格言聯璧 / 惠吉類・德を積めば以て天を邀ふべし
談經濟外,寧談藝術,可以給用。 談日用外,寧談山水,可以息機。 談心性外,寧談因果,可以勸善。 藝花可以邀蝶,壘石可以邀雲,栽松可以邀風,植柳可以邀蟬,貯水可以邀萍,築臺可以邀月,種焦可以邀雨,藏書可以邀友,積德可以邀天。
新字:談経済外,寧談芸術,可以給用。 談日用外,寧談山水,可以息機。 談心性外,寧談因果,可以勧善。 芸花可以邀蝶,塁石可以邀雲,栽松可以邀風,植柳可以邀蝉,貯水可以邀萍,築台可以邀月,種焦可以邀雨,蔵書可以邀友,積徳可以邀天。
書き下し
經濟を談ずる外は、寧ろ藝術を談ぜよ、以て用に給すべし。 日用を談ずる外は、寧ろ山水を談ぜよ、以て機を息むべし。 心性を談ずる外は、寧ろ因果を談ぜよ、以て善を勸むべし。 花を藝うれば以て蝶を邀ふべく、石を壘ぬれば以て雲を邀ふべく、松を栽うれば以て風を邀ふべく、柳を植うれば以て蟬を邀ふべく、水を貯ふれば以て萍を邀ふべく、臺を築けば以て月を邀ふべく、焦を種うれば以て雨を邀ふべく、書を藏すれば以て友を邀ふべく、德を積めば以て天を邀ふべし。
現代語訳
世を治め民を救う話のほかには、むしろ技芸や術の話をしなさい。実際の役に立ちます。 日々の暮らしの話のほかには、むしろ山水の話をしなさい。はかりごとの心を休めることができます。 心と本性の話のほかには、むしろ因果の話をしなさい。人に善を勧めることができます。 花を植えれば蝶を迎えられ、石を積めば雲を迎えられ、松を植えれば風を迎えられ、柳を植えれば蝉を迎えられ、水をためれば浮き草を迎えられ、高台を築けば月を迎えられ、芭蕉を植えれば雨を迎えられ、書物を蔵すれば友を迎えられ、徳を積めば天を迎えられます。
解説
前の三行は、話題の選び方を説く対句です。経済、ここでは世を治め民を救う学問の話のほかは実用の技芸を、日常の話のほかは山水を、心性の議論のほかは因果の話をせよと言います。無駄話を避け、役に立つ話、心を休める話、善を勧める話を選べということです。後の長い一行は「可以邀」を九度重ねた句で、何かを用意すればそれにふさわしいものが自然にやって来ると説きます。焦は芭蕉のことで、葉に当たる雨音を楽しむのです。蝶・雲・風と並べて、最後に書物が友を、徳が天を招くと結ぶところに、編者の狙いがあります。環境を整えれば人も運も寄ってくるという考えは、今の暮らしにも生かせます。
この章句が説くこと
積徳風雅読書交友自然
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『格言聯璧』惠吉類・福の後には宜しく德を積むべし德を養ふには宜しく琴を操るべし、智を煉るには宜しく棋を彈ずべし、情を遣るには宜しく詩を賦すべし、氣を輔くるには宜しく酒を酌むべし、事を解するには宜しく史を讀むべし、意を得るには宜しく書に臨むべし、靜坐には宜しく香を焚くべし、睡を醒ますには宜しく茗を嚼むべし、物を體するには宜しく畫を展ぶべし、境に適ふには宜しく歌を按ずべし、候を閱するには宜しく花に灌ぐべし、形を保つには宜しく藥を課すべし、心を隱すには宜しく鶴を調ふべし、孤況には宜しく蛩を聞くべし、趣に涉るには宜しく魚を觀るべし、機を忘るるには宜しく雀を飼ふべし、幽尋には宜しく草に藉くべし、淡味には宜しく泉を掬ふべし、獨立には宜しく山を望むべし、閑吟には宜しく樓に倚るべし、清談には宜しく燭を翦るべし、狂嘯には宜しく臺に登るべし、逸興には宜しく壺に投ずべし、結想には宜しく枕を欹つべし、緣を息むには宜しく戶を閉づべし、景を探るには宜しく囊を攜ふべし、爽致には宜しく風に臨むべし、愁懷には宜しく月に佇むべし、倦遊には宜しく雨を聽くべし、元悟には宜しく雪に對すべし、寒を辟くるには宜しく日に映ずべし、累を空しくするには宜しく雲を看るべし、道を談ずるには宜しく友を訪ふべし、福の後には宜しく德を積むべし。
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