり。失主の若きは然らず、輕がるしく人に政を與え、而して重んじて人に馬を予う。輕がるしく人に軍を予え、而して重んじて人に玉を與う。宮門の營を重んじて、四竟の守を輕んず、削らるる所以なり。夫れ權なる者は、神聖の資る所なり。獨り明らかなるは、天下の利器なり。獨り斷ずるは、微密の營壘なり。此の三つの者は、聖人の則る所なり。聖人は微を畏れて、愚人は明を畏る。聖人の憎惡するや内、愚人の憎惡するや外。聖人は將に動かんとして必ず知り、愚人は危うきに至りて辭を易う。聖人は能く時を輔く、時に違う能わず、知者は善く謀るも、時に當たるに如かず。時に精しき者は、日少なくして功多し。夫れ謀に主無ければ則ち困しみ、事に備え無ければ則ち廢る。是を以て聖王は務めて其の備えを具え、慎んで其の時を守り、備えを以て時を待ち、時を以て事を興し、時至りて兵を舉げ、堅を絕ちて國を攻め、大を破りて地を制す。本を大にして標を小にし、近きに埊りて遠きを攻む。大を以て小を牽き、彊を以て弱を使い、衆を以て寡を致す。德百姓を利し、威天下に振るい、令諸侯に行われて拂わず。近きは服せざる無く、遠きは聽かざる無し。
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『管子』樞言凡そ國の亡ぶるや、其の長ずる者を以てなり。人の自ら失うや、其の長ずる所の者を以てなり。故に善く游ぐ者は梁池に死し、善く射る者は中野に死す。命は食に屬し、治は事に屬す、善事無くして善治有る者は、古より今に及ぶまで未だ嘗て之れ有らざるなり。衆は寡に勝ち、疾きは徐きに勝ち、勇は怯に勝ち、智は愚に勝ち、善は惡に勝ち、義有るは義無きに勝ち、天道有るは天道無きに勝つ。凡そ此の七勝なる者は衆きを貴ぶ、之を用うること終身なる者衆し。人主の佚欲を好み、其の身を亡ぼし、其の國を失う者は、殆うし。其の德以て其の民を懷くるに足らざる者は、殆うし。其の刑を明らかにして其の士を賤しむ者は、殆うし。諸侯之に威を假し、久しくして極まるを知らざる者は、殆うし。身彌々老いて、其の適子を敬うを知らざる者は、殆うし。蓄藏積陳ねて朽腐し、以て人に與えざる者は、殆うし。凡そ人の名は三つ。治むる有る者、恥ずる有る者、事有る者なり。事の名は二つ。之を正し、之を察す。五つの者にして天下治まる。名正しければ則ち治まり、名倚れば則ち亂れ、名無ければ則ち死す、故に先王は名を貴ぶ。
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『管子』樞言管子曰く、道の天に在る者は、日なり。其の人に在る者は、心なり。故に曰く、氣有れば則ち生き、氣無ければ則ち死す、生くる者は其の氣を以てす。名有れば則ち治まり、名無ければ則ち亂る、治まる者は其の名を以てす。樞言に曰く、「之を愛し、之を利し、之を益し、之を安んず」と。四つの者は道の出づる所、帝王たる者之を用いて天下治まる。帝王たる者は先んずる所後にする所を審らかにす、民と地とを先にすれば則ち得たり、貴と驕とを先にすれば則ち失う。是の故に先王は貴を慎むこと先後する所に在り。人主は以て貴を慎まざる可からず、以て民を慎まざる可からず、以て富を慎まざる可からず。貴を慎むは賢を舉ぐるに在り、民を慎むは官を置くに在り、富を慎むは地に務むるに在り。故に人主の卑尊輕重は、此の三つの者に在り、慎まざる可からず。
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『管子』霸言夫れ明王の天下の為に理を正すや、彊きを按じ弱きを助け、暴を圉ぎ貪を止め、亡を存し危を定め、絕世を繼ぐ。此れ天下の載する所なり、諸侯の與する所なり、百姓の利とする所なり。是の故に天下之に王たらしむ。知は天下を蓋い、繼ぐこと最も一世、材は四海に振るう、王の佐なり。千乘の國其の守を得ば、諸侯は得て臣とす可く、天下は得て有つ可きなり。萬乘の國其の守を失えば、國は其の國に非ざるなり。天下皆理まりて、己獨り亂るれば、國は其の國に非ざるなり。諸侯皆令せられて、己獨り孤なれば、國は其の國に非ざるなり。鄰國皆險にして、己獨り易ければ、國は其の國に非ざるなり。此の三つの者は、亡國の徴なり。
