格言聯璧 / 惠吉類・是非の耳に到る無き之を福と謂ふ
有著述行世,謂之福。有聰明渾厚之見,謂之福,無是非到耳,謂之福。無疾病纏身,謂之福。 無塵俗攖心,謂之福。無兵凶荒歉之歲,謂之福。
新字:有著述行世,謂之福。有聰明渾厚之見,謂之福,無是非到耳,謂之福。無疾病纏身,謂之福。 無塵俗攖心,謂之福。無兵凶荒歉之歳,謂之福。
書き下し
著述有りて世に行はるる、之を福と謂ふ。聰明渾厚の見有る、之を福と謂ふ。是非の耳に到る無き、之を福と謂ふ。疾病の身に纏ふ無き、之を福と謂ふ。 塵俗の心を攖す無き、之を福と謂ふ。兵凶荒歉の歲無き、之を福と謂ふ。
現代語訳
著作があって世に行われること、これを福と言います。聡明で重厚な見識があること、これを福と言います。人のうわさや争いごとが耳に入ってこないこと、これを福と言います。病気が身にまとわりつかないこと、これを福と言います。 世俗の雑事に心を乱されないこと、これを福と言います。戦争や凶作の年がないこと、これを福と言います。
解説
前の単位から続く「謂之福」の列挙の後半です。前半では読書・人助け・著述・見識という「有る」福を挙げ、後半では是非・疾病・塵俗・兵凶という「無い」福を挙げて、二つの面から福を描いています。是非は人のうわさや争いごと、攖心は心をかき乱すこと、荒歉は凶作のことです。特別な富や地位はひとつも入っておらず、どれも穏やかな日常の条件ばかりなのが印象的です。とくに無いことの福は、失ってはじめて気づくものです。うわさ話が耳に入らず、病気がなく、世が平穏である今日を、福として数え直してみたくなる一則です。
この章句が説くこと
幸福知足健康平穏読書
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