格言聯璧 / 惠吉類・一言輕んずべしと謂ふ勿かれ
勿謂一念可欺也,須知有天地鬼神之鑒察。 勿謂一言可輕也,須知有前後左右之竊聽。 勿謂一事可忽也,須知有身家性命之關係。 勿謂一時可逞也,須知有子孫禍福之報應。
新字:勿謂一念可欺也,須知有天地鬼神之鑒察。 勿謂一言可軽也,須知有前後左右之窃聴。 勿謂一事可忽也,須知有身家性命之関係。 勿謂一時可逞也,須知有子孫禍福之報応。
書き下し
一念欺くべしと謂ふこと勿かれ、須らく天地鬼神の鑒察有るを知るべし。 一言輕んずべしと謂ふこと勿かれ、須らく前後左右の竊聽有るを知るべし。 一事忽せにすべしと謂ふこと勿かれ、須らく身家性命の關係有るを知るべし。 一時逞しくすべしと謂ふこと勿かれ、須らく子孫禍福の報應有るを知るべし。
現代語訳
一つの思いくらいはごまかせると言ってはいけません。天地の鬼神が見ていることを知るべきです。 一言くらいは軽く言ってよいと言ってはいけません。前後左右で盗み聞きしている人がいることを知るべきです。 一つの事くらいはおろそかにしてよいと言ってはいけません。わが身と家と命にかかわることを知るべきです。 一時くらいは好き勝手をしてよいと言ってはいけません。子孫の禍福にまで報いが及ぶことを知るべきです。
解説
「勿謂〜須知〜」を四回重ねた、形の整った一則です。一念・一言・一事・一時と、どれも「一つくらいなら」と軽く見がちなものを取り上げています。それに対して、天地鬼神、前後左右、身家性命、子孫禍福という四つの重いものを置き、小さなものが大きな結果につながると示します。心の中は神に、言葉は人に見られ、行いは身の安危に、放縦は子孫に響く、と見る範囲が少しずつ広がっていくのも巧みです。会議の後の軽口や、締め切り前の一度の手抜きが思わぬ形で返ってくることは、今の職場でもよくあります。「一つくらい」と思ったときに思い出したい句です。
この章句が説くこと
慎独慎言報い修身子孫
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