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荀子・王制篇権謀傾覆の人退けば、則ち賢良知聖の士は案じて自ら進まん。刑政平らかに、百姓和し、国俗節あれば、則ち兵勁く城固く、敵国は案じて自ら詘せん。本事を務め、財物を積みて、棲遅薛越するを忘るる勿くんば、是れ群臣百姓をして皆な制度を以て行わしむれば、則ち財物積み、国家は案じて自ら富まん。三つの者此に体すれば天下服し、暴国の君は案じて自ら其の兵を用うる能わず。何となれば則ち、彼れ与に至る無ければなり。彼の其の与に至る所の者は、必ず其の民なり。其の民の我に親しむや、歓ぶこと父母の若く、我を好むこと芳しきこと芝蘭の如し。反りて其の上を顧みれば則ち灼黥の若く、仇讎の若し。彼の人の情性たるや桀跖と雖も、豈に肯えて其の悪む所の為にして、其の好む所を賊すること有らんや。彼れ以て奪われたり。故に古の人、一国を以て天下を取る者有るは、往きて之を行うに非ず、政を其の所に脩めて、願わざる莫し。是くの如くして以て暴を誅し悍を禁ずべし。故に周公南征して北国怨みて曰く、何ぞ独り来たらざるやと。東征して西国怨みて曰く、何ぞ独り我を後にするやと。孰か能く是れと闘う者有らんや。安んじて其の国を以て是れを為す者は王たり。殷んなるの日は、安んじて以て兵を静め民を息わしめ、百姓を慈愛し、田野を辟き、倉廩を実たし、備用を便にし、安んじて謹んで材伎の士を募選閲し、然る後に賞慶を漸くして以て之に先んじ、刑罰を厳にして以て之を防ぎ、士の事を知る者を択び、相い率いて貫かしむ。是を以て厭然として畜積修飾して、物用之れ足るなり。兵革器械なる者は、彼れ将に日日之を中原に暴露毀折せんとす。我将に之を脩飾し、之を拊循し、之を府庫に掩蓋せんとす。貨財粟米なる者は、彼れ将に日日之を中野に棲遅薛越せんとす。我今将に之を倉廩に畜積并聚せんとす。材技股肱健勇爪牙の士は、彼れ将に日日之を仇敵に挫頓竭せんとす。我今将に之を来致し、之を并閲し、之を朝廷に砥礪せんとす。是くの如くんば、則ち彼は日に敝を積み、我は日に完を積み、彼は日に貧を積み、我は日に富を積み、彼は日に労を積み、我は日に佚を積む。君臣上下の間なる者は、彼は将に厲厲焉として日日相い離れ疾まんとし、我は将に頓頓焉として日日相い親愛せんとす。是を以て其の敝を待つ。安んじて其の国を以て是れを為す者は霸たり。身を立つるには則ち傭俗に従い、事行には則ち傭故に遵い、進退貴賤には則ち傭士を挙げ、下の人百姓に接する所以の者は則ち庸寛恵なり。是くの如き者は則ち安存す。身を立つるには則ち軽楛、事行には則ち蠲疑、進退貴賤には則ち佞侻を挙げ、下の人百姓に接する所以の者は則ち取りて侵奪するを好む。是くの如き者は危殆なり。身を立つるには則ち憍暴、事行には則ち傾覆、進退貴賤には則ち幽険詐故を挙げ、下の人百姓に接する所以の者は、則ち其の死力を用うるを好みて、其の功労を慢り、其の籍斂を用うるを好みて、其の本務を忘る。是くの如き者は滅亡す。此の五等なる者は、善く択ばざるべからず、王、霸、安存、危殆、滅亡の具なり。善く択ぶ者は人を制し、善く択ばざる者は人之を制す。善く之を択ぶ者は王たり、善く之を択ばざる者は亡ぶ。夫れ王者の亡者と、人を制するの人に制せらるるとは、是れ其の相い県たること亦た遠し。
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『管子』霸言夫れ神聖は天下の形を視て、動静の時を知り、先後の稱を視て、禍福の門を知る。彊國衆ければ、先に舉ぐる者は危うく、後に舉ぐる者は利あり。彊國少なければ、先に舉ぐる者は王たり、後に舉ぐる者は亡ぶ。戰國衆ければ、後に舉ぐるも以て霸たる可し。戰國少なければ、先に舉ぐるも以て王たる可し。夫れ王者の心は方にして、列を最めず、賢賢に讓らず、弟を齒せず衆を擇ぶ、是れ大物を貪るなり。是を以て王の形は大なり。夫れ先王の天下を爭うや方心を以てし、其の之を立つるや整齊を以てし、其の之を理むるや平易を以てす。政を立て令を出だすには人道を用い、爵祿を施すには地道を用い、大事を舉ぐるには天道を用う。是の故に先王の伐つや、逆を伐ちて順を伐たず、險を伐ちて易を伐たず、過を伐ちて及を伐たず。四封の内は、正を以て之を使う。諸侯の會は、權を以て之を致す。近くして服せざる者は、地を以て之を患わす。遠くして聽かざる者は、刑を以て之を危うくす。一にして之を伐つは、武なり。服して之を舍くは、文なり。文武具に滿つるは、德なり。