管子 / 五輔
徳有六興,義有七體,禮有八經,法有五務,權有三度。所謂六興者何?曰:辟田疇,利壇宅,修樹蓺,勸士民,勉稼穡,修墻屋,此謂厚其生。發伏利,輸墆積,修道途,便闗事慎將宿,此謂輸之以財。導水潦,利陂溝,決潘渚,潰泥滯,通鬱閉,慎津梁,此謂遺之以利。薄徵斂,輕征賦,弛刑罰,赦罪戾,宥小過,此謂寛其政。養長老,慈幼孤,恤鰥寡,問疾病,弔禍䘮,此謂匡其急。衣凍寒,食飢渇匡貧窶,賑罷露,資乏絶,此謂賑其窮。凡此六者,德之興也。六者既布,則民之所欲無不得矣。夫民必得其所欲,然後聽上,聽上然後政可善為也。故曰:德不可不興也。
新字:徳有六興,義有七体,礼有八経,法有五務,権有三度。所謂六興者何?曰:辟田疇,利壇宅,修樹蓺,勧士民,勉稼穡,修墻屋,此謂厚其生。発伏利,輸墆積,修道途,便関事慎将宿,此謂輸之以財。導水潦,利陂溝,決潘渚,潰泥滞,通鬱閉,慎津梁,此謂遺之以利。薄徴斂,軽征賦,弛刑罰,赦罪戻,宥小過,此謂寛其政。養長老,慈幼孤,恤鰥寡,問疾病,弔禍喪,此謂匡其急。衣凍寒,食飢渇匡貧窶,賑罷露,資乏絶,此謂賑其窮。凡此六者,徳之興也。六者既布,則民之所欲無不得矣。夫民必得其所欲,然後聴上,聴上然後政可善為也。故曰:徳不可不興也。
書き下し
德に六興有り、義に七體有り、禮に八經有り、法に五務有り、權に三度有り。所謂六興とは何ぞや。曰く、田疇を辟き、壇宅を利し、樹蓺を修め、士民を勸め、稼穡に勉め、墻屋を修む、此れ其の生を厚くすと謂う。伏利を發き、墆積を輸し、道途を修め、關事を便にし將宿を慎む、此れ之に輸すに財を以てすと謂う。水潦を導き、陂溝を利し、潘渚を決し、泥滯を潰し、鬱閉を通じ、津梁を慎む、此れ之に遺るに利を以てすと謂う。徵斂を薄くし、征賦を輕くし、刑罰を弛め、罪戾を赦し、小過を宥す、此れ其の政を寛くすと謂う。長老を養い、幼孤を慈しみ、鰥寡を恤み、疾病を問い、禍喪を弔う、此れ其の急を匡すと謂う。凍寒を衣せ、飢渇を食ませ、貧窶を匡し、罷露を賑わし、乏絶に資す、此れ其の窮を賑わすと謂う。凡そ此の六つの者は、德の興るなり。六つの者既に布かれば、則ち民の欲する所得ざる無し。夫れ民必ず其の欲する所を得て、然る後に上を聽く。上を聽きて然る後に政善く為す可きなり。故に曰く、德は興さざる可からざるなり。
現代語訳
徳には六つの興しがあり、義には七つの体があり、礼には八つの経があり、法には五つの務めがあり、権には三つの度がある。六つの興しとは何か。田を開き、宅地を整え、植え付けを手入れし、士民を励まし、耕作と収穫に努め、垣と屋根を直す。これを暮らしを厚くするという。埋もれた利を掘り起こし、滞った蓄えを動かし、道を直し、関所の手続きを楽にし、宿場を慎む。これを財によって送るという。水を導き、堤と溝を整え、よどみを切り、泥のつまりを崩し、ふさがりを通し、渡し場と橋を慎む。これを利によって贈るという。取り立てを薄くし、賦を軽くし、刑罰をゆるめ、罪を赦し、小さな過ちを見のがす。これを政をゆるやかにするという。老人を養い、みなしごを慈しみ、身寄りのない者をあわれみ、病を見舞い、喪を弔う。これを急を救うという。凍える者に衣を着せ、飢え渇く者に食べさせ、貧しい者を助け、疲れ果てた者を賑わし、尽きた者に資を与える。これを窮を賑わすという。この六つが、徳の興しである。六つが行き渡れば、民の望むもので得られないものはない。民は必ず望むものを得て、そのうえで上の言うことを聞く。上の言うことを聞いて、はじめて政をうまく行える。だから言う、徳は興さないわけにいかない。
解説
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