格言聯璧 / 悖凶類・館を謀ること鼠の如く
謀館如鼠,得館如虎,鄙主人而薄弟子者,塾師之無恥也。 賣藥如仙,用藥如顛,故福集而慶長。鄙夫胸懷苛刻,事事以苛刻為能,故祿薄而澤短。
新字:謀館如鼠,得館如虎,鄙主人而薄弟子者,塾師之無恥也。 売薬如仙,用薬如顛,故福集而慶長。鄙夫胸懐苛刻,事事以苛刻為能,故禄薄而沢短。
書き下し
館を謀ること鼠の如く、館を得ること虎の如く、主人を鄙しみて弟子を薄んずる者は、塾師の無恥なり。 藥を賣ること仙の如く、藥を用ふること顛の如し、故に福集まりて慶長し。鄙夫は胸懷苛刻にして、事事苛刻を以て能と為す、故に祿薄くして澤短し。
現代語訳
家塾の職を求めるときは鼠のように卑屈で、職を得ると虎のように威張り、雇い主を見下し弟子をおろそかにする者は、塾の教師として恥知らずです。 薬を売るときは仙人のようにもっともらしく、薬を使うときは狂人のようにでたらめです。……だから福が集まり、喜びが長く続くのです。心の狭い者は胸の内が厳しく冷たく、何事も厳しく冷たくすることを有能だと思っています。だから禄は薄く、恵みも長続きしません。
解説
前半は塾の教師と医者という、人に頼られる職業の恥知らずを描いた句です。館は家塾の教師の職のことで、職を求めるときの鼠のような卑屈さと、職を得たあとの虎のような横柄さの落差が鋭く描かれています。医者のほうも、売るときは仙人のように、使うときは狂人のようにと、宣伝と中身の落差を突いています。ただし底本ではこの後に文字が落ちているらしく、医者を戒める句の結びと、鄙夫と対になるはずの句が見当たらず、「故に福集まりて慶長し」が唐突につながっています。後半の鄙夫の句は、苛刻を有能と取り違える者は福も長続きしないと説きます。職を得る前と後とで態度を変えないことは、今も信頼の基本です。
この章句が説くこと
廉恥職業寛容処世信用
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