格言聯璧 / 惠吉類・福の後には宜しく德を積むべし
養德宜操琴,煉智宜彈棋,遣情宜賦詩,輔氣宜酌酒,解事宜讀史,得意宜臨書,靜坐宜焚香,醒睡宜嚼茗,體物宜展畫,適境宜按歌,閱候宜灌花,保形宜課藥,隱心宜調鶴,孤況宜聞蛩,涉趣宜觀魚,忘機宜飼雀,幽尋宜藉草,淡味宜掬泉,獨立宜望山,閑吟宜倚樓,清談宜翦燭,狂嘯宜登臺,逸興宜投壺,結想宜欹枕,息緣宜閉戶,探景宜攜囊,爽致宜臨風,愁懷宜佇月,倦遊宜聽雨,元悟宜對雪,辟寒宜映日,空累宜看雲,談道宜訪友,福後宜積德。
新字:養徳宜操琴,煉智宜弾棋,遣情宜賦詩,輔気宜酌酒,解事宜読史,得意宜臨書,静坐宜焚香,醒睡宜嚼茗,体物宜展画,適境宜按歌,閲候宜灌花,保形宜課薬,隠心宜調鶴,孤況宜聞蛩,渉趣宜観魚,忘機宜飼雀,幽尋宜藉草,淡味宜掬泉,独立宜望山,閑吟宜倚楼,清談宜翦燭,狂嘯宜登台,逸興宜投壺,結想宜欹枕,息縁宜閉戸,探景宜攜嚢,爽致宜臨風,愁懐宜佇月,倦遊宜聴雨,元悟宜対雪,辟寒宜映日,空累宜看雲,談道宜訪友,福後宜積徳。
書き下し
德を養ふには宜しく琴を操るべし、智を煉るには宜しく棋を彈ずべし、情を遣るには宜しく詩を賦すべし、氣を輔くるには宜しく酒を酌むべし、事を解するには宜しく史を讀むべし、意を得るには宜しく書に臨むべし、靜坐には宜しく香を焚くべし、睡を醒ますには宜しく茗を嚼むべし、物を體するには宜しく畫を展ぶべし、境に適ふには宜しく歌を按ずべし、候を閱するには宜しく花に灌ぐべし、形を保つには宜しく藥を課すべし、心を隱すには宜しく鶴を調ふべし、孤況には宜しく蛩を聞くべし、趣に涉るには宜しく魚を觀るべし、機を忘るるには宜しく雀を飼ふべし、幽尋には宜しく草に藉くべし、淡味には宜しく泉を掬ふべし、獨立には宜しく山を望むべし、閑吟には宜しく樓に倚るべし、清談には宜しく燭を翦るべし、狂嘯には宜しく臺に登るべし、逸興には宜しく壺に投ずべし、結想には宜しく枕を欹つべし、緣を息むには宜しく戶を閉づべし、景を探るには宜しく囊を攜ふべし、爽致には宜しく風に臨むべし、愁懷には宜しく月に佇むべし、倦遊には宜しく雨を聽くべし、元悟には宜しく雪に對すべし、寒を辟くるには宜しく日に映ずべし、累を空しくするには宜しく雲を看るべし、道を談ずるには宜しく友を訪ふべし、福の後には宜しく德を積むべし。
現代語訳
徳を養うには琴を弾くのがよく、知恵を練るには弾棋(盤上で駒をはじく遊び)をするのがよく、思いを晴らすには詩を作るのがよく、気を補うには酒を酌むのがよく、物事を理解するには歴史を読むのがよく、心にかなうには手本を見て書を習うのがよいのです。 静坐するには香をたくのがよく、眠気を覚ますには茶をかむのがよく、物の姿をつかむには絵を広げるのがよく、境地に合わせるには拍子をとって歌うのがよく、季節を見るには花に水をやるのがよく、体を保つには薬を日課とするのがよいのです。 心を世から隠すには鶴を飼いならすのがよく、孤独な境遇にはこおろぎの声を聞くのがよく、趣に浸るには魚を眺めるのがよく、はかりごとを忘れるには雀に餌をやるのがよく、奥深い所を訪ねるには草を敷いて座るのがよく、淡い味わいには泉の水をすくうのがよいのです。 ひとり立つには山を望むのがよく、静かに吟ずるには高殿にもたれるのがよく、清らかな談話には燭の芯を切って夜更かしするのがよく、思い切り歌い叫ぶには高台に登るのがよく、世俗を離れた興には投壺(壺に矢を投げ入れる遊び)がよく、思いを結ぶには枕を斜めに立ててもたれるのがよいのです。 縁を絶つには戸を閉ざすのがよく、景色を探るには袋を携えて出かけるのがよく、爽やかな趣には風に向かうのがよく、憂いの思いには月の下にたたずむのがよく、旅に疲れたら雨の音を聞くのがよく、深い悟りには雪に向かうのがよいのです。 寒さを避けるには日の光を浴びるのがよく、わずらいを空しくするには雲を眺めるのがよく、道を語るには友を訪ねるのがよく、福を得た後には徳を積むのがよいのです。
