格言聯璧 / 惠吉類・只字も必ず惜しむは貴の根
只字必惜,貴之根也;粒米必珍,富之源也。 片言必謹,福之基也;微命必護,壽之本也。 作踐五穀,非有奇禍,必有奇窮。 愛惜只字,不但顯榮,亦當延壽。
新字:只字必惜,貴之根也;粒米必珍,富之源也。 片言必謹,福之基也;微命必護,寿之本也。 作践五穀,非有奇禍,必有奇窮。 愛惜只字,不但顕栄,亦当延寿。
書き下し
只字も必ず惜しむは、貴の根なり。粒米も必ず珍とするは、富の源なり。 片言も必ず謹むは、福の基なり。微命も必ず護るは、壽の本なり。 五穀を作踐すれば、奇禍有るに非ずんば、必ず奇窮有り。 只字を愛惜すれば、但だに顯榮なるのみならず、亦當に壽を延ぶべし。
現代語訳
一字でも必ず大切にすることは、身分が貴くなる根です。一粒の米でも必ず大事にすることは、富の源です。 一言でも必ず慎むことは、福の土台です。小さな命でも必ず守ることは、長寿のもとです。 五穀を粗末にすれば、思いがけない災いがなければ、必ずひどい貧しさに見舞われます。 一字を大切にすれば、名誉ある地位を得るばかりでなく、寿命も延びるはずです。
解説
字・米・言葉・命という小さなものを、貴・富・福・寿という四つの幸いに結びつけた一則です。どれも「必」の字を置き、例外なく大切にせよと強調しています。後の二行は五穀と文字を対にし、粗末にすれば禍や貧しさを招き、大切にすれば栄えと長寿を得ると言います。文字を書いた紙を粗末にせず、集めて焼く惜字の習慣は、清代に善書を通じて広く行われていました。作踐は踏みにじる、粗末にすることです。一枚の紙や一粒の米をどう扱うかに、その人の心の姿勢が表れるという考えは、食べ物の無駄が問われる今にも通じるでしょう。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
惜福倹約慎言愛物長寿
関連する章句
-
『格言聯璧』悖凶類・人の善を談ずるは膏沐よりも澤ふ言語の惡は、誣を造るより大なるは莫し。 行事の惡は、苛刻より大なるは莫し。 心術の惡は、深險より大なるは莫し。 人の善を談ずるは、膏沐よりも澤ふ。 人の惡を暴くは、戈矛よりも痛し。 厄に當たるの施しは、甘きこと時雨為り。
-
『囲炉夜話』第百九十則・口を守ること瓶の如し一言は以て大禍を招くに足る、故に古人は口を守ること瓶の如く、惟だ其の覆墜を恐るるなり。 一行は以て終身を玷すに足る、故に古人は躬を飭ふること璧の若く、惟だ瑕疵有るを恐るるなり。
-
『呻吟語』内篇・倫理・慎言の地は、惟だ家庭を要と為す慎言の地は、惟だ家庭を要と為す。應に言を慎むべきの人は、惟だ妻子・僕隸を要と為す。此れ理亂の原にして禍福の本なり。人往往にして之を忽にす、悲しいかな。
-
『酔古堂剣掃』集醒・人を甘んぜしむるの語人を甘んぜしむるの語は、多く其の是非を論ぜず。人を激するの語は、多く其の利害を顧みず。
-
『格言聯璧』接物類・一語我が長厚を傷らば言に形す勿かれ事曖昧に屬せば、他を回護せんことを思ふを要し、一點の攻訐の念頭をも著け得ず。 人寒微に屬せば、他を矜禮せんことを思ふを要し、一毫の傲睨の氣象をも著け得ず。 凡そ一事にして人の終身に關らば、縱ひ確かに見實に聞くも、口に著くべからず。 凡そ一語にして我が長厚を傷らば、閑談酒謔と雖も、慎みて言に形す勿かれ。
-
『格言聯璧』接物類・善を責むるには言を盡くすを戒む輕々しく信じ輕々しく發するは、言を聽くの大戒なり。 愈々激し愈々厲しくするは、善を責むるの大戒なり。 事に處するには須らく余地を留むべし、善を責むるには切に言を盡くすを戒む。 我に在る有餘の惠を施せば、則ち以て德を廣むべし。 人に在る不盡の情を留むれば、則ち以て交はりを全うすべし。