格言聯璧 / 惠吉類・一念の容忍は無量の福田
一念容忍,不但是無量德器,亦是無量福田。 試看那有不容忍底君子? 好惡之念,萌於夜氣,息之於靜也。 惻隱之心,發於乍見,感之於動也。
新字:一念容忍,不但是無量徳器,亦是無量福田。 試看那有不容忍底君子? 好悪之念,萌於夜気,息之於静也。 惻隠之心,発於乍見,感之於動也。
書き下し
一念の容忍は、但だに是れ無量の德器なるのみならず、亦是れ無量の福田なり。 試みに看よ、那ぞ容忍ならざる底の君子有らんや。 好惡の念は、夜氣に萌す、之を靜に息ふなり。 惻隱の心は、乍見に發す、之を動に感ずるなり。
現代語訳
一念の寛容と忍耐は、はかり知れない徳の器であるばかりでなく、はかり知れない福の田でもあります。 試しに見てごらんなさい。寛容でない君子などどこにいるでしょうか。 正しく好み憎む心は、夜の静かな気の中に芽生えます。それは静けさの中で養われるからです。 あわれみの心は、ふと目にした瞬間に起こります。それは動きの中で感じ取られるからです。
解説
前の二行は前の単位の「一點慈愛」と対になり、慈愛と並んで容忍、つまり寛容と忍耐が徳と福の元になると説きます。福田は仏教の語で、福を生む田のことです。後の二行は『孟子』を踏まえた対句です。夜氣は『孟子』告子上に出る語で、夜の静けさの中で回復する良心の気を指します。乍見は『孟子』公孫丑上の、幼子が井戸に落ちかけるのをふと見て惻隠の心が起こるという話から来ています。静の時に良心が養われ、動の時にそれが働き出すという、心の二つの面を描いています。一日の終わりに静かな時間を持つことが、翌日の思いやりの土台になるのかもしれません。
この章句が説くこと
忍寛容良心孟子修身
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