格言聯璧 / 從政類・眼前の百姓は即ち兒孫
眼前百姓即兒孫,莫謂百姓可欺,且留下兒孫地步。 堂上一官稱父母,漫道一官好做,還盡些父母恩情。 善體黎庶情,此謂民之父母。 廣行陰騭事,以能保我子孫。
新字:眼前百姓即児孫,莫謂百姓可欺,且留下児孫地歩。 堂上一官称父母,漫道一官好做,還尽些父母恩情。 善体黎庶情,此謂民之父母。 広行陰騭事,以能保我子孫。
書き下し
眼前の百姓は即ち兒孫なり、百姓欺くべしと謂ふ莫かれ、且く兒孫の地步を留め下せ。 堂上の一官は父母と稱す、漫りに一官做し好しと道ふ莫かれ、還た些かの父母の恩情を盡くせ。 善く黎庶の情を體す、此れを民の父母と謂ふ。 廣く陰騭の事を行ひ、以て能く我が子孫を保つ。
現代語訳
目の前の民は、そのまま自分の子や孫なのです。民は欺いてもよいなどと言ってはなりません。まずは子や孫の立つ瀬を残しておきなさい。 役所の広間に座る一人の役人は、民の父母と呼ばれます。役人など勤めやすいものだと軽々しく言ってはなりません。せめて父母としての恩情を尽くしなさい。 民衆の気持ちをよく汲み取る者、これを民の父母といいます。 人知れぬ善行(陰徳)を広く行えば、それによって自分の子孫を守ることができます。
解説
從政類の冒頭に置かれた、役人の心構えを説く対句です。地方官は父母官と呼ばれ、民を子のように養うことが理想とされました。この句はそれを逆手に取り、民はあなたの子や孫なのだから、欺けば自分の子孫の居場所を奪うことになると迫ります。地步は立場や余地のことです。続く句は『大学』の「民の好む所は之を好み、民の惡む所は之を惡む、此れを之れ民の父母と謂ふ」を思わせ、民の情を体することが父母たる所以だと言います。陰騭は人に知られない善行のことで、それが子孫を守るという考えは齊家類の句ともつながります。権限を持つ人ほど、相手を自分の家族と思って接せよという教えです。
この章句が説くこと
治政陰徳民本子孫仁政
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