格言聯璧 / 悖凶類・公己公人の心は吳越も一家
充一個公己公人心,便是吳越一家。 任一個自私自利心,便是父子仇讎。 理以心為用,心死於欲則理滅,如根株斬而本亦壞也。 心以理為本,理被欲害則心亡,如水泉竭而河亦乾也。
新字:充一個公己公人心,便是呉越一家。 任一個自私自利心,便是父子仇讎。 理以心為用,心死於欲則理滅,如根株斬而本亦壊也。 心以理為本,理被欲害則心亡,如水泉竭而河亦乾也。
書き下し
一個の己を公にし人を公にするの心を充たせば、便ち是れ吳越も一家なり。 一個の自ら私し自ら利するの心に任すれば、便ち是れ父子も仇讎なり。 理は心を以て用と為す、心欲に死すれば則ち理滅ぶ、根株斬られて本も亦た壞るるが如きなり。 心は理を以て本と為す、理欲に害せらるれば則ち心亡ぶ、水泉竭きて河も亦た乾るるが如きなり。
現代語訳
自分にも他人にも公平な心を満たしていれば、敵同士の呉と越でさえ一つの家族になります。 自分だけの利を図る心に任せていれば、父と子でさえ仇敵になります。 理は心をはたらきの場とします。心が欲のために死ねば理も滅びます。根や株が切られれば幹もまた傷むようなものです。 心は理を根本とします。理が欲に損なわれれば心も失われます。泉の水が尽きれば川もまた干上がるようなものです。
解説
前半の対句は、公の心と私の心がもたらすものを極端な例で示します。呉越は春秋時代に争い続けた呉と越の二国で、呉越同舟の故事でも知られる敵同士の代表です。公の心があれば敵も一家となり、私の心に任せれば父子さえ仇となると言います。後半の対句は、理と心の関係を体と用の考えで説く宋学風の句です。理は心を通してはたらき、心は理を根本とするので、欲が一方を損なえば他方も滅びます。その様子を、根を切られた木と、水源の尽きた川という自然のたとえで示しています。私欲は一部分を損なうだけでなく全体を枯らしてしまうという警告は、個人の心にも組織の文化にも当てはまります。
この章句が説くこと
公私天理人欲処世修身
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