解説
この章句が説くこと
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『格言聯璧』惠吉類・德を積めば以て天を邀ふべし經濟を談ずる外は、寧ろ藝術を談ぜよ、以て用に給すべし。 日用を談ずる外は、寧ろ山水を談ぜよ、以て機を息むべし。 心性を談ずる外は、寧ろ因果を談ぜよ、以て善を勸むべし。 花を藝うれば以て蝶を邀ふべく、石を壘ぬれば以て雲を邀ふべく、松を栽うれば以て風を邀ふべく、柳を植うれば以て蟬を邀ふべく、水を貯ふれば以て萍を邀ふべく、臺を築けば以て月を邀ふべく、焦を種うれば以て雨を邀ふべく、書を藏すれば以て友を邀ふべく、德を積めば以て天を邀ふべし。
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『酔古堂剣掃』集靈・他樂有りと雖も吾易へず理義の書を讀み、法帖の字を學ぶ。心を澄まして靜坐し、益友と清談す。小酌して半ば醺じ、花に澆ぎ竹を種う。琴を聽き鶴を玩び、香を焚き茶を煮る。舟を泛べて山を觀、意を奕棋に寓す。他樂有りと雖も、吾易へず。
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『格言聯璧』惠吉類・群居しては口を守り獨坐しては心を防ぐ聖人は福を斂め、君子は祥を考ふ。 德を作せば日に休し、善を為すは最も樂し。 卷を開けば益有り、善を作せば祥を降す。 德を崇ぶは山に效ひ、器を藏するは海に學ぶ。 群居しては口を守り、獨坐しては心を防ぐ。 足るを知れば常に樂しみ、能く忍べば自ら安し。
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『格言聯璧』惠吉類・吾本と薄福の人吾本と薄福の人、宜しく惜福の事を行ふべし。 吾本と薄德の人、宜しく積德の事を行ふべし。 薄福の者は必ず刻薄なり、刻薄なれば則ち福愈々薄し。 厚福の者は必ず寬厚なり、寬厚なれば則ち福益々厚し。 工夫有りて書を讀む、之を福と謂ふ。力量有りて人を濟ふ、之を福と謂ふ。
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『格言聯璧』惠吉類・是非の耳に到る無き之を福と謂ふ著述有りて世に行はるる、之を福と謂ふ。聰明渾厚の見有る、之を福と謂ふ。是非の耳に到る無き、之を福と謂ふ。疾病の身に纏ふ無き、之を福と謂ふ。 塵俗の心を攖す無き、之を福と謂ふ。兵凶荒歉の歲無き、之を福と謂ふ。
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『酔古堂剣掃』集倩・書を觀るには欄に倚る書を觀るには、宜しく欄に倚りて笛を吹くべく、宜しく香を焚きて靜坐すべく、宜しく麈を揮ひて清談すべし。 江干は帆影に宜しく、山郁は煙嵐に宜しく、院落は楊柳に宜しく、寺觀は松篁に宜しく、溪邊は漁樵に宜しく、鷺鷥に宜しく、花前は娉婷に宜しく、鸚鵡に宜し。 翠霧霏微たるに宜しく、銀河清淺たるに宜しく、萬里雲無く、長空洗ふが如きに宜しく、千林雨過ぎて、叠嶂新たなるが如きに宜しく、高く江天に插むに宜しく、斜めに城郭に連なるに宜しく、窗を開きて海日を眺むるに宜しく、頂を露はして天風に臥すに宜しく、嘯くに宜しく、詠ずるに宜しく、終日棋を敲くに宜しく、酒に宜しく、詩に宜しく、清宵榻に對するに宜し。