格言聯璧 / 惠吉類・半瓢の粟を傾けて饑餓を濟ふ
塑像棲神,盍歸奉親;造院居僧,盍往救貧。 費千金而結納勢豪,孰若傾半瓢之粟,以濟饑餓! 千楹而招來賓客,何如葺數椽之茅,以庇孤寒!
新字:塑像棲神,盍帰奉親;造院居僧,盍往救貧。 費千金而結納勢豪,孰若傾半瓢之粟,以済饑餓! 千楹而招来賓客,何如葺数椽之茅,以庇孤寒!
書き下し
像を塑して神を棲ましむるは、盍ぞ歸りて親に奉ぜざる。院を造りて僧を居らしむるは、盍ぞ往きて貧を救はざる。 千金を費して勢豪に結納するは、孰れか半瓢の粟を傾けて、以て饑餓を濟ふに若かん。 千楹にして賓客を招來するは、何ぞ數椽の茅を葺きて、以て孤寒を庇ふに如かん。
現代語訳
像を造って神を住まわせるくらいなら、どうして家に帰って親に仕えないのでしょうか。寺を建てて僧を住まわせるくらいなら、どうして出かけて貧しい人を救わないのでしょうか。 千金を費やして権勢ある金持ちと付き合うのは、ひさご半分の粟を傾けて飢えた人を救うのに及びません。 千本の柱の大邸宅で客を招くのは、数本の垂木の茅ぶきの小屋を直して、身寄りのない貧しい人をかばうのに及びません。
解説
善行の向け先を問い直す一則です。一行目は、神像や寺院に財を注ぐより、目の前の親に仕え、貧しい人を救えと説きます。宗教的な功徳を否定するのではなく、身近な人への孝と救済を先にせよという順序の話です。後の二行は、有力者との付き合いや豪邸での接待と、飢えた人への一椀の粟や、孤児のための小屋の修繕とを比べた対句です。楹は柱、椽は垂木のことで、この本文では「千楹」の前に建てる意の字が一字落ちているようにも見えます。目立つ寄付や人脈づくりに費やすお金と、困っている身近な人への小さな助けと、どちらが実のある善なのかを考えさせる句です。
この章句が説くこと
孝行救済積善倹約慈愛
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