格言聯璧 / 持躬類・富貴は怨の府なり
富貴,怨之府也。才能,身之災也。 聲名,謗之媒也。歡樂,悲之漸也。 濃於聲色,生虛怯病。濃於貨利,生貪饕病。 濃於功業,生造作病。濃於名譽,生矯激病。
新字:富貴,怨之府也。才能,身之災也。 声名,謗之媒也。歓楽,悲之漸也。 濃於声色,生虚怯病。濃於貨利,生貪饕病。 濃於功業,生造作病。濃於名誉,生矯激病。
書き下し
富貴は、怨みの府なり。才能は、身の災ひなり。 聲名は、謗りの媒なり。歡樂は、悲しみの漸なり。 聲色に濃ければ、虚怯の病を生ず。貨利に濃ければ、貪饕の病を生ず。 功業に濃ければ、造作の病を生ず。名譽に濃ければ、矯激の病を生ず。
現代語訳
富と地位は、怨みの集まる倉です。才能は、身に災いを招くものです。 名声は、悪口の仲立ちです。歓楽は、悲しみのきざしです。 音楽や色事にのめり込むと、心身が弱り臆病になる病が生じます。財貨や利益にのめり込むと、むさぼる病が生じます。 功績や事業にのめり込むと、わざとらしく作り事をする病が生じます。名誉にのめり込むと、ことさら人と違う過激なことをする病が生じます。
解説
人が求めるものの裏側を示す聯です。前半は富貴・才能・声名・歓楽という望ましいものが、それぞれ怨み・災い・謗り・悲しみを呼び込む種でもあると言います。後半は「濃」、つまり度を越して執着することの害を四つ挙げます。声色への耽溺は心身を弱らせ、貨利は貪欲を、功業は造作つまりわざとらしい作為を、名誉は矯激つまり人目を引くための極端な言動を生むと言います。功績や名誉への執着までを病とするところが鋭く、成果を焦って数字を作ったり、目立つために過激な発言をしたりする姿は、今も身近にあるものです。
この章句が説くこと
富貴名誉節制持躬処世
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