格言聯璧 / 悖凶類・利に死する者は何ぞ連城を須ゐん
炎涼之態,富貴甚於貧賤。嫉妒之心,骨肉甚於外人。 兄弟爭財,父遺不盡不止。 妻妾爭寵,夫命不死不休。 受連城而代死,貪者不為,然死利者何須連城?
新字:炎涼之態,富貴甚於貧賤。嫉妬之心,骨肉甚於外人。 兄弟争財,父遺不尽不止。 妻妾争寵,夫命不死不休。 受連城而代死,貪者不為,然死利者何須連城?
書き下し
炎涼の態は、富貴は貧賤より甚だし。嫉妒の心は、骨肉は外人より甚だし。 兄弟財を爭へば、父の遺り盡きずんば止まず。 妻妾寵を爭へば、夫の命死せずんば休まず。 連城を受けて死に代はるは、貪る者も為さず、然れども利に死する者は何ぞ連城を須ゐん。
現代語訳
相手の勢いしだいで熱くしたり冷たくしたりする態度は、富貴な者のほうが貧賤な者よりひどいものです。ねたみの心は、肉親のほうが他人よりひどいものです。 兄弟が財産を争えば、父の遺産がなくなるまでやめません。 妻や妾が寵愛を争えば、夫が死ぬまでやみません。 連城の璧(いくつもの城と引き換えにされかけた宝玉)を受け取る代わりに死ねと言われれば、欲深い者でもそうはしません。しかし、利のために死ぬ者に、どうして連城の璧ほどのものが要るでしょうか(わずかな利で命を落としているのです)。
解説
最初の対句は、人情の冷たさや嫉妬が、かえって恵まれた者や身近な者の間でひどくなるという苦い観察です。炎涼は、勢いのある者には熱く、ない者には冷たくする世の態度のことです。次の対句は、兄弟の財争いと妻妾の寵争いが、遺産が尽き夫が死ぬまでやまないと、家の中の争いの行き着く先を示します。最後の句は次の単位の傾国の句と対になります。連城の璧は、戦国時代に秦が十五の城と交換しようとした和氏の璧の故事です。どれほどの宝でも命と引き換えにする者はいないのに、実際にはわずかな利のために身を滅ぼす人がいると説きます。損得に熱くなっているとき、それが本当に命や家族と引き換えにする値打ちがあるのかと問い直させる句です。
この章句が説くこと
貪欲骨肉嫉妬処世戒め
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