格言聯璧 / 惠吉類・分文升合と雖も亦是れ福田
憫濟人窮,雖分文升合,亦是福田。 樂與人善,即只字片言,皆為良藥。 謀占田園決生敗子,尊崇師傅,定產賢郎。 平居寡欲養身,臨大節則達生委命。
新字:憫済人窮,雖分文升合,亦是福田。 楽与人善,即只字片言,皆為良薬。 謀占田園決生敗子,尊崇師傅,定産賢郎。 平居寡欲養身,臨大節則達生委命。
書き下し
人の窮を憫濟すれば、分文升合と雖も、亦是れ福田なり。 人と善くするを樂しめば、即ち只字片言も、皆良藥と為る。 田園を謀占すれば決して敗子を生じ、師傅を尊崇すれば、定めて賢郎を產む。 平居は欲を寡くして身を養ひ、大節に臨めば則ち生に達し命に委ぬ。
現代語訳
人の困窮をあわれんで救えば、わずかなお金や一升一合の米であっても、それもまた福を生む田です。 人に善を勧め共に行うことを楽しめば、一字一言であっても、すべて良い薬になります。 人の田畑をたくらんで奪えば、きっと家をつぶす子が生まれ、師を敬えば、きっと賢い息子が生まれます。 ふだんは欲を少なくして身を養い、大きな節義にかかわる場面では、生死を達観して天命に身をゆだねます。
解説
一行目の対句は、施しの大小を問わないことを説きます。分文升合はごくわずかな銭や米のことで、少しの援助でも福田になり、励ましの一言でも人を癒やす薬になると言います。三行目は、他人の田を奪う者と師を敬う者とで、子孫の出来が分かれると対比します。奪った財は子を損ない、敬った師は子を育てるという、家の行く末についての戒めです。四行目は次の単位の「治家量入為出」と対になり、ふだんは身を大事にし、いざというときは命を惜しまないという、平時と非常時の心構えを示します。小さな援助や一言を惜しまないこと、日ごろは身を慎みながら大事な場面では腹をくくることを教えてくれます。
この章句が説くこと
救済積善寡欲師家訓
関連する章句
-
『格言聯璧』惠吉類・半瓢の粟を傾けて饑餓を濟ふ像を塑して神を棲ましむるは、盍ぞ歸りて親に奉ぜざる。院を造りて僧を居らしむるは、盍ぞ往きて貧を救はざる。 千金を費して勢豪に結納するは、孰れか半瓢の粟を傾けて、以て饑餓を濟ふに若かん。 千楹にして賓客を招來するは、何ぞ數椽の茅を葺きて、以て孤寒を庇ふに如かん。
-
『格言聯璧』惠吉類・吾本と薄福の人吾本と薄福の人、宜しく惜福の事を行ふべし。 吾本と薄德の人、宜しく積德の事を行ふべし。 薄福の者は必ず刻薄なり、刻薄なれば則ち福愈々薄し。 厚福の者は必ず寬厚なり、寬厚なれば則ち福益々厚し。 工夫有りて書を讀む、之を福と謂ふ。力量有りて人を濟ふ、之を福と謂ふ。
-
『格言聯璧』惠吉類・先哲の格言を纂述して廣く布く潛居も盡く以て善を為すべし、何ぞ必ずしも顯宦ならん。躬ら孝弟を行ひ、志聖賢に在り。 先哲の格言を纂述し、刊刻して廣く布けば、行くゆく化一時に行はれ、澤後世に流るるを見ん、事業の不朽なる、以て加ふる蔑し。貧賤も盡く以て福を積むべし、何ぞ必ずしも富貴ならん。
-
『格言聯璧』惠吉類・只字も必ず惜しむは貴の根只字も必ず惜しむは、貴の根なり。粒米も必ず珍とするは、富の源なり。 片言も必ず謹むは、福の基なり。微命も必ず護るは、壽の本なり。 五穀を作踐すれば、奇禍有るに非ずんば、必ず奇窮有り。 只字を愛惜すれば、但だに顯榮なるのみならず、亦當に壽を延ぶべし。
-
『格言聯璧』惠吉類・凡事の上に虧を吃すること三分心田一點を培へば、子種ゑ孫收む。 好き兒孫を要せば、須らく方寸の中一步を放寬すべし。 家業を成さんと欲せば、宜しく凡事の上に虧を吃すること三分なるべし。 福を留めて兒孫に與ふるは、未だ必ずしも盡く黃金白鏹ならず。 心を種ゑて產業と為さば、由來皆美宅良田なり。
-
『格言聯璧』惠吉類・入るを量りて出づるを為す家を治むるには入るを量りて出づるを為し、好事を幹すには則ち義に仗りて財を輕んず。 善く力を用ふる者は力に就き、善く勢を用ふる者は勢に就く。 善く智を用ふる者は智に就き、善く財を用ふる者は財に就く。 身世險途多し、急ぎ須らく安宅を尋求すべし。 光陰は過客に同じ、切に主翁を汩沒すること莫かれ。