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韓非子 / 二柄第七

人臣之情非必能愛其君也,爲重利之故也。今人主不掩其情,不匿其端,而使人臣有緣以侵其主,則羣臣爲子之、田常不難矣。

新字:人臣之情非必能愛其君也,為重利之故也。今人主不掩其情,不匿其端,而使人臣有縁以侵其主,則羣臣為子之、田常不難矣。

書き下し

人臣の情は必ずしも能く其の君を愛するに非ざるなり、利を重んずるが為の故なり。今人主其の情を掩はず、其の端を匿さずして、人臣をして以て其の主を侵すに縁有らしむれば、則ち群臣子之・田常と為ること難からず。

現代語訳

臣下の本心は必ずしも君主を愛しているわけではなく、利益を重んじているからこそ仕えているのである。いま君主が自分の本心を覆わず、意図の糸口を隠さず、臣下に君主を侵す手がかりを与えれば、臣下たちが子之や田常のようになるのは難しいことではない。

解説

二柄篇の結びで、臣下が君主に仕えるのは愛情からではなく利益のためだ、と韓非の人間観をはっきり示す句です。だから君主が本心や好みを見せて取り入る手がかりを与えれば、臣下はそれを使って君主を侵し、子之や田常のような簒奪者になると警告します。人を善意ではなく利害で動く存在として見る冷徹さは、韓非子全体に通じる特色です。現代の組織に当てはめれば、部下の忠誠を前提にするのではなく、利害が一致する仕組みを作るべきだということになります。人を疑えというより、善意に頼らなくても正しく回る仕組みを設計せよ、という教えとして読むと実用的です。

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