管子 / 乘馬
市者,貨之凖也。是故百貨賤則百利不得,百利不得則百事治,百事治則百用節矣。是故事者生於慮,成於務,失於傲。不慮則不生,不務則不成,不傲則不失。故曰:市者可以知治亂,可以知多寡,而不能為多寡。為之有道。
新字:市者,貨之凖也。是故百貨賤則百利不得,百利不得則百事治,百事治則百用節矣。是故事者生於慮,成於務,失於傲。不慮則不生,不務則不成,不傲則不失。故曰:市者可以知治乱,可以知多寡,而不能為多寡。為之有道。
書き下し
市なる者は、貨の準なり。是の故に百貨賤ければ則ち百利得られず、百利得られざれば則ち百事治まり、百事治まれば則ち百用節あり。是の故に事なる者は慮に生じ、務に成り、傲に失す。慮らざれば則ち生ぜず、務めざれば則ち成らず、傲らざれば則ち失わず。故に曰く、市は以て治亂を知る可く、以て多寡を知る可し、而して多寡を為す能わずと。之を為すに道有り。
現代語訳
市場は財貨のものさしである。だから物の値が安ければ暴利は得られず、暴利が得られなければ多くの事が治まり、事が治まれば入り用に節度が生まれる。だから事というものは、思案から生まれ、務めることで成り、おごりによって失われる。思案しなければ生まれず、務めなければ成らず、おごらなければ失わない。だから言う、市場によって治乱を知ることができ、多寡を知ることができる。しかし市場が多寡を作るのではない、と。行うのに道がある。
解説
市場を、動かす対象ではなく読む対象として扱った段です。締めの一句がはっきりしています。市は以て治亂を知る可く、以て多寡を知る可し、而して多寡を為す能わず。値段は結果として現れる目盛りであって、そこをいじっても中身は変わらない、と。あいだに挟まれた三句も覚えやすい。事は思案から生まれ、務めによって成り、おごりによって失われる。
この章句が説くこと
市なる者は貨の準なり百貨賤ければ則ち百利得られず事なる者は慮に生じ務に成り傲に失す市は以て治乱を知る可く而して多寡を為す能わず市場指標
関連する章句
-
孫子・虚実篇夫れ兵の形は水に象る。水の行くは高きを避けて下きに趨く。兵の勝つは実を避けて虚を撃つ。
-
孔子家語・相魯初め、魯の羊を販ぐ者に沈猶氏なる者有り、常に朝に其の羊に飲ませて以て詐る。市人に公慎氏なる者有り、妻淫にして制せず。慎潰氏有り、奢侈にして法を踰ゆ。魯の六畜を鬻ぐ者、之を飾るに儲価を以てす。孔子の政を為すに及びて、則ち沈猶氏敢えて朝に其の羊に飲ませず。公慎氏其の妻を出だす。慎潰氏境を越えて徙る。三月にして、則ち牛馬を鬻ぐ者価を儲えず、羊豚を売る者飾りを加えず。男女行く者、其の塗を別にし、道に遺を拾わず。男は忠信を尚び、女は貞順を尚ぶ。四方の客邑に至る者、有司に求めずして、皆帰るが如し。
-
孫子・九地篇我以て往く可く、彼以て来たる可き者を、交地と為す。
-
『管子』乘馬地なる者は、政の本なり。朝なる者は、義の理なり。市なる者は、貨の準なり。黄金なる者は、用の量なり。諸侯の地、千乘の國なる者は、器の制なり。五つの者、其の理知る可きなり、之を為すに道有り。
-
『管子』乘馬方六里、之を命じて暴と曰い、五暴、之を命じて部と曰い、五部、之を命じて聚と曰う。聚には市有り、市無ければ則ち民乏し。五聚、之を命じて某鄉と曰い、四鄉、之を命じて方と曰う、官制なり。官成りて邑を立つ。五家にして伍、十家にして連、五連にして暴、五暴にして長、之を命じて某鄉と曰い、四鄉、之を命じて都と曰う、邑制なり。邑成りて事を制す。四聚を一離と為し、五離を一制と為し、五制を一田と為し、二田を一夫と為し、三夫を一家と為す、事制なり。事成りて器を制す。方六里を一乘の地と為すなり。一乘なる者は、四馬なり。一馬は、其の甲七、其の蔽五。四乘は、其の甲二十有八、其の蔽二十、白徒三十人車兩を奉ず、器制なり。
-
『管子』乘馬黄金なる者は、用の量なり。黄金の理を辨ずれば則ち侈儉を知り、侈儉を知れば則ち百用節あり。故に儉なれば則ち事を傷り、侈なれば則ち貨を傷る。儉なれば則ち金賤し、金賤ければ則ち事成らず、故に事を傷る。侈なれば則ち金貴し、金貴ければ則ち貨賤し、故に貨を傷る。貨盡きて而る後に足らざるを知るは、是れ量を知らざるなり。事已みて而る後に貨の餘り有るを知るは、是れ節を知らざるなり。量を知らず、節を知らざるは、之を道有りと謂う可からず。