格言聯璧 / 從政類・志は人を濟ふに在り
君子當官任職,不計難易;而志在濟人,故動輒成功。 小人苟祿營私,只任便安;而意在利己,故動多敗事。 職業是當然底,每日做他不盡,莫要認作假。
新字:君子当官任職,不計難易;而志在済人,故動輒成功。 小人苟禄営私,只任便安;而意在利己,故動多敗事。 職業是当然底,毎日做他不尽,莫要認作仮。
書き下し
君子は官に當り職に任じて、難易を計らず。而して志人を濟ふに在り、故に動もすれば輒ち功を成す。 小人は祿を苟にし私を營み、只だ便安に任ず。而して意己を利するに在り、故に動もすれば多く事を敗る。 職業は是れ當然の底、每日他を做して盡きず、認めて假と作すこと莫かれ。
現代語訳
君子は官職に当たり任務に就くとき、難しいかやさしいかを計算しません。志が人を救うことにあるので、何かをすればたいてい成功します。 小人はかりそめに俸禄を得て私腹を肥やし、楽で都合のよいことばかりに任せます。心が自分の利益にあるので、何かをすればたいてい事をしくじります。 職務は当然果たすべきもので、毎日やってもやり尽くせません。仮のものだと思ってはいけません。
解説
前の二行は君子と小人の仕事ぶりを対比した句です。違いは能力ではなく、志が人を救うことにあるか、自分の利にあるかだと言います。難易を計らない人が結果として成功し、楽を選ぶ人が結果として失敗する、という逆説がおもしろいところです。三行目は次の単位の「權勢是偶然底」と対になり、職務こそが本物で、いつまでも尽きることのない務めだと説きます。認作假は、かりそめのものと見なすことです。仕事を選り好みする前に、それが誰の役に立つかを考えると、難しい仕事にも向かう力が出てくるのではないでしょうか。
この章句が説くこと
職分君子小人治政利己
関連する章句
-
論語・顔淵篇司馬牛、君子を問う。子曰く、「君子は憂えず懼れず。」曰く、「憂えず懼れざれば、斯れ之を君子と謂うか。」子曰く、「内に省みて疚しからずんば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。」
-
論語・憲問篇子曰く、君子にして不仁なる者有るかな。未だ小人にして仁なる者有らざるなり。
-
論語・学而篇子曰く、「君子は食らうに飽くことを求めず、居るに安きを求めず、事に敏にして言に慎み、有道に就いて正す。学を好むと謂う可きのみ。」
-
論語・為政篇子曰く、「君子は器ならず。」
-
論語・学而篇子曰く、「君子重からざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ、過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。」
-
荀子・哀公篇哀公曰く、善し。敢えて問う、何如なれば斯ち之を君子と謂うべきか、と。孔子対えて曰く、所謂る君子なる者は、言は忠信にして心に徳とせず、仁義身に在りて色に伐(ほこ)らず、思慮明通にして辞は争わず。故に猶然として将に及ぶべきが如き者は、君子なり、と。